新型コロナウイルスの検査で陽性判定が出た、あるいは陽性者との濃厚接触者であると判断された6人のテニス選手が、今年最後のグランドスラムとなる「全仏オープン」(フランス・パリ/9月27日~10月1…

新型コロナウイルスの検査で陽性判定が出た、あるいは陽性者との濃厚接触者であると判断された6人のテニス選手が、今年最後のグランドスラムとなる「全仏オープン」(フランス・パリ/9月27日~10月11日/クレーコート)の予選出場が取り消しとなった。その中には「不当な処置だ」と法的手段に訴えることを考えている選手もいる。伊ニュースサイトUBI Tennisが報じた。【動画】全米OPでジョコビッチと対戦したジュムホール

ダミアー・ジュムホール(ボルニア・ヘルツェゴビナ)は、コーチであるペーター・ポポビッチ氏が陽性と判定されたため、陽性者の濃厚接触者であるとして出場を取り消された。だがポポビッチ氏は今年の初めに感染しており、今回の判定は偽陽性である可能性があった。ジュムホールはその可能性を述べて、ポポビッチ氏がもう一度検査を受けられるよう大会側に要望したが、受け入れられなかった。

「コーチは、抗体を持っている人は偽陽性となる可能性があることを説明したけど、2度目の検査は受けさせてもらえなかった。僕らは彼が陰性であると確信してる」とジュムホールは言う。

「大会側は僕らの説明に無関心だった。彼らは午後4時頃に電話してきて、僕は濃厚接触者だから大会には出られないと言った。この大会は僕にとって1年の中で最も大切な大会の一つだ。なのにプレーするチャンスも与えられないなんて、辛いよ」

出場取り消しとなった1日後に、ポポビッチ氏はセルビアの公的機関で検査を受け、陰性の判定を得た。「全仏オープン」での検査結果は偽陽性であった可能性がある。ジュムホールは弁護士に相談し、大会側と何らかの和解を得ることを望んでいる。和解がかなわなければ、提訴の可能性もある。

「ダミアー・ジュムホールは何の理由もなく棄権させられた。私たちはただもう一度の検査を望んだだけだ。それをすれば偽陽性だとわかっていたはずだ」とポポビッチ氏はSNSに綴った。

もちろん「全仏オープン」を運営するフランステニス連盟は、規則は規則だと言うだろう。だがポポビッチ氏は言う。「私たちは偽陽性を証明するための二度目の検査が許されないとは知らなかった。非人道的なやり方だと思う。自分たちは無力でちっぽけだと感じた。もしも有名選手に同じことが起こったら、2度目、3度目の検査が許されるのではないだろうか」

ボスニア・ヘルツェゴビナのトップ選手である28歳のジュムホールは、予選ではトップ5にシードされるはずだった。もし本戦出場がかなったら、それだけで6万ユーロ(約737万円)の賞金を得ることができたのだ。

※為替レートは2020年9月25日時点

(テニスデイリー編集部)

※写真は2019年「ATP500ドバイ」でのジュムホール

(Photo by Quality Sport Images/Getty Images)