2020年10月12日〜16日、千葉県鴨川市・東条海岸(マルキポイント)において「ショートボード・ロングボード特別戦さわかみチャレンジシリーズ 鴨川」(以下、「さわかみチャレンジシリーズ」)が開催された。12日〜13日に行われたロングボード…

2020年10月12日〜16日、千葉県鴨川市・東条海岸(マルキポイント)において「ショートボード・ロングボード特別戦さわかみチャレンジシリーズ 鴨川」(以下、「さわかみチャレンジシリーズ」)が開催された。
12日〜13日に行われたロングボードクラスでは、男子は塚本将也、女子は吉川広夏が優勝。続いて14日〜16日に行われたショートボードクラスでは、男子は西慶司郎、女子は脇田紗良が優勝を果たした。

今大会は、新型コロナウィルス感染症の流行の影響を受けて中止された「JPSAジャパンプロサーフィンツアー2020」の特別戦として開催。ツアーに出場出来なかった選手たちが多数参加し、その鬱憤を晴らすかのような激戦が繰り広げられた。

新型コロナウィルス感染症拡大予防対策を厳重に実施し、開催
会場 photo by JPSA

他のスポーツやイベントと相違なく、新型コロナウィルス感染症の流行の影響を受けて「 ジャパンプロサーフィンツアー2020」全試合の中止を余儀なくされたJPSAだが、今回の「さわかみチャレンジシリーズ」は健康管理手帳の提出、会場での検温や消毒、十分な距離の確保など、厳重な感染予防対策を実施のもとに開催が実現した。


大会会場 photo by JPSA

大会期間中は連日、天候と波のコンディションに恵まれた。選手がエアーリバースなどのパワフルな技を披露すると、関係者席やメディアプレス席では時折、歓声が起こった。また、各ヒートの勝利者インタビューでは「ずっと試合ができる日を待っていた」「やっぱり試合は楽しい」といったコメントが多く、試合後の笑顔が印象的だった。

注目の女子ショートボードクラスでは脇田紗良が9.50の最高点をマーク
脇田紗良 photo by JPSA

脇田は前日の練習で右足首をひねり、テーピングを巻いた状態で試合に臨んだ。前半は勢いのある松田詩野に先行を許したが、終盤には今大会ハイエストスコアである9.50をマークし、逆転。みごと優勝を勝ち取った。脇田は、「この試合のために、トレーニングなどで身体を調整してきた。勝てて嬉しい。みんなの応援のおかげで勝てました。ありがとう」とコメント。対戦相手となった松田詩乃も、脇田に負けずパワフルなカーヴィングを魅せたが、JPSA初優勝とはならなかった。脇田と松田の両選手は、オリンピック出場候補として名前が上がっている今大会の注目選手。それだけに、ファイナルは白熱した試合展開となった。


脇田紗良 photo by JPSA
脇田紗良 photo by JPSA
脇田紗良 photo by JPSA
松田詩野 photo by JPSA
松田詩野 photo by JPSA
松田詩野 photo by JPSA

男子は西慶司郎が猛烈な追い上げ。大原洋人は雪辱を果たせず


西慶司郎 photo by JPSA

男子優勝者の西慶司郎は、並いる強豪を抑えてファイナルまで駒を進めた実力者。前半は大原に合計9.90の得点を許すも、後半の追い上げで合計10.37ポイントを獲得し、そのまま優勝をもぎ取った。西は、「いつ逆転されてもおかしくない、一秒も油断できない試合でした。でも、朝からいい波が割れているポイントがあったので、そこを狙えれば自信はありました」と話した。
大原は、2015年にカリフォルニア州ハンティントンビーチで行われたWQSイベント「Vans US Open of Surfing」で、日本人として初優勝したほどの猛者。しかし、以前に釣ヶ崎海岸(志田下ポイント)で行われたJPSAでは西に敗北したため、今大会でのリベンジを誓っていたが、雪辱を果たすには至らなかった。


西慶司郎 photo by JPSA
西慶司郎 photo by JPSA
大原洋人 photo by JPSA
大原洋人 photo by JPSA
大原洋人 photo by JPSA

女子ロングボードクラスは吉川広夏が接戦を制した。男子クラスは塚本将也


吉川広夏 photo by JPSA

女子クラスで優勝の吉川は、田岡なつみと接戦となったファイナルを振り返り、「久しぶりの試合ということで力が入っていましたが、田岡選手とは普段から一緒にサーフィンする仲なので、リラックスして試合ができました。それが優勝につながったと思います」と弾んだ声で語った。


吉川広夏 photo by JPSA
吉川広夏 photo by JPSA
田岡なつみ photo by JPSA
田岡なつみ photo by JPSA

一方の男子ロングボードクラスでは、井上鷹らを抑え、塚本将也が優勝。現在は大学四年生という塚本は、一年生以来、三年ぶりの優勝だという。「コロナ禍で試合がない中、いつでも動けるようにしっかり準備して臨みました。練習の成果が出てよかったです。応援ありがとうございました」とコメントを寄せた。


塚本将也 photo by JPSA
塚本将也 photo by JPSA
塚本将也 photo by JPSA
井上鷹 photo by JPSA
井上鷹 photo by JPSA

大会結果

ショートボードクラス

男子


左から優勝西慶司郎、2位大原洋人 photo by JPSA
左から3位西優司、金沢呂偉 photo by JPSA

優勝:西慶司郎
2位:大原洋人
3位:西優司、金沢呂偉

女子


左から優勝脇田紗良、2位松田詩野 photo by JPSA
左から3位庵原美穂、川合美乃里 photo by JPSA

優勝:脇田紗良
2位:松田詩野
3位:庵原美穂、川合美乃里

ロングボードクラス

男子


左から優勝塚本将也、2位井上鷹 photo by JPSA
左から3位西崎公彦、鈴木剛 photo by JPSA

優勝:塚本将也
2位:井上鷹
3位:西崎公彦、鈴木剛

女子


写真左から優勝吉川広夏、2位田岡なつみ photo by JPSA
左から3位松本望希、大村結衣 photo by JPSA

優勝:吉川広夏
2位:田岡なつみ
3位:松本望希、大村結衣

ネット配信の視聴者14万人超え

厳重な感染予防対策の一環として、無観客試合となった「さわかみチャレンジシリーズ」。今大会は「ABEMA」により独占生中継され、その視聴数は14万人を超える結果となった。現地への入場制限があったからとはいえ、この数値は、プロサーフィンに寄せられる関心の高さを示したと言えるだろう。
今後のJPSA大会の開催は未定となっているが、今大会の結果がサーフィン業界、果てはスポーツ業界の機運を上げる起爆剤になることを願ってやまない。


試合終了直後、お互いを称えハイタッチする大原洋人と西慶司郎 photo by JPSA

text by 佐藤 稜馬 
photo by JPSA

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