「色々な人の思いを乗せて走りたいですね」と明るい笑顔で話す のは、東京2020オリンピック聖火リレーランナーの候補に選出された川﨑彩乃(28)さんだ。 川﨑彩乃と聞いてピンとくる方もいるだろう。彼女は慶応義塾大学体育会野球部初の…

「色々な人の思いを乗せて走りたいですね」と明るい笑顔で話す のは、東京2020オリンピック聖火リレーランナーの候補に選出された川﨑彩乃(28)さんだ。 川﨑彩乃と聞いてピンとくる方もいるだろう。彼女は慶応義塾大学体育会野球部初の女性部員。4年間、男子部員とともに切磋琢磨しながら、ひた向きに野球に取り組んできた。卒業後は三井不動産に就職。入社5年目の現在、住宅開発事業に携わっている。 小学5年から始めた野球だが、今年17年間の選手生活に別れを告げ、就職後に入団したクラブチームでは監督業に専念をする。

その川﨑さんが『聖火を運ぶ走者になりたい』と志望した理由 は「オリンピックに何らかの形で携わりたいという思いがありました。弊社が(五輪の)ゴールドパートナーでもあり募集枠があったこと、その内、私の出生地である沖縄県が候補地の1つでもあったことで、何かの縁を感じたことです。そして弊社には“BE THE CHANGE”というスローガンがあります。直訳すると「変化となれ」。世界を変えるには、自分自身が変化になろうという想いが込められているそうです。17年間の現役を引退することで、自分自身の“BE THE CHANGE”。選手生活の節目として、また新たな人生へのリスタートの思いが重なったことが理由です」という思いを胸に聖火を繋ぐ。

これまでの野球人生で「チームワークや一人ではできないことを、みんなで乗り越え、勝利というゴールに向かって行くこと」を培ってきた。ある意味、それはリレーにも通ずる部分もある。 もちろん、聖火リレーは誰もが走れる訳ではない。基本応募要件を満たし、社内や東京2020組織委員会の審査がある。川﨑さんの志望動機を見た担当者は推薦理由を、次のように言う。

「“BE THE CHANGE”これを打ち出せる社員を選びたかった。彼女なら体現してくれると思っています」

新たな聖火リレーは、2021年3月25日(木)に福島県ナショナルトレーニングセンターJヴィレッジからスタートし、121日間をかけて日本を巡る。川﨑さんが走る沖縄県では5月1日(土)、2日(日)の日程で聖火リレーが行われるが、日本人に馴染み深い桜をモチーフに制作されたトーチは未曾有の禍を乗り越えた希望の道を照らす灯りとなるだろう。

「トーチの重さは約1キロだと聞いてます。実際の重さ以上に色々な意味での思いが乗った、重いトーチになると思います。次の方に聖火を渡す、そこを全うしたい。そればかりです」と言葉に力がこもる。

沖縄から“BE THE CHANGE”を発信し、新国立劇場へと聖火を繋げていく。