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スポルティーバ厳選! Jリーグ月間MVP

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 Jリーグ(J1)は過密日程のなか、9月もたくさんの試合が行なわれた。川崎フロンターレは再び連勝街道を突っ走り、圧巻の強さを見せている。一方で、夏以降巻き返して連勝を遂げ、順位を上げてきたチームも目立っている。

 スポルティーバ編集部では、毎月Jリーグを取材している識者5人に、月間MVPの選定をしてもらっている。



9月に8ゴールと大爆発した、横浜FMのエリキ

 9月度は第14節~19節。5人の識者にMVP候補を5人、順位をつけて選んでもらい、1位5ポイント、2位4ポイント......5位1ポイントという形で、ポイントを集計し、合計ポイントでMVPを決める。

 集計の結果、9月度のMVPは、横浜F・マリノスのエリキに決定した。



首位を突っ走る川崎フロンターレの選手たちが目立つランキングだ

 エリキが選ばれたのは、9月の6試合で8ゴールも挙げた、圧倒的な成績による。チームの布陣変更によるポジションチェンジで覚醒。横浜FM躍進の支えになった。

 2位は勝ちまくる川崎のなかで存在感のある活躍を見せた、小林悠が入った。そのほか川崎からは守田英正、田中碧と、2名の選手がランキングにあがっている。

 また、アンドレス・イニエスタの活躍ぶりを指摘する声も多かった。見る者を唸らせるスーパープレーが各試合で繰り広げられているので、今後もぜひチェックしたいところだ。

 この先は、各識者の選考ポイントを紹介。現在の旬の選手がよくわかる選考だ。

得点率の高い小林悠を推したい

杉山茂樹氏(スポーツライター)

1位 小林悠(川崎フロンターレ)
2位 エヴェラウド(鹿島アントラーズ)
3位 エリキ(横浜F・マリノス)
4位 マテイ・ヨニッチ(セレッソ大阪)
5位 奥埜博亮(セレッソ大阪)

 川崎フロンターレの鬼木達監督は、今季これまで交代枠を毎試合、すべて使い切っているJ1唯一の監督だ。多くの選手に出場機会を与えようとする、まさに民主的な采配を披露しながら首位を独走。過密日程のリーグ戦に適した戦い方であり、選手の精神的なコンディションが乱れがちな、ウィズ・コロナのシーズンに適した戦い方だ。

 センターフォワード(CF)の座を争う小林悠とレアンドロ・ダミアンのふたりも、先発と途中交代を交互に繰り返している。2トップで戦うこともあった昨季は併用もあったが、今季の布陣は4-3-3。1トップ型だ。どちらかひとりしかピッチに立てない制約がある。

 小林には右ウイングもこなす多機能性があるが、今季は新人の旗手怜央が、家長昭博とともにそのポジションを埋めるため、小林が右を務める機会は減っている。つまり出場時間そのものが減った格好だ。

 にもかかわらず得点ランキングで2位タイ(11点)に付ける。出場時間は、首位を行くオルンガ(柏レイソル)の半分強だから、得点率では大きく上回ることになる。9月は332分間で4ゴール。1試合1点ペースだ。19節の湘南ベルマーレ戦では決勝弾を叩き出している。出場時間が減った不満はあるはずだが、そこを堪え、限られた時間で結果を出す小林。いま最も讃えるべき選手だと思う。

 つづくはエヴェラウド。9月を5勝1敗の成績で終え、順位を盛り返した鹿島を語ろうとすれば、この選手は外せない存在になる。9月唯一の敗戦である大分トリニータ戦も、失点を許したのは彼がピッチを去った後だった。ワンマンチームとは言わないが、替えの効かない選手であることは確かだ。

 3番手はエリキ。6試合で8ゴールを奪い、9月の得点王に輝いた。いま最も当たっている選手だ。

 4番手は好調セレッソ大阪を支えるセンターバック、マテイ・ヨニッチ。自慢の守備のみならず、ベガルタ仙台戦で奪ったヘディングシュートが圧巻だった。

 5番手は同じくC大阪の奥埜博亮。CFと守備的MFをこなす多機能性が光る。彼なしにチームの好成績は語れない。 

チームプレーヤーの活躍に注目した

小宮良之氏(スポーツライター)

1位 アンドレス・イニエスタ(神戸)
2位 エリキ(横浜F・マリノス)
3位 田中碧(川崎フロンターレ)
4位 水沼宏太(横浜F・マリノス)
5位 大谷秀和(柏レイソル)

 9月は、組織を動かすチームプレーヤーの活躍が目立った。

 オルンガ、ジュニオール・サントス(横浜FM)、三笘薫(川崎)などは爆発力があって、派手な印象だろう。彼らが相手に脅威を与えているのは間違いない。まさにノックアウトできるパンチだ。

 しかし最後に敵を仕留めるには、まずはチームを機能させる必要がある。

 その点、アンドレス・イニエスタは別次元の選手と言える。サガン鳥栖、コンサドーレ札幌、名古屋グランパス戦と、彼がボールを受けるたび、試合の流れが変わった。チームが劣勢になると、彼がボールを運び、チャンスをつくり出し、押し込む。そうして相手を押し返すと、敵陣でボールをつないで、ゴールに迫った。

