秋を感じさせる肌寒い天気の下、新人たちが早明の伝統戦に挑んだ。例年春に行われているが、新型コロナウイルスの影響で今月に延期となって行われた今試合。17日に行われた早慶戦に続いて2戦目の新人戦となった。高校日本代表などタレントを多く有する明…

 秋を感じさせる肌寒い天気の下、新人たちが早明の伝統戦に挑んだ。例年春に行われているが、新型コロナウイルスの影響で今月に延期となって行われた今試合。17日に行われた早慶戦に続いて2戦目の新人戦となった。高校日本代表などタレントを多く有する明大に対し苦戦を強いられ、終始主導権を握られる展開となる。前半に比べ後半は一部健闘も見せたが、明大のフィジカルを上回ることはできず、終わってみれば19-88と大差での敗戦を喫した。

 開始早々、「相手の接点の強さと外に展開するプレーで」(NO・8細川大斗、社1=東京・早実)新人明大の猛攻に遭う。前半2分、ラインアウトから素早いパス回しに翻弄(ほんろう)され、ディフェンスの整備が間に合わないまま被トライ。先制点を奪われた。その後も次々に突破され、開始から19分の内に連続5トライを許してしまう。だが新人早大も反撃に転じる。28分、敵陣深くでのマイボールスクラムから左に展開。最後は細川からパスを受けたフランカー藤井将吾(スポ1=大阪・早稲田摂陵)がインゴールに飛び込み、今試合初得点を挙げた。その後1トライを許すものの、38分には相手ゴール前のブレイクダウンでターンオーバーすると、勢いそのままにテンポよくボールを回し、FB京山秀勇(人1=福岡・東筑)からWTB木村晴(スポ1=北海道・函館ラサール)につないで得点。前半終了間際に新人明大にさらに1トライを奪われ、12-45で前半を折り返した。


左サイドからインゴールへ駆け抜ける木村晴

 後半は早大の攻撃から始まった。2分、敵陣22メートル付近でのラインアウトを成功させると、SO久富連太郎(政経1=島根・石見智翠館)が中央のディフェンスラインをかいくぐり、個人技でインゴールを駆け抜ける。自身でのゴールも成功させ、19-45とした。しかし、後半の得点はこの1トライのみ。その後は新人明大の攻撃にひたすら耐える時間が続く。「ディフェンスの接点を早くして前に出よう」というゲームキャプテン・細川の声掛けの通り、前半に比べるとディフェンスが機能し始め、フランカー小池航太郎(商1=東京・早実)やCTB三浦称児(人1=大分舞鶴)らのタックルが確実に決まる場面も見られた。だが、明大の屈強なフィジカルを封じ込めることは終ぞできず、ハンドリングミスの多さからマイボールを継続して早大ペースに持ち込むこともできず、19ー88でノーサイドを迎えた。


相手と対峙する細川

 「何本かタックルミスがあってそれがトライに繋がる場面もあったのでタックルの部分と、組織としても主にディフェンスの部分が課題」と久富が振り返るように、突破されてサイドに大きくゲインを切られる場面が前後半通して多く見られた点に課題が残る。毎年明大の地力に圧倒され敗戦が続く新人早明戦だが、そこに出場した選手が関東大学対抗戦の早明戦で互角の戦いを繰り広げるに至るまでの成長の軌跡が、早大ラグビーの見どころのひとつでもあるだろう。ルーキーたちがどれほどの成長を遂げていくのか、今後も目が離せない。

(記事 山口日奈子 写真 内海日和)

コメント

NO・8細川大斗(社1=東京・早実)

――今日の試合を振り返って

 ディフェンスでもアタックでもとにかく強いプレーを選択して前に出ようということでやっていましたが、前半初めの入りから相手の接点の強さと外に展開するプレーで連続トライを取られてしまったのが反省点です。

――ゲームキャプテンとして声掛けなどしましたか

 ディフェンスの接点を早くして前に出ようというのは終始言っていました。一部良い部分もありましたが、全体を通してみると最後までできなかったですね。

――先日の早慶戦でもゲームキャプテンを務めていたのですか

 はい。

――ご自身の評価は

 前日に相良監督(相良南海夫監督、平4政経卒=東京・早大学院)に、自分の得意なプレーで勝負するよう全体に向けて言われていて。自分はタックルが武器だと思っているので、明大という強い相手に対してもたくさんタックルができたと思いますが、アタックの部分でハンドリングエラーをしてしまい、チャンスのところで何度も落としてしまったのでそこを直していきたいです。

