久保建英(ビジャレアル)を筆頭に、多くの逸材が顔を揃える01年生まれ世代。今季のJリーグでは高卒ルーキーたちが例年以上…

 久保建英(ビジャレアル)を筆頭に、多くの逸材が顔を揃える01年生まれ世代。今季のJリーグでは高卒ルーキーたちが例年以上に結果を残しており、海外でプレーしている選手も含めて将来が楽しみな選手がずらりと揃う。そこで今回は、久保世代の注目プレーヤー11人をピックアップ。近い将来、世界で活躍する可能性を秘めたタレントを紹介する。



高卒ルーキーとして鹿島で光るプレーを見せる荒木遼太郎

荒木遼太郎
(あらき・りょうたろう/MF/鹿島アントラーズ/170センチ・60キロ/2002年1月29日生まれ)

 染野唯月、松村優太など、高卒ルーキーたちが躍動している鹿島アントラーズにおいて、最も輝きを放っているのが東福岡高出身の荒木遼太郎だ。

 高校時代はトップ下やボランチを主戦場とし、「土居聖真のように2列目で活躍してほしい」と鹿島の椎本邦一スカウトが見込んでいたとおり、サイドハーフで躍動している。

 春のキャンプから結果を残すと、リーグ戦では現在21試合に出場して2ゴールを記録。相手の最終ラインとボランチの間でボールを受け、正確なパスやキレのあるドリブルからチャンスを演出した場面は数知れない。

 昨秋のU-17ワールドカップにはケガの影響で出場できず、世界の舞台を経験できなかった。当時はショックを受けて悔しさを噛みしめたが、その経験を糧にして一歩ずつ前に進んできたからこそ今がある。

 U-19日本代表には継続的に招集を受けており、目指すは来年のU-20ワールドカップ。「自分としては気持ちも完全に切り替わって、新しい気持ちでU-19の代表に臨んでいる。選ばれるようにここでしっかりアピールしていきたい」と荒木。インテリジェンス溢れるプレーで、世界を驚かせる日もそう遠くないはずだ。



東京Vでポジションを掴んでいる、藤田譲瑠チマ

藤田譲瑠チマ
(ふじた・じょえる・ちま/MF/東京ヴェルディ/172センチ・70キロ/2002年2月16日生まれ)

 高校2年生までは無名だった。だが、昨秋のU-17ワールドカップでブレイク。プロ1年目の今季は、東京Vでレギュラーを務めるなど、シンデレラストーリーを駆け上がっている攻守のリンクマンだ。

 飛躍のきっかけは昨年7月の新潟国際ユース大会だった。「呼びたかったけど、高校2年までチームで試合に出られていなかった」と言うU-17日本代表の森山佳郎監督が、東京Vユースでポジションを掴んだ高校ラストイヤーに代表へ招集した。

 すると、ボール奪取能力と的確なコーチングでチームを動かし、抜群のサッカーセンスで指揮官を唸らせた。評価を高めると9月にはJデビュー。その後も継続的に代表へ呼ばれて世界の舞台で輝きを放った。

 U-19日本代表ではボランチを務め、存在感を高めている。ナイジェリアにルーツを持つ男は、来年のU-20ワールドカップで再び世界を驚かせられるか。ステップアップする可能性は十分にある。



圧倒的なスピードが魅力の小田裕太郎

小田裕太郎
(おだ・ゆうたろう/FW/ヴィッセル神戸/181センチ・70キロ/2001年8月12日生まれ)

 アンドレス・イニエスタなど技巧派が揃う神戸において、異質な才能を示しているアタッカーだ。最大の武器は圧倒的なスピードとサイドからのカットイン。マークが複数いても、局面を強引に打開できるスキルは唯一無二の武器だろう。

 神戸U-18から昇格した今季は、ルーキーながら14試合に出場。決して多いとは言えない出場時間ながら、サイドで異彩を放っており評価を高めている。19節のコンサドーレ札幌戦では途中出場でプロ初得点をマーク。右サイドを駆け上がり、一気にゴールを陥れた一撃は多くの人にインパクトを与えた。

 ワールドカップなどの国際大会は経験していないが、U-19日本代表ではサイドハーフのレギュラーに近い存在。昨夏のSBS杯では3戦3発。最終戦ではコロンビア相手にカットインから強烈なミドルシュートを突き刺すなど、身体能力が高い海外選手と互角に渡り合った。

 守備面などで課題を抱えているが、それを補って余りある魅力を持つ。憧れの存在はキリアン・エムバペ(パリ・サンジェルマン)。フランス代表を牽引する若きエースのように、世界を驚かせるか、注目したい。