 コントロール、ビジョン、タイミング、そしてキック、すべてが完璧で模範的。名古屋戦(9月30日)は、ワンツーをエリア外からボレーで叩き込み、神がかっていた。まさにサッカーの化身だ。

 そして横浜FMのエリキは、ジュニオール・サントス、マルコス・ジュニオールのブラジル人選手との呼吸が抜群だった。ほかの選手との調和にも優れ、戦術的に優れたチームプレーヤーの典型だろう。

 力みがなく、常にポジション的優位で技術を使える。巧みにボールを呼び込み、最高のタイミングでスペースに入れる。C大阪戦から6試合連続で得点を記録し、9月だけで8得点と数字も叩き出した。

 田中碧は、9月の試合では、主にアンカーではなくインサイドハーフとして、存在感を見せている。川崎は、ほかに旗手、齋藤学、小林もトップ5に相当したが、今回は田中を選出。

 サンフレッチェ広島戦は積極的な攻め上がりで、先制点はリターンパスから右足で沈め、3点目は右からのクロスに走り込んで決めた。横浜FC戦では、ゴール前で相手選手をコントロールで手玉にとって、右足を振った。スペースの感覚に優れた選手で、守備もうまいが、ラインを越えて攻撃できるセンスも白眉だ。

 水沼宏太は、職人的なクロスが光った。清水エスパルス戦は大車輪の働きで、抜け出した仲川輝人に合わせ、これが相手の退場を誘い、オナイウ阿道にも右足クロスでアシスト。鳥栖戦では、マルコス・ジュニオールに完璧なボールを送って、得点をお膳立てした。

 3-4-3のシステム変更で、右ウイングバックを任されたことによって、不調だったチームを浮上させた。

 大谷秀和は柏の舵取り役。周りの選手を補完することで、力を引き出している。チームとしての安定が、オルンガの爆発の着火になった。ボランチとしてのビジョンは際立ち、予測力が高い。札幌戦の決勝点となったバッグヘッドシュートは象徴的だ。

 齋藤学は、左サイドで一気に定位置をつかんでいる。ポジション争いが激しい川崎で、個性を見せた。広島戦は、切り返しの右足クロスから田中の得点をアシスト。ドリブルの流れを止めず、自然にクロスに入れるだけに、守る側はタイミングを取れない。

多くの選手が活躍する川崎で、小林は貫録を示した

原山裕平氏(サッカーライター)

1位 小林悠(川崎フロンターレ)
2位 エリキ(横浜F・マリノス)
3位 アンドレス・イニエスタ(ヴィッセル神戸)
4位 清武弘嗣(セレッソ大阪)
5位 三浦知良(横浜FC)

 9月のMVPも、6戦全勝の川崎から選ばないわけにはいかないだろう。6試合で18得点と1試合平均3点を奪った攻撃力は、Jリーグの歴史においても屈指の破壊力を備えている。

 そのなかでチーム最多の4得点を奪った小林悠を、MVPに推す。4試合で結果を残し、スタメン出場した3試合ですべてゴールを記録したのは評価に値する。苦しめられた湘南戦で唯一のゴールを決めたように、勝負強さも光った。旗手怜央、三笘薫の大卒ルーキーコンビが存在感を高めているが、長年に渡り川崎の前線に君臨してきたこのエースが、改めて貫録を示した格好だ。

 得点の数で言えば、エリキが、圧巻の決定力を見せつけた。ACLのスケジュールの影響で、横浜FMは9月に8試合をこなしたが、エリキは16節から6試合連続で計8ゴールを奪っている。エリキの活躍に導かれ、横浜FMは4連勝を達成し、消化試合数が多いとはいえ順位を上げてきた。スタメンでも、途中出場からでも結果を残せるこのブラジル人が、反攻のキーマンとなっている。

 監督交代の窮地を救ったのはアンドレス・イニエスタだ。8月下旬から欠場がつづいていたが、16節のFC東京戦で復帰すると、いきなりアシストを記録。監督が代わった18節からは全試合で得点に絡み、3連勝の立役者となった。

 鳥栖戦では1得点2アシスト。名古屋戦では鮮やかな崩しから決勝点を奪っている。急遽指揮を執ることになった三浦淳寛監督にとって、このワールドクラスの存在は頼りになるはずだ。

 清武弘嗣も変わらぬクオリティを披露した。とりわけ19節のベガルタ仙台戦では1得点1アシストで逆転の立役者に。2連敗の悪い流れを断ち切る活躍を示し、川崎追撃の可能性を残したのは、C大阪だけでなくリーグの盛り上がりを考えても、重要な仕事をこなしたと言える。

 そしてカズに関しては、言うことはないだろう。53歳にして日本のトップリーグの舞台に立ったのだから、それだけで、称賛に値する。驚きを通り越して、もはや奇跡である。

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布陣変更で覚醒したエリキは問答無用のMVP

中山 淳氏(サッカージャーナリスト)