――新人とは言え早明戦ですが、どのような意気込みで臨まれましたか

 相手は高校日本代表など強い選手がたくさんいますが、そういう相手にも絶対に負けないという気持ちで臨みました。

――今年はジュニア選手権なども中止になってしまいましたが、今後への意気込みをお願い致します

 今年はチャンスが少ないというのはわかっていますが、自分の今年の目標は公式戦に1試合でも出場することなので、それに向かって1回1回の試合を大事にしていきたいと思います。

SO久富連太郎(政経1=島根・石見智翠館)

――今日の試合を振り返って

 前半の試合が温まっていない状態で明治に先に前に出られて、何本もトライを取られてしまったことが一番きつかったなと思います。

――どんな気持ちで試合に臨まれましたか

 相手は強いと分かっていたので、自分たちが仕掛けるというところを意識して臨みました。

――SOとして意識したことはありましたか

 ディフェンスは自分が一番内側なので、ラインを上げてリードするというのを徹底することと、アタックでは相手のところにボールを運ぶために早い判断ができるようにというのを意識してやりました。

――今日の課題をあげるとすれば

 僕はディフェンスですね。何本かタックルミスがあってそれがトライに繋がる場面もあったのでそのタックルの部分と、組織としても流すのか、上がるのかという主にディフェンスの部分が課題かなと思います。

――これから試合があるかは不確定ですが、どんなシーズンにしたいですか

 まだ僕は下のチームなので、とにかく赤黒を着て試合で活躍できるように頑張りたいと思います。

新人早明戦
新人早大スコア新人明大
前半後半得点前半後半
124543
19合計88
【得点】▽トライ 藤井、木村晴、久富 ▽ゴール 久富(2G)

 
    

新人早大メンバー
背番号名前学部学年出身校
井元 正大文2東京・早実
46分交代→16大木
 59分交代→22米澤  
武内 陸法2埼玉・早大本庄
40分交代→17西野
 59分交代→23山野  
 73分交代→27渡辺  
平山 貴喜スポ2北海道・函館ラサール
 59分交代→24松下  
江島 航法2早稲田渋谷シンガポール校
 63分交代→19佐士原  
池本 大喜文構1東京・早実
小池 航太郎商1東京・早実
59分交代→20永嶋
藤井 将吾スポ1大阪・早稲田摂陵
50分交代→21磯崎
◎細川 大斗社1東京・早実
島本 陽太スポ1神奈川・桐蔭学園
70分交代→31茂木
10久富 連太郎政経1島根・石見智翠館
11木村 晴スポ1北海道・函館ラサール
 66分交代→33五十嵐  
12岡﨑 颯馬スポ1長崎北陽台
 56分交代→34岡本  
13三浦 称児人1大分舞鶴
 73分交代→35和田  
14鈴木 陽結政経1東京・早大学院
40分交代→36吉松
15京山 秀勇人1福岡・東筑
73分交代→32鳥海
リザーブ
16大木 裕太法2東京・早大学院
17西野 直樹法2東京・早大学院
18福山 真司教1大阪・早稲田摂陵
19佐土原 脩基理1埼玉・早大本庄
20永嶋 仁社1東福岡
21磯崎 錬太郎商1東京・城東
22米澤 結人スポ1東京・国学院久我山
23山野 裕都教1東京・早実
24松下 慶伍教1東京・早実
25梅澤 未遊法2東京・早大学院
26後藤 良太文1埼玉・早大本庄
27渡辺 駿斗商1東京・早実
28下間 元貴スポ1秋田
29宮本 大生文構1埼玉・早大本庄
30内田 慶悟スポ1広島・尾道
31茂木 陸生社1埼玉・早大本庄
32鳥海 雄図教1東京・早実
33五十嵐 心之介社1埼玉・早大本庄
34岡本 大輝スポ1東京・本郷
35和田 遼社2埼玉・早大本庄
36吉松 立志スポ2宮崎・高鍋
37鈴木 大世基理1東京・玉川学園
38下原 一輝文構2東京・早大学院
※◎はゲームキャプテン、監督は相良南海夫(平4政経卒=東京・早大学院)