今年、80回の節目を迎えた早慶定期戦。慶大は昨年の全日本学生選手権(全日本インカレ)で敗れた相手であり、今後の関東学生秋季選手権(秋関東インカレ)、全日本インカレの優勝のためにも倒さなければならない宿敵である。今大会は途中、風が弱くなる時…

 今年、80回の節目を迎えた早慶定期戦。慶大は昨年の全日本学生選手権(全日本インカレ)で敗れた相手であり、今後の関東学生秋季選手権(秋関東インカレ)、全日本インカレの優勝のためにも倒さなければならない宿敵である。今大会は途中、風が弱くなる時間帯があったものの、予定通り10レースが行われ、470級・スナイプ級ともに優勝。見事3連覇を達成した。

 早慶戦は2チームのみでの開催となるため、普段の大会とは違ったレースでの戦略が求められる。そんな中、1レース目から試合が動く。470級では、小泉凱皇(スポ3=山口・光)・金子俊輔(商2=埼玉・早大本庄)、西村宗至朗(社3=大阪・清風)・新井健伸(商3=東京・筑波大付)組がワンツーフィニッシュ。スナイプ級でも1位は逃したが、クラス全体としては慶大の点数を上回り、第1レースを終えた時点で470級・スナイプ級合わせて8点のリードを奪った。その後は470級では第3レース、スナイプ級は第5レースで1位、2位、3位を独占し、1日目は総合で18点の差をつけて後半に折り返した。


好調な走りを見せた470級の西村・新井組

 2日目は最初にスナイプ級がノーレースになるなど、風が不安定な立ち上がりとなった。それでも、第6レースでは470級の小泉・金子組、スナイプ級の蜂須賀晋之介(スポ3=茨城・霞ヶ浦)・芝崎鉄平(スポ3=東京・都立三鷹)組が1位を獲得。次のレースでも470級の倉橋直暉(スポ2=福岡・中村学園三陽)・松本健汰(政経3=東京・早大学院)、スナイプ級の谷川隆治(商4=千葉・稲毛)・海老塚啓太(政経4=神奈川・鎌倉学園)が1位を取る順調な滑り出しを見せた。最終的には470級が41点、スナイプ級では28点と、計69点の差をつけ快勝。特に2日目は470級・スナイプ級の両クラス、全てのレースで勝利を収める盤石な戦いぶりが光った。


3レースをトップでフィニッシュしたスナイプ級の蜂須賀・芝崎組

 470級・スナイプ級ともに充実した結果を残した今大会。特に2日目はチームとしての完成度の高さを感じさせるレース展開となった。次週からは秋関東インカレの予選が始まる。前年は総合優勝を果たしたが、スナイプ級の1位に対し、470級では3位と完全優勝を逃す結果となった。今年は昨年の借りを返すためにもスナイプ級、470級ともに優勝を果たし、全日本インカレへの弾みをつけたい。

(記事 足立優大、写真 中島和哉、内海日和)

結果

▽470級

〇早大(小泉/石川和歩(スポ1=香川・高松商)・金子組、西村・新井組、倉橋・松本組、佐香将太(スポ4=岩手・宮古)・上園田明真海(スポ3=大分・別府翔青)組)160-201慶大

▽スナイプ級

〇早大(松尾虎太郎(スポ4=山口・光)・鶴岡由梨奈(社2=東京・立教女学院)/芝崎鉄平(スポ3=東京・都立三鷹)組、蜂須賀・芝崎/根本優樹(社2=東京・早大学院)組、谷川/松尾華(スポ2=広島修道大鈴峯女)・海老塚組、尾道佳諭(スポ3=山口・光)/大久保優輝(創理2=東京・早実)・白石誉輝(スポ1=神奈川・深沢)/川合大貴(商3=埼玉・早大本庄)組)166-194慶大

▽総合

〇早大326-395慶大

コメント

470級スキッパー佐香将太(スポ4=岩手・宮古)

――今日のレースを振り返ってみて、いかがでしたか

昨日は勝ち越しをしたものの、後半に470で慶大に負けてるレースが多くて、正直いけるかなと思ったのですが、2日目は全レース470で勝ちきれて、スナイプ級と合わせて総合でも勝ちきれたのはよかったです。