1位 エリキ(横浜F・マリノス)
2位 小林悠(川崎フロンターレ)
3位 エヴェラウド(鹿島アントラーズ)
4位 古橋亨梧(ヴィッセル神戸)
5位 三竿雄斗(大分トリニータ)

 9月に8試合を戦った横浜FMで、6試合連続計8ゴールを叩き出したのが、加入2年目のエリキだ。覚醒のきっかけは、アンジェ・ポステコグルー監督が4バックから3バック(3-4-2-1)に舵を切ったこと。

 それまで1トップやウイングでプレーしていたエリキは、布陣変更2戦目にあたるC大阪戦から2シャドーの一角で先発。すると左右両足、頭を使い分けてゴールを重ね、4連勝の原動力となった。月間MVPは問答無用。

 9月に6連勝を記録して首位を独走する川崎では、複数選手を選出したくなるほど試合ごとに異なる選手が活躍。そのなか、ひと際目立っていたのがベテラン小林悠だった。第15節の神戸戦からは2つのPKを含む3試合連続ゴール。

 第18節横浜FC戦では途中出場で旗手の2ゴールをアシスト。つづく第19節湘南戦は小林らしいヘディングシュートで決勝点をマーク。振り返れば、勝負どころで必ず小林がいた。

 8月下旬からの7連勝で順位を大きく浮上させた鹿島では、エースの地位を確立したエヴェラウドが際立っていた。9月も6試合すべてにスタメン出場をつづけ、3ゴール1アシストの活躍ぶり。とりわけ第16節清水戦の先制ゴールは、エヴェラウドのクオリティを証明する絶品技。彼の離脱がなければ、鹿島が上位に食い込む可能性は高い。

 一方、不振にあえいだチームからも選出に値する選手がいる。9月に5ゴール3アシストをマークした神戸の古橋亨梧だ。昨季から成長をつづける古橋は、イニエスタとの共演でブレイク。第18節の鳥栖戦は、それを象徴するようなふたりのコンビネーションから2ゴールを決め、イニエスタのゴールもアシストした。国内屈指のアタッカーに飛躍を遂げた。

 9月の7試合で勝ち点13ポイントを稼いで成績を浮上させた大分では、3試合連続ゴールを決めた田中達也と同様に、勝利に大きく貢献した三竿雄斗の充実ぶりが見逃せない。鹿島の三竿健斗の兄は夏場でトップフォームを維持し、3バックの左から多彩なパターンで攻撃参加。第16節の仙台戦ではアシストも記録した。安定感は抜群だ。

川崎のなかでフル稼働の守田が攻守に抜群の働き

浅田真樹氏(スポーツライター)

1位 守田英正(川崎フロンターレ)
2位 古橋亨梧(ヴィッセル神戸)
3位 アンドレス・イニエスタ(ヴィッセル神戸)
4位 田中達也(大分トリニータ)
5位 エヴェラウド(鹿島アントラーズ)

 月間MVPの選考も、今季のJ1に限っては、川崎の選手を順番に挙げていくものになりつつある。

 9月の川崎も、ひとつの引き分けすらなく、6戦全勝。ルヴァンカップを含めれば、7戦全勝だった。当然、個々の選手の出来が悪いはずはなく、誰を選んだらいいのか、毎月悩ましい。

 そのなか、アンカーというポジションで攻守に抜群の働きを見せた、守田英正を挙げたい。開幕当初は控えの位置づけだったが、自らポジションを奪い取り、9月はフル稼働。好調なチームの波に乗り遅れることなく、のし上がってきた。ここに来て川崎の強さを、さらにギアアップさせている。

 選手個々のパフォーマンスに目を向けると、川崎以上に強いインパクトを残したのは、神戸勢。なかでも出色の出来だったのは古橋だ。開幕当初から調子のよさは目立っていたが、9月に入り、目に見えてゴールという結果もついてきた。過密日程ながら夏場に調子を落とすことなく、充実のシーズンを送っている。

 また、同じく神戸からイニエスタも加えたい。チームの成績はもうひとつで監督交代のドタバタもあったが、新監督就任後は3連勝。戦列復帰したイニエスタも、別次元のプレーを見せている。広い視野と豊富なアイディア、それらをピッチ上に落とし込む高い技術。うならされるプレーは数多い。

 ほかにもFC東京で奮闘が目立つレアンドロ、柏戦でオルンガ封じを見せた広島の荒木隼人など、何人か候補はいたが、調子が上がっているクラブから、残る2名を選んだ。

 田中達也は、スピードを生かした思い切りのいい突破力で、大分の攻撃に迫力や決定力を加えている。ケガから復帰したばかりの野村直輝(こちらはまだ出場時間が短いので、来月以降に期待だ)と共に、攻撃の推進役となっている。

 エヴェラウドは当初から能力の高さはうかがえたが、それがようやくチームにフィットしてきた印象だ。連勝こそストップしたが、鹿島復調への貢献度は高い。