スパーズのお株を奪う堅守でマジックがリードを奪う14勝3敗で西カンファレンス2位につける『常勝軍団』ことスパーズと6勝11敗のマジックが対戦した。スパーズ優位と見られた試合だが、立ち上がりからマジックは粘り強いディフェンスでスパーズのオフェ…

スパーズのお株を奪う堅守でマジックがリードを奪う

14勝3敗で西カンファレンス2位につける『常勝軍団』ことスパーズと6勝11敗のマジックが対戦した。

スパーズ優位と見られた試合だが、立ち上がりからマジックは粘り強いディフェンスでスパーズのオフェンスを停滞させる。スクリーンに対し、簡単にスイッチ(マークを入れ替える)するのではなく付いていくことでディフェンスの「ズレ」を作らせない。1対1の攻防でも互角の展開に持ち込み、ブロックやスティールからの速攻を決めたマジックが、前半を45-43とリードして終えた。

後半に入っても、マジックは集中力を切らさずスパーズのお株を奪うディフェンスを披露する。スイッチが間に合わず後手を踏んだ場合でも、リムプロテクター(リング近辺を守る選手)のサージ・イバーカとビスマック・ビヨンボがゴールを死守。2人の存在感でイージーシュートを許さず、ペイントエリアに侵入されても最後は外にパスアウトをさせて、確率の低いシュートを打たせていた。

オフェンス面では、長い距離を走るスピードと運動量に加え、効果的なスクリーンでスイッチを多用する相手ディフェンスを揺さぶった。スパーズはディフェンスのローテーションがうまくいかず、ノーマークの場面を何度も作ってしまい失点を重ねた。

スパーズはシュートセレクションは悪くないものの、ディフェンスで苦戦しているせいかフィニッシュの確率が上がってこない。対照的にディフェンスで流れをつかんだマジックはタフショットをしぶとく沈め、2連続スティールなどで終盤に走り、第3クォーターを終えて75-64と11点のリードを奪った。

ルーズボールへの反応、球際の強さも光ったマジック

名将ポポビッチがあらゆる手を尽くすも流れは変わらず

第4クォーター序盤、マジックはボールマンへのプレッシャーを強めたスパーズにタフショットを打たされ、そのリバウンドから2連続で速攻をくらい77-70と詰め寄られてしまう。

それでも、今日のマジックは追われるプレッシャーがある中でも落ち着いて自分たちのバスケットを遂行する。連動した動きの中でイバカのミドルシュート、ジェフ・グリーンのペイントエリアでのシュートでスパーズの流れを断ち切った。

スパーズはスクリーンを使って「ズレ」は生み出すものの、最終的に1対1のオフェンス頼みとなった。マジックの粘り強いディフェンスとセンター陣のブロックのプレッシャーによってカワイ・レナードもトニー・パーカーも普段決めるシュートをことごとく決めきることができなかった。

その後もターンオーバーを誘発し、2桁のリードを保ち続けたマジックが95-83でスパーズを退けた。

イバカがチームハイの18得点を挙げ、イバカ含む5人が2桁得点を記録。チーム力を落とすことなくリードを維持したベンチメンバーの活躍も大きかった。

敗れたスパーズはレナードがゲームハイの21点を記録。ヘッドコーチのグレッグ・ポポビッチは流れを変えようと先発メンバーを全員同時に交代させたり、ベンチ入りしたメンバーを全員出場させたが、勝利に繋がらなかった。

イバカとビヨンボの獲得でペイントエリアの守備力を強化し、NBA全体2位となる1試合平均98失点のマジック。1試合平均103得点のスパーズを83得点に抑えたマジックのディフェンスが光った試合となった。今日のようなディフェンスを継続できればプレーオフ進出も見えてくる、そう感じさせる『収穫』の多い一戦だった。

ベンチからの出場で12得点10リバウンドのダブル・ダブルを記録したニコラ・ヴュチェビッチ。