リバプールのFWロベルト・フィルミーノが、10月24日に行なわれたシェフィールド・ユナイテッド戦で今季初ゴールを決めた…
リバプールのFWロベルト・フィルミーノが、10月24日に行なわれたシェフィールド・ユナイテッド戦で今季初ゴールを決めた。
偽9番として機能しながら、自ら単独突破もできるブラジル代表FWは、世界的に見ても稀有な存在だ。今季はここまで得点がなかったことから、批判的な意見も出始めていたが、彼の特性を考えると、ゴール数だけで評価するのはあまりに短絡的だ。

フィルミーノとの入れ替わりでピッチに入った南野拓実
フィルミーノの巧さはどこにあるのか。リバプールのクラブOBで元イングランド代表FWのピーター・クラウチは「周囲の味方を生かすことのできる、非常に珍しいFW」と説明する。その言葉どおりだ。
フィルミーノの基本ポジションは4−3−3のCF。だが、役割は純粋なCFのそれではない。
最前線からやや低め目の場所にポジションを取り、味方の位置取りを確認しながら、両翼のサディオ・マネやモハメド・サラーにスルーパスを供給する。そうかと思えば、自らもペナルティエリア内に侵入し、ラストパスを呼び込んでシュートまで持っていく。
その際も、周りにフリーの味方がいればワンタッチで落とし、効率的にチャンスを生み出している。サラー、マネとの優れた連係も大きな武器。いわば、攻撃をスムーズにする潤滑油のような役割を果たして、リバプールにとって欠くことができない存在と言える。
フィルミーノがとくに優れているのは、首を左右に振って周囲の状況を常に把握している点だ。
ボールを受けた時には味方の位置が頭の中にあるから、ヒールキックやワンタッチパスで味方のチャンスを演出できる。プレミア第5節のエバートン戦(10月17日)でも後方にいるサラーにボールを素早く落とし、エジプト代表FWがシュートまで持っていくシーンが何度かあった。
ユルゲン・クロップ監督の信頼は数字に現れている。2015年10月に発足したクロップ体制で、フィルミーノの試合出場数はクラブ最多(244試合)。2位のジェームズ・ミルナー(212試合)、3位のジョルジニオ・ワイナルドゥム(194試合)を大きく引き離している。
このフィルミーノとポジションが重なっているのが南野拓実だ。
4−3−3の場合はCF、4−2−3−1の場合はトップ下で、プレー位置が被る。実際、10月21日のCLアヤックス戦と24日のシェフィールド・U戦の両方で、日本代表FWはフィルミーノと入れ替わりでピッチに入った。
だが、ふたりのプレースタイルは大きく異なる。
南野が得意とするのは、ペナルティエリア付近でフリースペースに侵入し、パスを受けて鋭いターンで突破するプレー。あるいは、クロスボールが入りそうになれば、空いているスペースに入り込んでシュートを放つ。「周囲を生かす」というよりも、「生かされてこそ輝く」タイプだろう。
もうひとつの武器が、前線から強度の高いディフェンスができる点。運動量も豊富で、前線から中盤にインテンシティを注入できる。守備強度と運動量で言えば、南野はブラジル代表FWを上回っている。
実際、南野は後半15分から出場したアヤックス戦で効いていた。1点を追いかけるアヤックスに対し、前線から積極的に守備で貢献。相手が前がかりになったところを突き、カウンターからチャンスも作った。守備に強く、縦に速い攻撃でチャンスに絡む----。まさに、南野の特性が生きる展開だった。
「タキ(南野)はマシーンだ。あらゆる場所にいた。悪魔のようなディフェンスをし、攻撃面でも本当によく関わっていた。攻守両方でよく動き、ライン間で信じられないようなプレーをした」。クロップ監督もそう評価していた。
現状として、南野はフィルミーノのバックアッパーの扱いになっている。だが、そのブラジル代表FWとの共存が、レギュラー奪取のポイントになるように思う。
8月に行なわれたアーセナルとのコミュニティーシールドでは、ブラジル代表FWをトップ下に、南野を左MFに入れた4−2−3−1を後半途中から採用。この試合で、日本代表は貴重な同点弾を奪った。
また、シーズン前のプレシーズンマッチ・ブラックプール戦では、フィルミーノをCFに、南野をトップ下に入れた4−2−3−1を用いた。周囲を生かすフィルミーノと、2列目から果敢にゴール前へ飛び込んでいく南野。ふたりの連係は7−2の大勝を生んだ要因となり、南野も1ゴール1アシストの活躍を見せた。
リバプールは今、週2試合をこなす連戦の真っ只中にある。次戦は、週末のシェフィールド・U戦から中2日で行なわれるCLのミッティラン戦(27日)。この試合で南野に先発のチャンスがまわってくると予想されるが、はたしてクロップ監督はどんな采配、人選で臨むか。
南野は以前、4−3−3のCFの位置で起用された際に、自身のプレーについて次のように語っていた。
「スタメンの選手の代わりをやろうというわけではなくて、自分のプレーをすればいいんじゃないかなと思っていました」
南野の考える「自分らしいプレー」。日本代表FWと最も相性がいいのは、ポジション争いのライバルとされる、フィルミーノである気がしてならないのだ。