――上園田(明真海)選手とペアを組んでいると思うのですが、感触はどうですか

2年くらい前から組むことが多くて、ペアとしての呼吸は合ってると感じました。なので、次の大会にもいい感じで臨めそうです。

――この大会で意識したことはありますか

今大会は早慶だけの戦いなので、普段とは違うチームレースならではの戦い方をしなければいけないという点で難しいところはあったのですが、経験者の方やコーチの話を活かしながら戦えたかなと思います。

――関東インカレがこの後控えていますが、意気込みを教えてください

もちろん(総合)優勝を目指したいと思いますし、470としてもクラス優勝を目指して頑張りたいと思います。

――最後に今後の課題について教えてください

今後の課題はボートスピードが今日くらいの風であれば自信はあるのですが、吹いてくると日大に遅れてくることがあるので、昨日、今日の感触を忘れずに次の大会に挑めたら
いいなと思います。

スナイプ級スキッパー谷川隆治(商4=千葉・稲毛 )

――今日のレースを振り返っていかがですか

序盤はいつもと同じように、40艇、50艇の中でやるレースをしてしまって、うまくいきませんでした。しかし、後半にかけて漕艇数の少ないレースのやり方というのがわかってきて段々良くなってきたと思います。

――このレースの位置づけというのはご自身でどのように捉えていますか

全日本インカレで昨年優勝した慶應さんを倒して勢いづけていこうという大会としています。

――どのような気持ちでこのレースに臨みましたか

きょうは勝つだけでなく、圧倒的な点数差をつけて初日を終えようという気持ちでした。

――3レース目で7位と大きく順位を落としてしまいましたが、4レース以降は手立て直しました。改善した点などはあるのでしょうか

それまでは他の船に対してどのようにコースをとっていくかということを考えてしまっていて、あまりうまくいっていませんでした。しかし、その後は風に対して動くということにしたので良くなったのかなと思います。

――スナイプチームとして何か課題は生まれましたか

課題としては前を走る船もいれば、後ろを走ってしまう船もいるというようにばらつきがチームとしても個人としてもあることです。

――その点はどのように改善していきますか

スタートが決まらない時にどうしてもみんな崩しがちだということがあるので、もう少しスタートをしっかりできるような技術が必要だと考えています。

――海老塚選手と組んでいますが、感触はいかがですか

今年一杯乗っているので、しっかりコミュニケーションも取れて、お互いが考えていることがある程度分かっているので乗りやすいですね。

――今日もそれは同じですか

後ろを走っている時はうまくコミュニケーションを取れなかったのですが、しっかりその後改善点などを話し合ってうまくコミュニケーションが取れたと思います。

――関東秋インカレに向けて目標を教えてください

チームとしては、スナイプ、470ともに完全優勝です。また、個人としてはスナイプチームの目標として45艇が出るのですが、その中で個人成績を5番以内に3艇いれるということを目標にしているので、そこを目標に頑張ります。

470級スキッパー小泉凱皇(スポ3=山口・光)

――今日のレースを振り返っていかがですか

いいところもあったんですけど、悪いところもあって。全体的に見たら良かったのかなと思います。各レースにおいて、自分たちが勝っていたのにその後負けてしまうレースもあったので、勝っている状態でそのまま勝ちを維持していくことができなかったことが課題かなと思います。

―ーレースの序盤と終盤で順位に差が出てしまいました。その点は振り返っていかがですか

マークの位置が変わってきて、レース海面にくる風も変わってきていることに気づくのが遅くて。無駄なアタックも増えてしまいました。北風なんですけど、風が振れるコンディションになって、右から入ってくる風を取りに行かないと、先にいる人たちを抜かすことができない中で、下から出てしまいました。スタートが良くなかったですね。

――今大会はどのように位置付けられて臨まれていましたか

まずは総合優勝。その後にクラス優勝できたらいいなと思っています。この4艇で戦って負けるような人はいないと思っているし、全員それくらいの実力はあるので、まずは団体戦でそれぞれの走りをしっかりして、それぞれの力を出して勝てればいいなと思っています。
自分の位置付けとしては、周りのことを意識しすぎて順位を落とすことが今まであったので、風のことを考えながらも、対相手の中でコースを引きながら走ることを課題としてやっています。風を見る時と相手を見る時と走りに集中する時とのバランスというか、自分の中での割合をどのようにして行こうかということを考えながらやっています。

