宮司愛海連載:『Manami Memo』第17回フジテレビの人気スポーツニュース番組『S-PARK』とweb Sportivaのコラボ企画として始まった宮司愛海アナの連載『Manami Memo』。第17回は、昨季の所属チームであるパドヴァ…

宮司愛海連載:『Manami Memo』第17回

フジテレビの人気スポーツニュース番組『S-PARK』とweb Sportivaのコラボ企画として始まった宮司愛海アナの連載『Manami Memo』。第17回は、昨季の所属チームであるパドヴァからミラノへ移籍し、イタリアで6シーズン目を迎えるバレーの石川祐希選手について。



バレーの石川祐希選手に取材した宮司愛海アナ

 新型コロナウイルスにより一斉にストップしていた世界のスポーツ界が、徐々に動き出しています。アメリカでは、7月末にNBAが再開、そして先日は無観客ながらテニスとゴルフの全米オープンが開催され、ヨーロッパでも5月にドイツのサッカーリーグ・ブンデスリーガが再開されたのを皮切りに、各リーグ・競技が動き始めました。

 そして今日27日18時(現地時間)、イタリアで開幕するのがバレーボールリーグ・セリエAです。

 バレーボールが盛んなヨーロッパにおいても「世界最高峰」と称されるこのリーグ。そこで挑戦し続ける日本人選手--それが、日本代表のエース・石川祐希選手なのです。

 大学時代からイタリアでプレーし、今年で6シーズン目を迎える石川選手。所属チームをパドヴァからミラノへと移し迎える今シーズンについて、イタリアへ出発する少し前にお話を伺いました。

昨シーズンは「非常に悔しいシーズン」

 石川選手が初めてイタリアへ渡ったのは大学在学中のことです。2014年に中央大学に入学すると、その年の12月にセリエAトップ4の一つである名門モデナと短期契約。

 翌年には中堅クラブ・ラティーナで2シーズンプレーし、大学卒業と同時にプロ選手としてシエナへ移籍。プロ2年目となった去年1年間はパドヴァでチームの中心選手の一人として奮闘しました。


 世界最高峰かつ、結果を残さなければ来年の居場所がなくなるというシビアな世界。その魅力は

「トップの選手たちのモチベーションやプレー、人間性を知ることができる」ことにあると石川選手は話します。

 純粋な「強くなりたい」という思いを持ってイタリアに渡った学生時代を経て、石川選手はコートの内外でチームを率いる「真の日本代表のエース」になっていったのです。

 さて、昨シーズン(2019-20シーズン)は、目標としていたプレーオフ進出を、目前で新型コロナウイルスの影響により逃してしまいました。「非常に悔しいシーズンだった」と石川選手は振り返ります。

 シーズン前半は、トップ4と呼ばれる上位のチームから勝ち星をあげるなど、「自分自身のプレーもよかった」と評価しながらも、試合の延期や中止といった「予想外の状況に対して、常に自分のベストを尽くせなかった。対応力の面で課題が残った」シーズンだったと語っていました。

進化しているサーブ

 しかし、個人成績に目を向けてみると、中断となってしまった昨シーズンの数字にも石川選手の成長が表れていました。「サービスエース(得点につながるサーブ)」がその一つです。

 初めて全試合出場を果たした2018-19シーズン。サービスエースの数はシーズントータルで29本(全26試合)。それに比べ、昨シーズンは試合数が少なかったにも関わらず、同じ29本のエースを取っているのです(全19試合)。

 これについて、「大事な局面においてサーブで得点できたことが、後半のチームの好調に結びついた」と石川選手は振り返ります。

 思い返せば、8勝をあげ28年ぶりに4位入賞を果たした去年のワールドカップバレーの初戦、イタリアに対して先制した1点目も、石川選手のサーブによる得点でした。


 石川選手のポジション上、どうしても

「スパイク」に目が行ってしまいますが、実は「サーブ」は、とりわけ男子バレーにおいては勝敗を大きく左右するカギの一つ。石川選手が強化を続けているのは言うまでもありません。

 石川選手の、今シーズンのサービスエースの目標本数は「トータルで30、40本」。

「ミスのないエースはもちろん、効果的なショートサーブももっと取り入れていきたいと思っています」という力強い言葉に、常に上を見続ける石川選手の想いが表れていました。

「ミラノ」その先にあるもの

 石川選手の今シーズンの移籍先であるミラノは、セリエAで「トップ4」と呼ばれる、ルーベ、モデナ、ペルージャ、トレンティーノに次ぐ、昨シーズン5位の強豪チーム。

 さらに、チームメイトには、イタリア代表のキャプテン経験もあるマッテオ・ピアノ選手といった有名選手と若手選手が混在している、勢いがあるチームです。

 常に「世界一のプレーヤーになる」と話す石川選手の今シーズンの目標は「チームとしては4位以内に入ること」と、初の「スタメンでのプレーオフ出場」。その目標達成に向け、すでにリーグ戦に先駆けて行なわれているコッパ・イタリアでは、第1戦でMVPに輝くなど良いスタートを切っているようです。

「自分の成長は実感できますが、まだまだ上の選手もいるので、そういった選手たちを超すためにも、自分の感覚はもちろん数字を見て客観的に分析しながらレベルアップしていきたい」

 石川選手のインタビューで毎回変わらず驚かされる「世界への意識」。日本代表のエースと言われ続けることに対して驕らず、ただひたすらに世界と向き合い、「世界一のプレーヤー」を目指して努力を重ねる。さらには、それを日本代表での活動に還元する。ミラノで迎えるイタリアでの6シーズン目、「トップ4」に、そして追い求める「世界一」に向け、また新たな一歩を踏み出します。

PROFILE
宮司愛海(みやじ・まなみ)
91年7月29日生まれ。2015年フジテレビ入社。
福岡県出身。血液型:0型。
スポーツニュース番組『S-PARK』のメインキャスター。
スタジオ内での番組進行だけでなく、現場に出てさまざまな競技にふれ、
多くのアスリートに話を聞くなど取材者としても積極的に活動。