手に汗握る投手戦だった。開幕カードを1勝1分とし、迎えるは東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ)の優勝校・法大。早大先発はエース早川隆久主将(スポ4=千葉・木更津総合)、対する法大は鈴木昭汰(4年)と、プロ注目左腕同士の対決となった。試合は…
手に汗握る投手戦だった。開幕カードを1勝1分とし、迎えるは東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ)の優勝校・法大。早大先発はエース早川隆久主将(スポ4=千葉・木更津総合)、対する法大は鈴木昭汰(4年)と、プロ注目左腕同士の対決となった。試合は8回まで両投手一歩も譲らぬ投げ合いに。何としても勝ち点1を獲得したい早大ナインは、9回表、福本翔(社3=東京・早実)が安打で出塁すると、後続が失策、犠打でチャンスをつくる。迎える打者は、3番・瀧澤虎太朗副将(スポ4=山梨学院)。緊迫する戦いを制したのは───。
早川は今日も圧巻の投球だった。9回112球を投げ、被安打4で無失点。明大1回戦の17奪三振に続き、13奪三振を記録した。試合前、小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)から「低めに丁寧に投げろ」とアドバイスをもらったという早川。その言葉通り、150キロ前後の速球と120〜130キロ台の変化球を丁寧にコントロールし、相手打線を翻弄(ほんろう)。試合後には「アドバイスが生きた結果が完封に繋がった」と振り返った。安打を浴びても、冷静な投球で後続に連打を許さず。終始落ち着いた試合運びで、チームに良いリズムをもたらした。一方、法大先発の鈴木も、度々ピンチを背負ったものの、キレのある変化球で切り抜け、8回2/3を投げて13奪三振。確かな実力を示した。
8回までほぼ完璧な投球を見せた両投手。チームの命運を分けたのは9回の攻撃だった。早大は途中出場の福本が安打で流れをつくると、続く早川が相手の送球エラーで出塁。1番・金子銀佑(教4=東京・早実)がこの日3個目の犠打を決め、1死二、三塁と絶好のチャンスに。吉澤一翔副将(スポ4=大阪桐蔭)こそ三飛に倒れたが、3番・瀧澤の打球は、二塁手・高田桐利(2年)の送球が逸れたことも幸いし、適時内野安打となった。均衡を破る1点目が入り、法大はすぐさま三浦銀二(3年)に投手交代。しかし、4番・岩本久重(スポ3=大阪桐蔭)の中前適時打で2点目を挙げ、流れを渡さず。帰還した走者・早川も両手を上げて喜びを表現した。その裏、マウンドに上がった早川は相手を三者凡退に抑え、反撃を許さず試合終了。自身初の完封勝利となった。
小宮山監督が秋季リーグ戦での「ターニングポイント」と位置付けた今カード。試合前の予想通り、8回までスコアにゼロが並ぶ投手戦となった。チャンスでの一本など打撃にはまだまだ課題は残るが、この接戦を落とさず勝利したことは早大ナインにとって大きな収穫になったと言える。また試合後早川が語るように、今日は「4年生の意地を見せることができた」試合だった。完封勝利のエース早川を筆頭に、決勝打となる適時内野安打を放った瀧澤、3犠打と好守備でチームに貢献した金子らが、十分に存在感を発揮した。10季ぶり、悲願の優勝へ。春の王者相手に初戦を白星で飾り、また一つ賜杯奪取に向け前進した。この勢いに乗り、明日も勝利を収めることはできるか。早大ナインの戦いから、今後も目が離せない。
(記事 松下瑞樹、写真 望月清香)
小宮山監督が秋季リーグ戦での「ターニングポイント」と位置付けた今カード。試合前の予想通り、8回までスコアにゼロが並ぶ投手戦となった。チャンスでの一本など打撃にはまだまだ課題は残るが、この接戦を落とさず勝利したことは早大ナインにとって大きな収穫になったと言える。また試合後早川が語るように、今日は「4年生の意地を見せることができた」試合だった。完封勝利のエース早川を筆頭に、決勝打となる適時内野安打を放った瀧澤、3犠打と好守備でチームに貢献した金子らが、十分に存在感を発揮した。10季ぶり、悲願の優勝へ。春の王者相手に初戦を白星で飾り、また一つ賜杯奪取に向け前進した。この勢いに乗り、明日も勝利を収めることはできるか。早大ナインの戦いから、今後も目が離せない。
(記事 松下瑞樹、写真 望月清香)