――金子(俊輔)選手とペアでした。感触はいかがでしたか

いい時は2人とも会話してできていたんですけど、最終レースのように後ろを走っていて、順位をあげることが難しい中では、自分の動作が早くなってしまったり、金子自身も少しテンパってしまったりした時に、少しミスが出てしまいました。そういう中でも2人とも頭を冷静に、動作を一つ一つ確実にこなせていけるように今後も練習をしていって、少なくとも動作のミスで抜かれることがないようにレベルを上げていきたいですし、ボートスピードを周りを見ながらでも出せるようにしていきたいです。今はバランスを考えすぎて、風を見るのが遅れて、相手に先手を打たれるという状況があるので、そういうのもなくすために、動作と帆走のレベルを上げたいです。

――今後に向けて一言お願いします

まずは秋インカレで総合優勝、次にクラス優勝です。3艇が出る中で、早稲田自身も誰が出ても前を走れる実力はあるので、その実力を出すために、船の準備やメンタル、体調の準備を万全にして、いい感覚を持ったまま大会に臨めるようにしたいです。準備が勝負を決めるので、しっかり準備して臨みます。

スナイプ級スキッパー蜂須賀晋之介(スポ3=茨城・霞ヶ浦)

――今日の試合を振り返って、いかがですか

僕だけ全日本個戦の枠が取れず、チームとしては一番心配されるポジションだったので、足を引っ張りたくないと思いました。また、ペアが変わったということもあるのですが、気持ちを新たにして、自分でやるべきことを常にやり続けて、1位をとるレースも最下位になるレースもあったのですが、それなりにいい感触でレースができたかなと思います。

――この大会で意識したことはありますか

自分が出せる最大限のスピードを常に再現できるように、集中力を持ちながらも、少しまずいなと思ったところは全て潰してレースに挑めるようにしました。

――最後に今後にむけた課題と目標を教えてください

課題としては選択肢が多い見え方の状態では気持ちよく走れるのですが、急いだ判断を迫られたときに正しいほうに進んでことが多いので、そういった悪い見え方になる前に対処していきたいです。また、ペアと協力して、いい見え方がキープできるように不安要素を消していければ自分の最大限のスピードを常に再現することができるのかなと思います。目標としてはレギュラーから引きずり降ろされないように自分がやるべきことを感情に左右されずにやり続けていきたいです。

470級クルー金子俊輔(商2=埼玉・早稲田本庄 )

――今日のレースを振り返っていかがですか

安定した順位を取れなかったことが悔しいですね。最初のレースでは1位を撮ることができたのですが、1位ではなくても2位や3位を撮ることができれば良かったのですが、徐々に順位を崩してしまったことがあったのは反省です。チームとして1日目を終えて勝っているということはポジティブに捉えたいです。

――最近急に寒くなりましたが、寒さというのはプレーに影響するのですか

寒さに関して言えば、個人的に対策をしていたつもりで、今着ているものは本来2月くらいに着るものです。しかし、きょうの天候であれば休憩時間は少し寒かったですけど、そこまでプレーに影響は出なかったですね。

――1日に5レースということでしたが、体力的にはいかがでしたか

もう少し体力をつける必要があるかなと思いました。なかなか1日に5レースやる大会は少なくて、最初と最後のパフォーマンスを比べると最後の方は疲労してしまい、パフォーマンスは落ちてしまったかなと思うので、筋力トレーニングなども含めて、体力面もインカレに向けて成長していけたら良いです。

――小泉選手とレース中にどのようなことを話されましたか

試合前は風がどこから吹いているかということを話していたのですが、レース中は風の話はもちろん、マークを曲がる前で「どっちに行きますか」などを話していました。

――公式戦には慣れましたか

あんまり慣れないですね。最初は六大学戦でチーム戦を経験して、前回は個人戦でした。早稲田同士で競い合うというより個人として戦うという側面が大きかったのですが、きょうは3大会目でチームレースの難しさを改めて知りました。僕もヨットについてあまり分かってない部分が多いので。そこに関してはもっと理解を深めていきたいと考えています。慣れているか慣れていないかで言えば、まだ慣れていないですね。

――明日への意気込みをお願いします

早稲田として勝ちというのは、どのような大会でも求められていると思うので、その中で個人としてしっかり勝ちきって、チームのために良い順位をとって、総合優勝に導きたいと思います。