「明日へのエールプロジェクト」の一環で、学生とアスリートが今とこれからを一緒に語り合う「オンラインエール授業」。 第31回目の講師は、なぎなたの強豪校・熊本県立熊本西高では、国体・インターハイで団体優勝、そして個人優勝など数々の好成績を残…

「明日へのエールプロジェクト」の一環で、学生とアスリートが今とこれからを一緒に語り合う「オンラインエール授業」。

第31回目の講師は、なぎなたの強豪校・熊本県立熊本西高では、国体・インターハイで団体優勝、そして個人優勝など数々の好成績を残し、現在は熊本県の高校で教諭を務める傍ら、全国高体連なぎなた専門部九州ブロック常任委員として、後進の育成や競技の発展に尽力する神山友香さんだ。全国高校なぎなた部の現役部員約30名や顧問の教員が集まり、今のリアルな悩みや質問に答えた。

「なぎなたで培ったものに救われている」

まずは神山さんの高校時代の話題に。「なぎなたをしていた保育士の先生に声をかけられ4歳の頃から始め、当時は何も分からず遊びにいく感覚だったと思うが、その積み重ねで今があると思う」と神山さんは話す。高校時代の目標はインターハイや国体で優勝することで「なぎなたを中心とした生活で、人間平等に1日24時間しかないので、いかにその時間をなぎなたに費やすか。朝にランニングをして、学校で朝練、そして授業を受け、放課後の部活動をし、帰宅後はストレッチや筋トレをした。なぎなたのために栄養を摂り、しっかり睡眠をして翌日を迎える。なぎなたありきの考え方をした生活だった」と一心不乱になぎなたと向き合った高校時代を振り返った。

そして、なぎなたを通じて「礼儀作法や忍耐力を培うことが出来た。今、競技の第一線にいる訳ではないが、社会に出てからなぎなたで培ったものに救われている」と感慨深く話した。

そして質疑応答のコーナーに。技術系の質問では「打った時に体と手がバラバラにならない方法、そのためにどんなことを意識したらよいのか?」という質問が寄せられると、神山さんは「足を動かすイメージを持つことで上手くいく場合と、おへそ周辺を動かすイメージで。どちらかが自分にしっくりくると思うので、ぜひ試して欲しい。なぎなたについては、繰り返し繰り返しを行うと体が覚える。1日、2日ではなく、日々繰り返して身に付けて欲しいと思う」と答えた。

「後輩を教えている=自分も稽古している」

メンタル面の質問も多く寄せられた。「強い相手や先輩と対戦をする時に気持ちで負けて消極的ななってしまう。どうすればいいのか?」という質問が飛ぶ。神山さんは、柔和な笑顔でひと呼吸を置いて「自分の中で、気持ちで負けているという自覚があるのならば、『技が取れなくても、今日は気持ちで負けなかった』、『自分から攻めることが出来た』と思うだけでも成長。強い先輩に対し、今日は気持ちで負けなかった。1本が決まったなど、少しずつ追い付けるように、そして追い越せるように取り組むといいと思う」と言うと「日々、チャレンジをして、はなから諦めるのではなく同じ人間なので『先輩のようになる、先輩を追い越すんだ』という気持ちで取り組んで欲しい」と続けた。

次に「後輩のことを気にかけて稽古をすると、自分のことがうまくいかなくなってしまう」という悩みに対しては「私の出身高である熊本西高校も、新入生の指導は上級生が行っている。4月、5月の時期には自分の練習ではなく新入生に指導する時間が必要になる。当初は自分の稽古が出来ず、時間を奪われているような感覚だったが、そうではなく“後輩を教えている=自分も稽古している”と、自分も成長している時間だと気づき、時間の使い方が有効になった。稽古で不足する時間があれば部活動以外に時間を作って自分のために稽古を積んで欲しいと思うし、日ごろの稽古の中で、自分を磨きつつ、後輩に気を配ることを積み重ねることで視野も広くなり、ひと一倍吸収できるようになる。同じ稽古時間でも、人より2倍、3倍も収穫がある部活動の時間になるので視野を広くもって取り組んで欲しい」とアドバイスを送った。

また「練習時間外に、どういう姿勢を意識したらよいのか?」と訊かれると、神山さんは「なぎなたでよく言われると思うが『丹田』。おへその下にしっかりと力を入れ、なぎなたと生活を切り離すのでなく、『この姿勢がなぎなたに生きてくるんだというプラス思考で過ごす』ことで、人よりも稽古をしていることになる。歩くときやエスカレーターを使うのではなく階段を使うこと、これも一つのトレーニング。すべてはなぎなたに生きてくるので、色々なことを積極的に取り入れて欲しいと思う」。まさに神山さんの高校時代の絵が浮かんでくるようなエピソードだった。

そして、こうも付け加えた「生活の中でもなぎなたが生きてくることが必ずある。声の大きさや礼儀作法社会に出て役立つ。素直に聞いて自分のモノにして欲しい」。

神山友香が語る“明日へのエール”

最後に“明日へのエール”を求められた神山さんは「日ごろ、先生や家族、そして友人が言ってくれることを素直に聞いていくと、必ずメンタル面も技術面も成長する。日々の努力は無駄にはならないので前を向いて前進して欲しい。何より周りの人に感謝の気持ちをもって素敵な大人になって欲しい」とエールを送った。そして、オンラインエール授業の締めくくりとして神山さんを囲んで参加者と、なぎなたの半身の姿勢取り記念撮影をし、オンラインエール授業は終了した。

今後もさまざまな競技によって配信される「オンラインエール授業」。

これからも、全国の同世代の仲間と想いを共有しながら、「今とこれから」を少しでも前向きにしていけるエールを送り続ける。