1部、2部ともに序盤戦を終えたドイツ・ブンデスリーガ。日本人選手たちも試合に出場し、ピッチ上でプレーする姿を見せている…
1部、2部ともに序盤戦を終えたドイツ・ブンデスリーガ。日本人選手たちも試合に出場し、ピッチ上でプレーする姿を見せている。プレシーズンの準備を含め、ここまでの今季の日本人選手たちの評価は、どのようなものだろうか?
ドイツ国内をはじめ、世界中でサッカー選手たちの市場価格の目安と使われているポータルサイト『トランスファーマルクト』で、日本および日本人選手を担当しているトビアス・ドライマン氏に解説・分析をしてもらった。
ドライマン氏は、同サイトでデータスカウトおよび選手の市場価格アナリストとして活躍する一方、ドイツ国内のJリーグ放送でも日本サッカーのエキスパートとしてコメンテーターも務めている。ドイツ国内の日本人選手のアクチュアルな情報にも精通しているドライマン氏の評価は、ドイツでの日本人選手の評価を正確に反映している。
4位
遠藤航(シュツットガルト):市場価格250万ユーロ(3億750万円)
遠藤航は19年の夏に当時2部にいたシュツットガルトに移籍し、シーズン途中から不動のポジションを獲得した。
今では、攻守のバランスを担う存在として欠かせない選手のひとりとなり、第3節は『キッカー』のベストイレブンに選出されるまでの活躍を見せている。
シュツットガルトのファンのなかには、1部残留のキープレーヤーになると見ている人々もいる。ケガなくシーズンを過ごせれば、この27歳の守備のオールラウンダーは、日本代表の定位置獲得を目指してアピールしつづけることができるはずだ。
3位
大迫勇也(ブレーメン):市場価格300万ユーロ(3億6900万円)
昨季のブレーメンの1部残留に貢献した大迫勇也は、今季のスタートを見る限り、出場時間を確保できるか心配しなければならない。
最前線にはダヴィー・ゼルケとニクラス・フュルクルクというライバルがおり、定位置争いも厳しくなっている。フロリアン・コーフェルト監督の戦術的変更も大迫の不調の要因になっている。開幕戦の低調なパフォーマンスに観客席のファンたちからブーイングを受けると、大迫がナーバスになっているのはすぐに見て取れた。簡単なボールタッチでも、普段なら考えられないようなミスをしていたからだ。
クラブ内部は、大迫が精神的に負のスパイラルに陥っていることに理解を示し、この負の連鎖を断ち切らなければならないと意見が一致している。コーフェルト監督は、選手を擁護している。だが、その一方でプロとして30歳を迎えた選手は、ファンの批判へ対処できるだけの経験を備えているのもわかっている。
近いうちは、大迫が先発として定期的にプレーすることは期待できないだろう。今のところ、クラブのファンたちからも厳しい目で見られている。それに加えて、現状では大迫の代わりに出ている選手のほうが、優れたパフォーマンスを見せ、チームもうまく回っている。
2位
堂安律(ビーレフェルト):市場価格630万ユーロ(7億7490万円)
ノルトライン・ヴェストファーレン州東部の昇格組、アルミニア・ビーレフェルトにとって、堂安律はワンランク上の選手だ。それは、『トランスファーマルクト』でも見られるように、ほかの選手たちと比べて市場価値が高額なだけではない。このガンバ大阪出身の若手選手が、ビーレフェルトの一員としてブンデスリーガで見せているプレーが、そのような印象を与えているのだ。堂安は、すぐさまチームのシステムに馴染んでしまった。昇格組として非常に守備的に戦い、カウンターに集中しなければならない難しい環境にもかかわらずだ。
突出したドリブルはもとより、コーナーキックも務めるキックのうまさがある。それに加えて、距離のあるところからの危険なミドルシュートも注目を集めるようになった。とはいえ、ビーレフェルトで戦う厳しいシーズンで、ドリブルやセットプレー以外のシーンで数多くの見せ場をつくれるかは、疑問が残る。先発の座は確保しているだけに、少ないチャンスを活かす必要がある。
1位
鎌田大地(フランクフルト):市場価格1200万ユーロ(14億7600万円)
昨季シント・トロイデン(ベルギー)へのレンタルから戻ってきた鎌田大地は、層が厚くなったチームのメンバーの一員としてコンスタントにプレーした。昨季のヨーロッパリーグや、序盤のリーグ戦での数字に表れる活躍(今季1得点2アシスト)は、高い評価を納得させるものだ。
鎌田自身も自覚しているが、守備面に少し難がある。だが、このウィークポイントを考慮に入れても、この日本代表選手は、フランクフルトですばらしいキャリアをさらに積める可能性を秘めている。
その証拠に、クラブの首脳陣は鎌田の成長をポジティブに評価し、2023年夏までの契約延長を決めた。キックの精度も認められ、コーナーキックやフリーキックなどのキッカーも任されている。広い視野をキープしながら、前線でのアタッキングに運動量豊富に参加することで、その存在は際立っている。
その積極性は、彼のファーストゴールにもつながった。アディ・ヒュッター監督は、今季のフランクフルトに3-4-1-2を採用し、鎌田はトップ下として不動のポジションを確保している。ヒュッター監督は、状況に応じて3-1-4-2に変更し、中盤に攻撃的な4枚を並べることもあるが、その際にも攻撃のタクトを振るう鎌田はヒュッターのシステムで欠かせない選手となっている。
【トランスファーマルクトのブンデスリーガ日本人選手市場価格ランキング】
1位 鎌田大地:1200万ユーロ(14億7600万円)
2位 堂安律:630万ユーロ(7億7490万円)
3位 大迫勇也:300万ユーロ(3億6900万円)
4位 遠藤航:250万ユーロ(3億750万円)
5位 原口元気:160万ユーロ(1億9680万円)
6位 遠藤渓太:130万ユーロ(1億5990万円)
7位 室屋成:100万ユーロ(1億2300万円)
8位 長谷部誠:80万ユーロ(9840万円)
9位 宮市亮:65万ユーロ(7995万円)
10位 アペルカンプ真大:22万5000ユーロ(2767万5000円)