9月26日に行なわれたJ1第19節のコンサドーレ札幌対ヴィッセル神戸戦で、神戸の19歳、MF小田裕太郎がJ1初ゴールを…
9月26日に行なわれたJ1第19節のコンサドーレ札幌対ヴィッセル神戸戦で、神戸の19歳、MF小田裕太郎がJ1初ゴールを記録した。
神戸が3-0とリードして迎えた90分、札幌がリスク覚悟で攻勢に出るなか、神戸陣内でのセカンドボールの競り合いでこぼれたボールが、意図せずセンターサークル内に転がった。
すると、ボールに向かう札幌DFを後方から瞬く間に追い抜き、誰よりも早くボールを拾ったのが背番号41、途中出場でピッチに立っていた小田だった。
小田はスピードを生かし、広大なスペースが広がった札幌陣内をドリブルで独走。最後は飛び出してきたGKを抜き去り、無人のゴールへとシュートを流し込んだ。
ゴール後はガッズポーズとともに大きくジャンプ。着地と同時に勢い余って転倒してしまった初々しいゴールパフォーマンスは、彼がその瞬間をどんなに喜んでいるかを物語っていた。
今季J1デビューを果たしたばかりの小田は、10月10日の第21節終了現在、リーグ戦13試合に出場(うち先発出場4試合)。登録ポジションはMFながら、神戸では3トップの左右で起用されることが多いサイドアタッカーだ。
縦への突破からのクロスはもちろん、カットインからのシュートもキレがいい。身長181cmと恵まれた体躯を生かしたダイナミック、かつスピードあるドリブルが最大の魅力であり、先の記念すべき初得点は、それが存分に伝わる圧巻のゴールだった。
今季J1では、異例の過密日程も追い風となり、若手の台頭が目立つ。どのクラブも、固定された主力メンバーだけでシーズンを戦い抜くのは不可能に近く、必然、若手にも出場機会が巡ってくるというわけだ。
とはいえ、彼ら若手選手は頭数をそろえるためだけに起用されているわけではない。
今季J1でゴールを決めた10代選手(2001年以降生まれ)は、3得点で最多のFW斉藤光毅(横浜FC)をはじめ、MF荒木遼太郎(鹿島アントラーズ)、MF西川潤(セレッソ大阪)、FW藤尾翔太(C大阪)に続き、小田で5人目となった。
FWオルンガ(柏レイソル)を筆頭に、ハイペースでゴールを量産する外国人選手の活躍が目立つだけに、どうしてもその陰に隠れがちにはなるが、若手日本人アタッカーも着々と力をつけてきている様子がうかがえる。

U-19日本代表キャンプでも存在感を示したヴィッセル神戸の小田裕太郎
10月4日~7日に行なわれたU-19日本代表キャンプにも、J1スコアラー全員が参加。最終日に行なわれたジェフユナイテッド千葉との練習試合(2-1で勝利)では、彼らのホットラインから先制ゴールも生まれている。
概ね千葉の優勢で進んでいた、前半42分のことだ。
中盤でのボール奪取から前線の西川へ縦パスが入り、これを小田がサポート。小田は前向きにボールを受け、高速ドリブルでグイグイと前進すると、ペナルティーエリア内の斉藤へラストパス。これを受けた斉藤は、トラップからの素早い半転でDFをかわし、最後は落ち着いて左足でシュートを決めた。
試合前日の練習では、ショートカウンターからトップスピードで一気に攻め切ることを想定したメニューをこなしていたばかりだっただけに、それを見事に体現した小田のアシストには、ベンチからも「裕太郎、いいプレーだ」と声がかかった。
やはり、J2クラブ相手の練習試合をひとつの物差しにすると、日常的にJリーグ(特にJ1)の試合に出場している選手とそうでない選手では、ピッチ上の立ち姿ひとつとっても、余裕や落ち着きが違って見える。
例えば、試合に出ていない選手はひとつのプレーが終わると、ひと息入れてしまい、すぐに次のプレーに移れないのだが、出ている選手は自然と体が動く。当然、その次の状況にもすぐに考えが及び、周囲に指示を出すこともできるのだ。
対戦相手の千葉にはJリーグ経験が豊富な選手も含まれており、攻守の切り替えが早く、球際の争いでもかなり激しく体をぶつけてくるなど、強度の高いプレーをしていたことで、その差は余計に際立って見えた。
U-19日本代表を率いる影山雅永監督も、その差についてこう語る。
「19、20歳くらいの時代は、試合に出る、出ないによってパフォーマンスに大きく影響する。高校時代には(周りの選手を)リードしていても、その後(プロに入ってから)の試合にコンスタントに出ていないと、出ている(周りの)選手に、あっという間に逆転されてしまう。だから、試合に出る競争に勝つのは大事。日常のところで余裕が違ってくる」
10代のJ1スコアラー5人の中では、今季のJ1出場時間が最も少ない藤尾は、「(同世代に)J1で点を取っている選手はたくさんいる。そういう選手には負けたくない」と言い、はっきりと競争心を表に出す。
「ここに来ているFWは、みんなライバルだと思って、その選手たちより結果を残していきたい」
従来の日本人選手というと、優れたテクニックを生かし、中盤でチャンスメイクできる人材には恵まれていたが、チャンスを決める得点能力に長けた人材については、日本代表で常に決定力不足が課題に挙げられるように、豊富とは言い難かった。それだけに、こうして得点という形で結果を残す10代が次第に増えている状況は頼もしく、さらなる活躍に期待したくなる。
短期集中の過密日程で行なわれている今季J1も、気がつけば、すでに折り返し地点を過ぎた。率直に言って、優勝争いに関しては興味が薄れつつある。
だが、そんな後半戦にも見どころはある。小田をはじめ、徐々に目に見える結果を残し始めたティーンエイジャーたちの決定力に、注目してみてはいかがだろうか。