いいことは長続きしないものだ......。 横浜FCの三浦知良が53歳6カ月28日でJ1最年長出場の新記録を達成したの…
いいことは長続きしないものだ......。
横浜FCの三浦知良が53歳6カ月28日でJ1最年長出場の新記録を達成したのが、9月23日のJ1リーグ第18節・川崎フロンターレ戦。それまで中山雅史(当時コンサドーレ札幌/現アスルクラロ沼津)が45歳2カ月1日で保持していたJ1最年長出場記録を、プロ生活35年目の"キング"が塗り替えた。

中村俊輔は黄金世代よりひとつ年上の42歳
J1でのプレーが13年ぶりとなる今季のカズは、9月13日の第16節・名古屋グランパス戦で初めてベンチ入り。この試合での出番はなかったものの、その翌々節の川崎戦でスタメン出場した。
しかし、そこから1カ月。カズの姿は再びピッチ上どころか、ベンチで見ることも叶っていない。
アーネスト・ヘミングウェイの『老人と海』の主人公サンチャゴは、人生で最大のカジキを釣り上げたがためにサメの群れから追われることになり、冒頭のセリフを吐く。そこから気を取り直して『人間は負けるように造られてはいないんだ』と絶望的な状況を打破していくが、カズもきっと困難を打ち破り、再びピッチ上で勇姿を見せてくれるはずだ。
1994年にジーコ(当時鹿島アントラーズ)が41歳3カ月12日、1998年にラモス瑠偉(当時ヴェルディ川崎)が41歳9カ月4日でJ1最年長出場を記録した頃、50代はおろか、40代の現役選手ですら特異な存在だった。
しかし、Jリーグ元年から日本サッカー界を牽引してきたカズが今なお現役生活を続けることで、その背中を追うように、40歳を超えても現役を続ける選手は増えている。そこで今回は黄金世代よりも上の年齢で現役を続ける6人の『オーバー42』をクローズアップしたい。
まずはカズとともに、川崎戦で横浜FCのスタメンに名を連ねた中村俊輔も『O-42』だ。
川崎戦で記録した42歳2カ月30日の出場は、J1歴代最年長出場記録でカズ、中山、土屋征夫(当時ヴァンフォーレ甲府/2019年引退)の42歳3カ月3日に次ぐ歴代4位。川崎戦後にカズは試合に出場していないが、中村は第22節のベガルタ仙台戦にも出場している。
今季の中村はFC東京戦までの23試合のうち、スタメン3試合を含めて9試合に出場。J1通算400試合出場まであと5試合に迫っていることもあり、最年長出場記録で歴代3位の土屋を抜くのは時間の問題だろう。
カズに記録を破られた中山も、いまだ現役選手だ。
ジュビロ磐田の黄金期を築き、J1リーグ通算355試合出場で157ゴール。札幌在籍時の2012年11月24日の出場を最後に一度は現役を引退したものの、2015年に当時JFLだった沼津で現役復帰した。
ただ、一度目の引退の原因となった重度の変形性ひざ関節症を抱える中山は、復帰後は一度も公式戦のピッチには立っていない。2017年からJ3を戦うチームで奇跡の復活劇は実現するのか。
その沼津には、1974年生まれの伊東輝悦も在籍している。
Jリーグ元年の1993年に清水エスパルスに加入し、1996年のアトランタ五輪ではブラジルから決勝点を奪って大金星の立役者になった。J1でのプレーは甲府在籍時の2013年の6試合が最後で、J1通算517試合30得点。
2014年の長野パルセイロからJ3を渡り歩き、2016年はブラウブリッツ秋田、2017年からは沼津に所属している。ただ、2017年と2018年のリーグ戦出場はゼロ。昨季は3シーズンぶりに1試合に出場してJ3最年長出場記録を45歳2カ月24日に塗り替えたが、今季はいまだベンチ入りもない。
一方、J2最多出場記録を持つ水戸ホーリーホックのレジェンドGKは、今季は2年4カ月ぶりにピッチに立った。
1977年4月27日生まれの本間幸司は、1996年に水戸短大付属高から浦和レッズに加入。しかし、浦和での3年半は1試合も出場できず、1999年途中に当時JFLだった地元の水戸に移籍した。
2000年のJ2昇格から2018年まで574試合で守護神を務めたが、昨季はキャリア2度目の出場ゼロに終わった。今季は第22節の「北関東ダービー」ザスパクサツ群馬戦に先発し、3ー1の勝利に貢献している。
その水戸で2018年、40歳にして念願のJリーガーとなったのが、異色の経歴を持つ安彦孝真だ。
本間と同学年の1978年2月1日生まれの安彦は、40歳を手前にしてプロサッカー選手になることを決意し、2018年に水戸の練習生として参加。そこで認められて、同年3月に「年俸10円」という異例の契約で水戸入りを果たした。しかし、J2の舞台で出番は得られなかった。
ところが昨季、今度は「年俸120円」でJ3のYS横浜と契約すると、3月10日の開幕戦・ガイナーレ鳥取戦で41歳1カ月9日にしてJリーグデビューを果たし、J3でリーグ戦8試合に出場。今季は第22節までにベンチ入りした5試合のうち3試合に途中出場し、本人いわく「現役ラストイヤー」でのJ初ゴール達成に向けて全力で挑んでいる。
年齢を重ねてもなお、ピッチに立つことをあきらめない『O−42』。彼らはキャリアの全盛期に備えていたものを失っても、それを嘆くのではなく、今あるもので何ができるかを常に考えている。
とにかく、毎日が新しい日なんだ、とばかりに......。