圧倒的なスキルで驚きのプレーを見せる、西川潤

西川潤
(にしかわ・じゅん/FW/セレッソ大阪/180センチ・70キロ/2002年2月21日生まれ)

 圧倒的なスキルでゴールに絡むレフティは面白い。「ボールを持てば何かしてくれる」。そんな雰囲気を持つファンタジスタが、世界を驚かせたのは昨秋のU-17ワールドカップだ。

 オランダとの初戦で1得点2アシスト。とくに若月大和(スイスリーグ、シオン所属/18歳)の2ゴールを演出したスルーパスは、スピード、質ともに申し分のない一級品の技だった。

 横浜FMの下部組織で育った中学時代から注目され、桐光学園高校では1年次から中村俊輔(横浜FC)が背負った10番を任された。2年次のインターハイ準々決勝・富山第一高校戦では衝撃の4人抜き弾を決めるなど、チームの準優勝に貢献。翌年は同大会でリベンジを果たし、チームを初優勝に導いたのは記憶に新しい。

 エリート街道を走ってきたように見える一方で、挫折から何度も這い上がってきた苦労人でもある。冬の高校サッカー選手権では2年次に出場しただけで、それ以外はいずれも予選決勝で敗退。飛び級で出場した昨年のU-20ワールドカップでも、結果を残せなかった。そうした経験をする度に壁を乗り越え、成長を果たしてきた。

 欧州のクラブが興味を示しているなかで、現在C大阪ではプロの壁に当たっているようだが、徐々に出場機会を増やしている。組織のなかで個性を生かす術を模索し、J1での経験がさらなる成長の原動力となるだろう。

 久保建英(ビジャレアル)と並んでこの世代を引っ張ってきたアタッカーは、飛躍の時を見据えて地道に積み重ねていく。



久保に負けず劣らずのサッカー小僧ぶりを見せてきた斉藤光毅

斉藤光毅
(さいとう・こうき/FW/横浜FC/170センチ・61キロ/2001年8月10日生まれ)

 横浜FCユース史上最高のタレントは、昨年のU-20ワールドカップに飛び級で出場。グループステージ最終戦の負傷で無念の離脱となったが、世界の舞台でも十分に戦えることを証明した。

 昨季は高校3年生ながら、J2で29試合出場6ゴール。その才能を遺憾なく発揮した。今シーズンは初のJ1参戦ながら、最前線や2列目から変幻自在の仕掛けで21試合3ゴールを記録している。U-19日本代表でもエース候補のひとりとして、掛けられている期待は大きい。

 そんな斉藤の武器はサッカーに取り組む姿勢。生粋のサッカー小僧で、暇さえあればボールを蹴る姿は、同い年の久保建英に通ずるものがある。それを象徴するのが高校2年次の冬の出来事だ。

 U-19日本代表のブラジル遠征と、U-18高円宮杯プリンスリーグ関東の参入戦がバッティング。最終戦の前日に帰国するため出場できないと見られていた。しかし、30時間のフライトを経て成田空港に到着すると、翌日には午前中のゲームに出場。自らゴールも奪い、チームの勝利に貢献する離れ業をやってのけた。

 サッカーに対する姿勢が成長の原動力。誰よりも楽しみながらプレーする斉藤が、近い将来に海を渡ったとしてもおかしくない。



大迫勇也のプレーを彷彿させるFW、染野唯月

染野唯月
(そめの・いつき/FW/鹿島アントラーズ/179センチ・67キロ/2001年9月12日生まれ)

  ロールモデルは日本代表の大迫勇也(ブレーメン)だ。足元の技術、得点感覚、懐の深いポストプレー。いずれも鹿島でプレーした先輩を彷彿させ、立ち姿も近いものがある。

 染野が最初にその名を轟かせたのは、尚志高校でプレーしていた2018年度の高校サッカー選手権。高校2年生でエースを託されると、得点王の活躍でチームの4強入りに大きく貢献した。とりわけ、凄まじかったのは準決勝の青森山田高校戦。チームは敗れたものの、のちの全国王者からハットトリックを決めて非凡な才能を知らしめたのはいまでも語り草だ。

 ボランチを務めていた鹿島アントラーズつくばジュニアユース時代は結果を残せず、ユース昇格は見送りに。だが、尚志高でFWに転向して才能が花開き、今季から再び鹿島のユニホームに袖を通した。

 ケガがちだったこともあり、1年目からどれだけやれるかは未知数だったが、今季はここまでリーグ戦12試合に出場。ルヴァンカップ第3節の清水エスパルス戦ではプロ初ゴールを決めるなど、徐々に存在感を増している。

 実力者が揃うU-19日本代表でレギュラーとなり、世界の舞台で戦う姿を見てみたい選手のひとりだ。