「全仏オープン」(フランス・パリ/9月27日~10月11日/クレーコート)女子シングルスで、優勝を飾った19歳で世界54位のイガ・シフィオンテク(ポーランド)。彼女はノーシードでの出場ながら、…

「全仏オープン」(フランス・パリ/9月27日~10月11日/クレーコート)女子シングルスで、優勝を飾った19歳で世界54位のイガ・シフィオンテク(ポーランド)。彼女はノーシードでの出場ながら、大会を通して1セットも落とさず、自身初のツアータイトルがグランドスラムという快挙を成し遂げた。そのシフィオンテクが記者会見で、プレッシャーやストレスに勝てた理由を「自分への期待値を低く抑える」ように意識したことだと語った。【トーナメント表】全仏OP女子シングルス【実際の動画】終始冷静だった19歳新星。歓喜の瞬間では笑顔弾ける!

今大会のシフィオンテクは、19歳でトップ50以下とは思えない強さだった。試合中はどんな時でも冷静さを保ち、パワーテニスが目立つ女子テニスの中で、その配球と展開力でラリーを支配し、赤土のグランドスラムを制した。

プレッシャーやストレスはあったと試合直後に語っていたが、その決勝でも表情に変化はなかった。むしろ今年の「全豪オープン」を制したソフィア・ケニン(アメリカ)の方が、左太ももの怪我もあり、試合中に泣き出しそうな表情をしていた。

初めてのグランドスラム決勝ながらプレッシャーやストレスを乗り越えた理由について、記者会見でシフィオンテクはこう語っている。

「グランドスラムの決勝でプレーしている時は、誰だってストレスを感じるわ」「でもこれまでのラウンドでやったことはすべてやった。昨日(女子ダブルス準決勝で敗退)のように、勝っても負けても気にしないようにしていたの。だから、自分への期待値を低く抑えることが一番の鍵だったと思う」

「あまりストレスを感じたくなかったから、『気にしない』と自分に言い聞かせて、それを信じるようにしていたんだけど、最後はその瞬間を楽しんでいたと思う」

彼女は準決勝後の記者会見でも「勝っても負けても気にしない。自分のベストなテニスをするだけ。決勝進出も素晴らしい結果なので、私にはまったくプレッシャーがないわ」と語っていたが、まさにそれを貫いた結果だった。

この自分のベストなプレーがなかなかできないことが、テニスの難しさだが、彼女はスポーツ心理学者の力を借りて乗り越えた。

「試合中にスポーツ心理学者が教えてくれたことはすべて使っている」「大きな役割があると思う。精神的に準備ができていて、プレッシャーやストレスに対処する準備ができているかどうかで違いが出る。だから1回戦で負けることもあるし、大会で勝てることもある」「次の目標はもっと一貫性を持って、自分の持っているスキルを毎試合発揮すること」

またコートに出る直前にそのスポーツ心理学者からは、「この2週間、素晴らしいプレーをしてきたから、ルーティンを守るんだ」「負けても勝っても関係なく、良いパフォーマンスをしなさい」と言われたことを明かした。

新たな若いスターが誕生した女子テニス界。今後も誰が覇権を奪うのか注目だ。

(テニスデイリー編集部)

※写真は「全仏オープン」でのシフィオンテク

(Photo by TPN/Getty Images)