2020年の「全仏オープン」(フランス・パリ/9月27日~10月11日/クレーコート)は、これまでのものとは随分違った大会になりそうだ。選手への行動規則、限られた数の観客、しかも観客が入れるの…

2020年の「全仏オープン」(フランス・パリ/9月27日~10月11日/クレーコート)は、これまでのものとは随分違った大会になりそうだ。選手への行動規則、限られた数の観客、しかも観客が入れるのはセンターコートであるフィリップ・シャトリエ・コートだけ、という状況だ。そんな中でも選手にとって変わらないのは、憧れのトロフィーを掲げてグランドスラムの王者になりたいという願いだ。【トーナメント表】錦織出場!全仏OP男子シングルス

「全仏オープン」では、男子シングルス、女子シングルス、男子ダブルス、女子ダブルス、混合ダブルスという5つの種目で、5つの歴史あるトロフィーが授与される。それらのトロフィーについて、ウェブメディア Essentially Sportsが紹介している。

5つのトロフィーには、それぞれに大会の歴史や伝説的選手の歴史が刻まれている。これらのトロフィーは、1953年から優勝者に贈られてきた。

トロフィーは、パリの有名な宝石店Maison Mellerioで作られている。

男子シングルスの優勝者に贈られるマスケティアズカップ(銃士杯)は、格調高い銀の杯で、白鳥の形をした取っ手が付いており、最上部にはぶどうの葉の装飾が施されている。大理石の台座に取り付けられており、1891年以降の男子シングルスの優勝者全員の名前が刻まれている。

このトロフィーの名は、フランステニス界の四銃士と呼ばれたジャン・ボロトラ(フランス)、ジャック・ブルニョン(フランス)、アンリ・コシェ(フランス)、ルネ・ラコステ(フランス)への敬意を表している。

ラファエル・ナダル(スペイン)はこのトロフィーを最も多く掲げた選手で、今までの「全仏オープン」優勝回数は12回だ。

女子シングルスのトロフィー、スザンヌ・ランラン杯は、過去41年間の女子シングルスの優勝者に贈られてきた。1920年代に活躍し、「全仏オープン」を6度制した女子テニス界の伝説的選手スザンヌ・ランラン(フランス)の栄誉を称えるものだ。

このトロフィーは、当時ランランにニース市から贈られたトロフィーに似ている。ランランに贈られたものは国立スポーツ博物館に展示されている。

クリス・エバート(アメリカ)は「全仏オープン」で7度の優勝を果たしており、この数はオープン化以降でも、それ以前を含めても最多となっている。

男子ダブルスの優勝者たちは、ジャック・ブルニョン杯を掲げる。四銃士のうちの1人の選手を称えるもので、1989年に作られた。

女子ダブルスのトロフィー、シモーヌ・マチュー杯は30年前に作られた。「全仏オープン」女子シングルスで2度の優勝を飾り、8度決勝に進出したシモーヌ・マチュー(フランス)の栄誉を称えるものだ。マチューは女子ダブルスと混合ダブルスでも合わせて8度優勝している。

「全仏オープン」会場であるスタッド・ローランギャロスの3番目に大きいコートも、マチューの名を冠している。

混合ダブルスのトロフィー、マルセル・ベルナール杯も1990年から優勝者たちに贈られている。「全仏オープン」優勝経験者でフランステニス連盟の会長も務めたマルセル・ベルナール(フランス)を称えるものだ。

「全仏オープン」本戦は9月27日から始まる。今年は誰がこれらの美しいトロフィーを赤土の上で掲げるのだろうか。

(テニスデイリー編集部)

※写真は2019年「全仏オープン」でのナダル

(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)