オリオールズの金賢洙外野手について、名将バック・ショーウォルター監督が「新たなレベルに行く可能性のある選手」と期待を寄せている。■今季は95試合出場も打率.302、「野手として十分能力がある」 オリオールズの金賢洙外野手について、名将バック…

オリオールズの金賢洙外野手について、名将バック・ショーウォルター監督が「新たなレベルに行く可能性のある選手」と期待を寄せている。

■今季は95試合出場も打率.302、「野手として十分能力がある」

 オリオールズの金賢洙外野手について、名将バック・ショーウォルター監督が「新たなレベルに行く可能性のある選手」と期待を寄せている。1年目の今季は95試合の出場にとどまったものの、打率.302、出塁率.382、6本塁打、22打点をマーク。オープン戦では「マイナーレベル」の烙印を押されたが、自らの力で覆した。

 ショーウォルター監督は、ウインターミーティングでの記者会見で来季メジャー2年目を迎える金について質問を受けると、さらなる飛躍を“予言”した。

「彼は昨年困難に直面したが、今年はそうはならないだろう。私たちは、新たなレベルに行く可能性のある選手について話し合っている。彼にはそのポテンシャルがあると思う。野手として十分能力がある。必要があるなら、左翼ではなく右翼に就かせることもできるだろう」

 今季の金は最悪のスタートを切った。昨年まで韓国・斗山で通算打率.318を記録し、FAでオリオールズに2年総額700万ドル(約8億円)で入団。しかし、オープン戦ではメジャーの投手に大苦戦し、17試合で打率.178、OPS(出塁率+長打率).402と散々な成績に終わった。

 チームは金賢洙がMLBレベルでプレーする準備ができていないとして、マイナーでプレーさせることを決断。しかし、金の契約には球団側が選手側の了承なくマイナーへ降格させることができないという条項が盛り込まれていたため、本人は拒否。開幕メジャー25人枠に残った。ダン・デュケット副社長が「24選手は確保することができた」と話し、地元メディアが「とてもおかしなことが起きている」と辛辣に報じるなど、“逆風”の中でスタートを切った。

■WBC出場には懸念!? 「選手たちが受ける重圧が本当に気がかり」

 当初はなかなか出場機会に恵まれなかった金だが、6月まで打率3割台中盤を維持。8月以降はやや数字を落としたものの、3割台でシーズンを終えた。ショーウォルター監督の言葉から来季はレギュラーとして期待を寄せていることがうかがえる。

 ただ、大きな問題となるのが、極端に偏った打撃成績だ。今季は右投手の323打席に対して、左投手はわずか22打席。起用法がはっきりとしていた中で、対左投手の打率はなんと.000。1本もヒットを打てていない。ただ、ショーウォルター監督はこれについても楽観的だ。「左投手と右投手の両方に対してもポテンシャルがあると思うか?」との質問に以下のように答えている。

「そう思いたいが、米国での統計的なことはわからない。ある特定の左投手に対しては強いと思うよ。韓国での成績を見てみると、とても良いんだ」

 むしろ、心配は金が来春のWBCに韓国代表として出場することだという。指揮官は「選手たちが受ける重圧が本当に気がかりだ。彼の立場や出場するかどうかについて、すべてを話すことができない」と話している。アダム・ジョーンズ(米国)、マニー・マチャド(ドミニカ共和国)、ジョナサン・スクープ(オランダ)といった主力級の選手も出場予定のため、「WBCに出場する選手は全員サポートするつもりだ。彼がどちらの道を選ぼうと、全力でサポートするつもりだ」と言うが、金はアクシデントがあってはならない貴重な戦力と考えているようだ。

 3年ぶりの地区優勝、2年連続プレーオフ進出を狙うチームで、韓国人打者がキーマンの一人となるかもしれない。