タイガー・ウッズが戦いの舞台に戻って来る。 9月に開幕した2020-2021シーズンは、ウイングドフットGC(ニューヨーク州)で開催された全米オープン(9月17日~20日)に出場したのみ。以降、4週はオフに入っていたが、ディフェンディング…
タイガー・ウッズが戦いの舞台に戻って来る。
9月に開幕した2020-2021シーズンは、ウイングドフットGC(ニューヨーク州)で開催された全米オープン(9月17日~20日)に出場したのみ。以降、4週はオフに入っていたが、ディフェンディングチャンピオンとしてZOZOチャンピオンシップ(10月22日~25日/カリフォルニア州)に臨む。
ZOZOチャンピオンシップ連覇を狙うタイガー・ウッズ
昨年はPGAツアー初の日本開催として、千葉県の習志野CCで行なわれた同トーナメント。松山英樹の猛追を受けながらも、ウッズはツアー最多に並ぶ通算82勝目を飾った。その感動的なシーンが、いまだ脳裏に焼き付いている日本のファンも多いことだろう。
しかし、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、秋のアジアシリーズはすべて中止。本来韓国で開催されるCJカップ(10月15日~18日)はネバタ州ラスベガスで行なわれ、ZOZOチャンピオンシップもカリフォルニア州ロサンゼルスで行なわれることになった。
本当なら、ウッズが大会連覇を飾る姿を日本で見られたかもしれない。それを楽しみにしていた日本のファンにとっては、非常に残念なことである。
ともあれ、今年の舞台となるシャーウッドCCは、ウッズにとって、非常に馴染み深いコース。PGAツアーの競技はこれまで開催されていないが、毎年12月に開催されるウッズ主催のヒーロー・ワールドチャレンジは、2000年~2013年まで同コースで行なわれていた。
その間、ウッズは5度の優勝を飾っている。その相性のよさを考えれば、ウッズの大会連覇の可能性は、むしろ高まったのかもしれない。
さて、肝心のウッズだが、現在の調子はどうなのか。
今年は年明けから腰の状態の悪さに悩まされ、試合出場を制限している、という状況にある。昨秋、日本で勝利を挙げて以降、勝利はなし。今年1月のファーマーズ・インシュランスオープンでは9位とまずまずの成績を残したが、次に出場した2月のジェネシス招待では予選通過こそ果たしたものの、68位と最下位に終わった。
その要因は、やはり腰の痛み。特に寒さは大敵で、気温が低かった大会では「背骨の下のほうがかなり硬くなってしまう」と吐露し、苦痛の表情を浮かべていた。
その結果、自宅近くで開催されるメリットがありながら、3月のフロリダシリーズの欠場を決断。ホンダクラシック、アーノルド・パーマー招待、「第5のメジャー」と呼ばれるプレーヤーズ選手権(中止)と、すべて休んで腰の回復に努めた。そんななか、コロナ禍でツアー自体が中断となった。
新型コロナウイルス感染拡大は予期せぬことで、ウッズの療養はあくまでもマスターズを見据えてのことだった。昨年4月、スポーツ史上「最も偉大なカムバック」とも言われたマスターズでの戴冠。メジャー通算15勝目を決めたウッズにとって、今年もマスターズで勝つことが最大の目標だった。
実際、ツアー再開後にウッズは「3月末には腰も良好で、4月2週目のマスターズの頃には、ちょうど僕のゴルフは"ピーク"を迎えていた」と話している。
ツアー中断中、ウッズはフロリダ州の自宅でほとんど過ごしていた。幸いなことに、ウッズがホームコースにしているメダリストGCは早い段階でプレー可能となり、ほぼ毎日のようにコースに出ていたという。
また、ウッズが住むフロリダ州ジュピターには、他にも多くのツアープロが居住。若手のジャスティン・トーマスやリッキー・ファウラーらと一緒にラウンドすることも多かったようだ。ちなみに、ウッズの長男チャーリー君(11歳)が出場するジュニア大会では、キャディーを務めるウッズの姿が見られている。
ただ、6月のツアー再開後、ウッズの調子自体はいいとは言えない。7月のメモリアル・トーナメントで復帰したが、40位タイでフィニッシュ。8月のメジャー、全米プロ選手権も37位タイに終わった。
フェデックスカップ・プレーオフでは、2戦目のBMW選手権で敗退。最終戦のツアー選手権に駒を進めることができなかった。さらに、新シーズンを迎えて挑んだ9月の全米オープンでは、2日目に「77」と崩れて予選落ちを喫した。
全米オープンで「77」と崩れた要因は、ティーショットが不安定だったことだ。「ドライバーが思ったようにスイングできなかった」とウッズは語る。
だが一方で、「アイアンは好調だし、ようやくパットが決まってきた。これは、すごく大きいこと」と、復調の手応えを感じている。そして、今後の展望についてこう語った。
「次は、ZOZOチャンピオンシップと(11月の)マスターズ。タイトルディフェンドと大きな試合が待っている。(ティーショットも)それまでにしっかり修正して臨む」
思えば、昨年のZOZOチャンピオンシップ優勝も、不調からの復活劇だった。およそ1カ月ぶりの復帰戦、ウッズはどんなプレーを見せてくるのか。劇的なカムバックに期待したい。