日本選手権最終日 東京五輪まで10か月を切った中、陸上の日本選手権最終日が3日、新潟・デンカビッグスワンスタジアムで行われ、女子100メートル障害決勝では田中佑美(立命大)が13秒37(向かい風0.1メートル)で4位となった。レース後は「淡…
日本選手権最終日
東京五輪まで10か月を切った中、陸上の日本選手権最終日が3日、新潟・デンカビッグスワンスタジアムで行われ、女子100メートル障害決勝では田中佑美(立命大)が13秒37(向かい風0.1メートル)で4位となった。レース後は「淡々と」走ることの大切さや収穫を明かした。
自分の走路しか見ていない。田中はやるべきことだけに集中した。ピストル音がなると冷静にスタート。足を回し、加速した。大舞台で上位争いを演じ、結果は「気づいたら」4位。「決勝はとても緊張するとわかっていたので、今大会の目標である『淡々と自分のレースをすること』を念頭において走り切ることができたと思います」と振り返った。
スタートから1つ目のハードルまでが課題の一つだった。スピードを追求すればするほど、失敗する可能性も高まる。だからこそ、邪念は捨てた。「今日は淡々と走る中で、何も考えずに走ってもあれ(いいスタート)ができる。他のことに気が向いてしまう自分を止めてあげる一つのきっかけになったかなと思います」と手応えを掴んだ。
関大一高時代にインターハイを連覇すると、立命大に進学。昨年は関西インカレ3連覇、日本インカレで初優勝を飾るなど成長した。しかし、今年のインカレは13秒36で2位。島野真生(日体大1年)に0秒03差で敗れ、課題を見つめ直した。成長の原動力は「考えることが好き」という向上心。レースごとに成長できるポイントを探した。
欲とリスクに揺れる胸中「欲を出したらもう少しいけたかも…」
「今まで私は考えるのが好きなので、レースも練習と同じようにポイントを絞って、2、3箇所の課題を考えていたんですけど、それをすることによって『それができるかできないか』に気がいきすぎていた。それができたら練習以上の力を発揮できるかもしれないけど、その分リスクが伴うと今回感じました」
本番では余計なことを意識せず、“無心”で走り抜けることが大事。今大会の予選は13秒35で組1着、準決勝は13秒57で組3着、全体7番手で決勝に進んだ。決勝の4位という結果には「時間が経ったらとても悔しいと思うけど、今回は本当に順位もタイムも何も考えず自分の走りだけと思っていました。欲を出したらもう少しいけたかもと思うけど、そういうふうに走ったらどこかでボロが出てしまうかもしれない。よくも悪くもこれが実力だと思います」と受け止めた。
4年間の大学生活の集大成として臨んだ舞台。それでも、競技人生を続く。「試合直前になって改善点を出さなくていいように、自分の出来る範囲をしっかり定めていく。それを実行できるように練習を積んで、『気づいたら4位』が『気づいたら1位』に変わっていってほしいなと思います」。確かな成長を手に、次の壁も懸命に飛び越えていく。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)