チーム事情から見るドラフト戦略2020〜巨人編 9月24日現在、巨人は53勝26敗4分(勝率.671)で、2位の阪神に1…
チーム事情から見るドラフト戦略2020〜巨人編
9月24日現在、巨人は53勝26敗4分(勝率.671)で、2位の阪神に12.5ゲーム差をつけ、セ・リーグを独走している。
こういう時はたいていの場合、盤石の"強力投手陣"が存在するものなのだが、今季の巨人投手陣で盤石なのはエースの菅野智之だけで、あとはその時好調な投手が先発して結果を出している。それが、今年の巨人投手陣のホントのところではないか。
そのなかから、高卒2年目の戸郷翔征が立派にローテーションの一角を占め、同じく2年目の直江大輔も来季につながる投球を続けている。中継ぎに目を移すと、3年目のサイドスロー左腕・大江竜聖が頼れる存在へと急成長した。
ベテラン、中堅が自分の役割をきっちりとまっとうするなか、若手も育てながらこれだけの成績を収めるのだから、組織として最高に"健全"な状況なのだろう。
逆に考えれば、今年は何もかもうまくいきすぎて、どこかにほころびが出た時、はたしてしっかりと機能するのだろうかという不安もある。

巨人が1位指名で獲得するのではと言われている近畿大・佐藤輝明
たとえば絶対エースの菅野が抜けた時、今年のように先発陣をうまくやりくりしながら回すことができるのか。戸郷にしてもまだチームを背負って立つには荷が重すぎる。そんなことを考えると、やはり即戦力投手がほしいところだが、すでに球団幹部が「外野手が足りない。今年は外野手を獲ります」と明言。
外野手の即戦力となると、まず頭に浮かぶのが近畿大の佐藤輝明だ。飛ばす能力はすでにプロの一軍レベルにあるが、それ以上に佐藤の魅力というのは本人にしかわからない独特の感性を持っていることではないかと思う。
柳田悠岐(ソフトバンク)や糸井嘉男(阪神)ほどじゃないにしても、打席での雰囲気や普通は手を出さない初球のカーブをあっさりジャストミートして長打にしてしまう"芸当"は、並の選手ではない魅力が詰まっている。
また、外野手じゃもったいないほどのフィールディング能力と俊足も兼備。素材としては申し分ないだろう。
しかし、これだけの逸材である。ほかの球団が放っておくはずがない。スラッガー獲得を目指す阪神、オリックスも虎視淡々と狙っているかもしれない。
昨年のドラフトから2巡目以降のウェーバー優先権が、セ・リーグとパ・リーグが1年おきに交互で変更することになり、今年はパ・リーグからとなる。指名順はドラフト前日の順位で決まるのだが、巨人が「12番目」になるのはほぼ間違いない。
今年のドラフトは、質は例年並でも、数が少ない。そのため1位はなんとしても確信の持てる選手を確保しておきたいというのは、12球団の共通認識だろう。そのため競合のリスクを避け、確実に獲れる選手を指名するという球団が出てくるかもしれない。いつも以上に慎重にならざるを得ないドラフトになるはずだ。
佐藤にしても絶対に獲得できるという保証はない。ならば、外れた時のシミュレーションもしておかなくてはならない。強打の外野手が第一候補なら、佐藤以外にも狙いを定めておく必要がある。
そこで推したいのが、中京学院中京の元謙太(げん・けんだい)だ。昨年夏の甲子園での活躍を覚えている人もいるだろうが、ひと口に言えば"鈴木誠也二世"だ。スイングが抜群に速くて、強肩・俊足も兼ね備えている。なにより体が強く、プロの猛練習にも耐えられるはずだ。
現状、支配下選手で20代前半の右打ちの外野手はイスラエル・モタだけのチーム構成を考えても、元は適役であろう。
1位で強打者の外野手を獲得したら、あとは即戦力投手だ。正直、どこまで選手が残っているかわからないが、狙いとしては右で川瀬航作(日本製鉄広畑)、村上頌樹(東洋大)、左なら藤井聖(JX−ENEOS)、山本一輝(中京大)あたりか。
抜群の制球力と多彩な変化球を操り、さらに145キロ前後の速球も備える村上が今の巨人にはいないタイプだが、秋のリーグ戦で痛めた右腕の状態が気になる。
3位以降は、原辰徳監督の母校である東海大相模、東海大から、山村崇嘉(東海大相模/遊撃手)、小郷賢人(東海大/投手)あたりの指名があるのでは......と勝手に予想している。
若手が着実に力をつけてきた今だからこそ、どんなドラフトを展開していくのか。今年の巨人のドラフトは例年以上に要注目である。