フルメンバーによる日本代表の試合を最後に戦った、昨年11月のカタール・ワールドカップ・アジア2次予選のキルギス戦から約…
フルメンバーによる日本代表の試合を最後に戦った、昨年11月のカタール・ワールドカップ・アジア2次予選のキルギス戦から約1年----。新型コロナウイルスの影響によって活動停止を余儀なくされていた日本代表が、10月9日のカメルーン戦でようやくリスタートを切った。
だが、もう1チーム、リスタートを必要としているチームがある。
23歳以下で構成される、東京五輪代表だ。

コートジボワール戦で先発が期待される久保建英
東京五輪代表が最後に活動したのは、2020年1月にタイで行なわれたU−23アジア選手権だった。
ただし、グループステージ敗退に終わったこの大会に参加したのは、国内組を中心としたチーム。当時スコットランドのハーツに所属していた食野亮太郎(現リオ・アヴェ)を除き、欧州組は誰も招集できなかった。
そのひとつ前の活動である2019年12月のジャマイカ戦でも、欧州から呼ぶことができたのは、中山雄太(ズヴォレ)、安部裕葵(バルセロナB)、前田大然(当時マリティモ、現横浜F・マリノス)、山口瑠伊(当時エストレマドゥーラUD、現レクレアティーボ・ウエルバ)、小久保玲央ブライアン(ベンフィカU−23)の5人だけ。
この世代の主力選手を招集できたのは、2019年11月のコロンビア戦までさかのぼらなければならない。
そこで、10月13日のコートジボワール戦である。
メンバー全員が欧州組となった今回のオランダ遠征には、中山、板倉滉(フローニンゲン)、三好康児(アントワープ)、冨安健洋(ボローニャ)、堂安律(ビーレフェルト)、菅原由勢(AZ)、久保建英(ビジャレアル)と、7人の東京五輪世代が選ばれている。
先日のカメルーン戦はA代表のベストメンバーといった顔ぶれで臨んだのだから、続くコートジボワール戦は東京五輪代表の強化の場として活用するのも一案だろう。
カメルーン戦で出番のなかった三好と板倉はもちろん、途中出場に終わった久保と菅原、先発した中山や冨安も起用し、"東京五輪世代プラスアルファ"で臨むイメージ。この先、東京五輪代表の強化をどこまで行なえるのか、不透明な現状を考えれば有効な策だろう。
そうなれば、コートジボワール戦は東京五輪世代にとって、2019年6月のコパ・アメリカの再現、あるいは、前述のコロンビア戦の"追試"といった位置づけとなる。
ブラジルで行なわれたコパ・アメリカには、22歳以下のメンバーを中心に5人のオーバーエイジを加えて戦った。結果、2分1敗でグループステージ敗退に終わったが、22歳以下の選手たちは岡崎慎司や川島永嗣、柴崎岳といったワールドカップ経験者たちと同じピッチに立つことで、得難い経験をしたようだった。2試合で先発した久保が言う。
「川島選手や岡崎選手といった経験ある選手は、自分たちにはないものを持っているし、試合の入り方は、自分たちにはガムシャラさがあるぶん、彼らには冷静さがあると思います。違う角度から物事を見られているなとも感じますし、苦しい時にも率先して声をかけてくれたり。勝ちたいと思った時に自然と出てくるものなのかな、と感じました」
一方、コロンビア戦には苦い思い出がある。
2017年12月にチームが立ち上げられて以来、国内で行なう初の親善試合。堂安、久保、板倉といったすでにA代表に選ばれている選手たちも招集し、ベストの顔ぶれで臨んだものの、連係不足、コミュニケーション不足を露呈し、0−2と完敗したのだ。
なかでも、2シャドーに入った堂安と久保は彼ら同士だけでなく、1トップとも連係がうまく取れず、俺が、俺が、という感じで仕掛けては潰され、チャンスを作れなかった。合流間もない試合でぶっつけ本番だったから仕方のない面があったにせよ、期待外れの出来に終わった。
コロンビア戦の翌月に行なわれたジャマイカ戦では、キャプテンの中山が中心となって活発な議論をかわすと、攻守に連動したサッカーでジャマイカを圧倒。9−0の大勝を飾り、コロンビア戦での失態を解消したが、ジャマイカ戦には久保も、堂安も、三好も参加していない。
だからこそ、コートジボワール戦は、"追試"になりうる。
とりわけ、前述のコパ・アメリカを除き、A代表初先発が期待される久保にとってコートジボワール戦は、コロンビア戦で生じた課題をどれだけ解消できたか、そして、スペインリーグで1年間揉まれてどれだけ成長したかを示す、大きなチャンスだ。
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その起用法に関して森保一監督も、確認したいことが山ほどあるに違いない。3−4−2−1を採用するなら、2シャドーは久保と三好のコンビなのか、それとも堂安を先発起用するのか。4−2−3−1なら、久保を2列目のどこに配置するのが最適解なのか----。
いずれにしても、1年後の東京五輪を見据えても、2年後のカタール・ワールドカップを考えても、この世代の突き上げが日本代表に必要なのは間違いない。森保ジャパン発足直後からA代表に選出されてきた冨安が言う。
「今までA代表の活動で、東京五輪世代が7人も入ったことはなかったと思います。A代表に絡む選手がどんどん増えれば、自然と五輪代表の活動の質も上がると思うので、とてもポジティブなことだと思います」
もちろんアピールすべきは、東京五輪世代だけではない。
前述した「東京五輪世代プラスアルファ」のプラスアルファとは、カメルーン戦で起用されなかった鈴木武蔵(ベールスホット)、植田直通(セルクル・ブルージュ)、室屋成(ハノーファー)、負傷の影響で欠場した遠藤航(シュツットガルト)、途中出場に終わった鎌田大地(フランクフルト)といったリオ五輪世代を指している。彼らにもぐいぐいアピールして、突き上げてもらいたい。
カメルーン戦はどちらかと言うと"確認作業"に重きが置かれたが、コートジボワール戦では代表への生き残りをかけた"サバイバルの色"がもっと濃くなっていい。