引き分けの比嘉大吾、報道陣にポツリ「試合、面白くなかったすか」 ボクシングの元WBC世界フライ級王者・比嘉大吾(Ambition)が26日、東京・後楽園ホールでバンタム級(53.5キロ以下)ノンタイトル10回戦に臨み、日本同級13位・堤聖也…

引き分けの比嘉大吾、報道陣にポツリ「試合、面白くなかったすか」

 ボクシングの元WBC世界フライ級王者・比嘉大吾(Ambition)が26日、東京・後楽園ホールでバンタム級(53.5キロ以下)ノンタイトル10回戦に臨み、日本同級13位・堤聖也(角海老宝石)に1-0(96-94、95-95、95-95)で引き分けとなった。世界戦で犯した体重超過の王座剥奪から再起後2連勝はならず。比嘉の戦績は16勝(16KO)1敗1分け、堤は5勝(4KO)2分け。試合後、野木丈司トレーナーはまな弟子に厳しい言葉を送った。

 比嘉は序盤から手数が多い相手に手を焼いた。大きなダメージを受けるほどではなかったが、相手の的確なパンチを被弾。中盤はペースを握ったが、終盤は攻勢を強めることができずポイントを重ねられなかった。

 6月にWBO世界スーパーフライ級王者・井岡一翔と同じジムへ移籍し、プロ入りから師事した野木トレーナーと約2年ぶりに再タッグ。セコンドについた同トレーナーは試合を振り返り「比嘉大吾は倒せなかったら負け」と言い切り、こう続けた。

「試合中もそう鼓舞した。本人も言った通り(様子を)見る時間が長かった。後半の行くべきところで行くのがこれからやるべきこと。やっぱり大吾はKOが宿命づけられているボクサー。今日の倍の手数が出ていればKOで終わっていたはず。そういうところを課題にしたい」

 ジャブで削っていくのが序盤のプラン。相手は消耗していったが、後半に仕留めきれず「最後は凄い気力で来られた。そこまでの過程で大吾が崩せなかった。フライ級時代とパンチの打ち方は変えていないです」と説明した。

野木トレーナーが「こういう結果に落胆はしません」と語ったワケ

 フライ級王者時代の比嘉は当たり前のようにKOの山を築き、隣にはいつも野木トレーナーがいた。2月の再起戦で6回TKO勝ちを飾って以降、再び世界王者を目指すことを誓い、同トレーナーと同じ横浜に引っ越した。しかし、完全復活とはいかず「野木さんと最高の環境でスタートさせてもらって、自分が悔しいというより野木さんとジムのスタッフに悪いと思う」と落胆。隣で猛省するまな弟子を横目に、野木トレーナーはこう語った。

「試合前の取材から話していましたが、本当の姿が見られるまであと2、3試合かかると思っていました。だから、こういう結果に落胆はしません。変わらずこれを受け止めてやりたいです」

 手厳しい言葉をかけながらも、今後の奮起に期待するように労った師匠。比嘉は「いい勉強になりました」と語り、取材を終えると両手を顔の前で合わせて頭を下げた。「試合、面白くなかったすか」と報道陣にポツリ。期待に応えれなかったことは一番自覚している。バンタム級の世界ランクはWBC8位、WBA9位。完全復活への道は始まったばかりだ。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)