21歳稲見萌寧がPOの末に2勝目、全英挑戦組最初の国内ツアー優勝者に 女子ゴルフの国内ツアー・スタンレーレディス最終日が11日、静岡・東名CC(6572ヤード、パー72)にて無観客で行われ、首位と1打差の8位で出た21歳の稲見萌寧(都築電気…

21歳稲見萌寧がPOの末に2勝目、全英挑戦組最初の国内ツアー優勝者に

 女子ゴルフの国内ツアー・スタンレーレディス最終日が11日、静岡・東名CC(6572ヤード、パー72)にて無観客で行われ、首位と1打差の8位で出た21歳の稲見萌寧(都築電気)が5バーディー、ボギーなしの67で回り、通算5アンダーで並んだ淺井咲希、ペ・ソンウとのプレーオフを制した。昨年7月以来1年3か月ぶりのツアー通算2勝目。コロナ禍で挑戦を決めた8月の全英女子オープンが転機となり、持ち前の負けん気を爆発させて栄冠を手にした。

 稲見が負けん気の強さを見せつけた。正規ラウンドの15番でバーディー。「全部バーディーを狙いに行っている感覚」。勢いづいた流れは止まらない。17、18番もバーディーを奪って5アンダー。土壇場でプレーオフに持ち込んだ。

 18番で行われた自身初のプレーオフにも動じなかった。「マン振りでした。ビビッてミスをするより思い切り行きたかった」。第1打はフェアウェーキープを重視した正規の18番より30ヤードも遠くへ飛んだ。「入れよう」。第3打も強気に打つと、ピンを刺して手前4メートルに。ペ・ソンウがパーとした直後。「入れる気満々だった」とバーディーパットを沈めた瞬間、地面をたたき割らんばかりの力強いガッツポーズが飛び出した。

 勝負所で攻めに攻めた21歳。ラウンド後は涙が頬をつたった。初優勝から2勝目が遠かったが、転機は8月の全英女子オープンだった。コロナ禍の開催で帰国後に2週間の隔離期間が必要なこともあり、有資格者たちが辞退。出場権が回ってきた稲見は、帰国後も国内3試合に出場できない代わりに大舞台への挑戦を決めた。

負けん気が光る新女王「毎週優勝を目指す」

 しかし、初めての海外メジャーは予選落ち。難コースと風速20メートルとなった台風並みの強風に対応しきれなかった。隔離期間は練習ができず、筋力も落ちた。国内ツアーでは、小祝さくらや原英莉花など出場辞退した選手たちが優勝。それでも、自身の挑戦が間違っていたとは微塵も疑わなかった。

「一回も後悔したことはない。行かなきゃ味わえない経験だったと思う。他の人より3試合少ないので、1試合でも早く取り戻せるようにと。少し焦りで空回りもしたけど、悔しい思いでたくさん練習した」

 全英の強風を経験したことで「風を前よりしっかり読むようになりました」と手応えを掴んだ。今週の風には「今日(11日)も朝スタートする時に、キャディーをしてくれるコーチが『全英で回ったから微風だね』って(笑)。全英は暴風雨、今日はゴルフ日和の風」と経験値を積んだことを実感。パットの練習法も変えて工夫を凝らした。練習量も増え「それが今週身になってくれたかな」と充実した表情を浮かべた。

 今年の全英出場組と辞退組で明暗が分かれていたが、稲見は出場組最初の国内ツアー優勝者となった。「来週からまたしっかりと練習して毎週優勝を目指していきたい」。負けん気が光る新女王は闘争心を出して挑み続ける。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)