レース本番を前にして、東西のトレセンでは早くも"お手上げ"ムードが高まっている。 10月25日に行なわれる3歳牡馬クラ…
レース本番を前にして、東西のトレセンでは早くも"お手上げ"ムードが高まっている。
10月25日に行なわれる3歳牡馬クラシック最後の一戦、GI菊花賞(京都・芝3000m)の話だ。大本命コントレイル(牡3歳)の強さに対して、ライバル陣営は戦意喪失状態にあるという。

三冠達成へ、順調に調整を重ねているコントレイル
「菊花賞は3000mの長丁場。それだけの距離があれば、道中何があるかわからない」
前哨戦のGII神戸新聞杯(9月27日/中京・芝2200m)の前には、そう語る陣営もあったそうだ。だが、神戸新聞杯が終わるや、そんな声は途端に消えた。
コントレイルが余りにも強かったからだ。
スタートからゴールまで、鞍上の福永祐一騎手の手綱はほとんど動かなかった。道中は馬込みのインで、やや窮屈そうな感じに見えたが、コントレイルは苦しい素振りなどまったく見せなかった。
直線を向いて、福永騎手の手がわずかに動いたが、ムチを入れるようなことは一切なかった。それでも、馬群にわずかな隙間を見つけるや、馬なりで難なく抜け出してきた。
結果は、後続に2馬身差をつけての完勝だ。この、能力の違いを見せつけるようなコントレイルのレースぶりが、ライバルたちを黙らせたのだ。関西の競馬専門紙記者が語る。
「(コントレイルは)日本ダービー(5月31日/東京・芝2400m)の時は、抜け出すとソラを使いましたが、神戸新聞杯ではそういうところをまったく見せなかった。この馬の場合、もともと完成度が高いので、成長の必要はあまりないのですが、そうした点を含めて、夏を越しての成長が感じられました。つまり、ますます強くなっている、ということ。ですから、他陣営が怖気づくのも無理はありません」
となると、史上8頭目の三冠馬にして、史上3頭目の無敗の三冠馬誕生--菊花賞を勝って、コントレイルがそう呼ばれる可能性は、限りなく100%に近いように思われる。
コントレイルにとって、さらにラッキーなことは「三冠馬が誕生する時はいつもそう」と言われるように、今年もまた、相手が弱い。しかも、春からほとんど勢力図が変わっていないなか、GI皐月賞(4月19日/中山・芝2000m)、ダービーで2着となり、最大のライバルと目されていたサリオスが路線変更したとなれば、もはや敵なしだ。
コントレイルの長所は、何と言っても"対応力"に優れていること。それは、"頭のよさ"と言い換えてもいい。
そのため、どんな競馬場かはもちろん、どんな馬場状態かも問わない。加えて、まったく違うレースとなった皐月賞とダービーを制しているように、展開も問わない。
確かに菊花賞の3000mという距離は、この馬にとって適距離ではない。だからといって、苦にする距離でもない。
だいたい、出走予定馬で3000m戦を経験している馬は1頭もいない。すべての馬にとって、未知の舞台となる。となれば、コントレイルの優れた"対応力"が一段とモノを言うはずだ。何より、他馬とは備わっているポテンシャルが、二枚も、三枚も違う。
唯一、コントレイルを負かせる馬がいるとすれば、"強い逃げ馬"だろう。長距離戦では、逃げ馬が波乱を起こすことが多いからだ。
菊花賞でも1998年に、驚異的なハイペースで逃げたセイウンスカイが、断然人気のスペシャルウィークの追撃を振り切って完勝している。そんな芸当ができる馬がいるかどうか、だ。先述のトラックマンが言う。
「セイウンスカイは、前半の1000mを59秒台でいって、中盤の1000mを64秒台に落として、最後の1000mを再び59秒台でいって踏ん張った。あれほど強力な逃げを打てる馬は、今回のメンバーの中には見当たらない。また、あんな逃げを可能にした横山典弘騎手のような、"腹の据わった"騎乗ができる騎手も見当たりません」
要するに、コントレイルのライバルはいない、ということだ。
「菊花賞を勝つのは強い馬」--今年の菊花賞は、その格言をあらためて証明してくれるのではないだろうか。