9月20日、味の素スタジアム。J1ベガルタ仙台は、敵地でFC東京に1-0で敗れている。これで引き分けひとつを挟み5連敗…
9月20日、味の素スタジアム。J1ベガルタ仙台は、敵地でFC東京に1-0で敗れている。これで引き分けひとつを挟み5連敗。リーグ戦が折り返したところで17位に沈み、泥沼から抜け出せない。はたして、仙台は這い上がれるのか--。

FC東京に競り負け、肩を落とす関口訓充(右端)らベガルタ仙台イレブン
FC東京戦で仙台は、今シーズン初めての3バックを採用した(これまでは4-4-2、4-3-3)。3-4-2-1に近いイメージなのだろうが、実質的には5-2-3だった。FC東京の勢いに押され、バックラインがずるずると下がってしまう。前線が孤立し、中盤にスペースが広がり、ペースを与えることになった。戦線がだらりと伸びた形になって、満足にボールがつながらず、長いボールを蹴っては明け渡していた。
「最初の15分の入り方が大事」
それがFC東京陣営の合言葉だったという。事実、彼らは強度の高いプレスで押し込み、仙台に攻め手を与えていない。戦略だけでなく、技術的にも、士気の高さでも上回った。
そして13分、仙台は敵陣に入りながら、バックパスをかっさらわれ、そのままカウンターを発動されてしまう。シマオ・マテが必死に敵選手を潰すが、クイックリスタートで一気にラインを破られる。そして三田啓貴がGKと1対1となり、なす術はなかった。
結局、この1点が勝負を分けた。そして両者の差を象徴するシーンでもあった。チームとしての練度、集中力の高さ、勝負に対する抜け目のなさなどが集約されていた。
仙台にとって深刻なのは、戦いの中で不具合を自ら修正できなかった点だろう。前線とバックラインは間延びしたまま、中盤は数的不利にさらされ続け、無理して入れた縦パスはインターセプトを狙われた。
「ワイドにボールを入れる」
仙台はそれを攻撃のお題目に掲げていたが、中盤が数的不利でテンポが作れず、サイドが空くはずはない。シャドーに入った関口訓充が奮闘し、ボランチの椎橋慧也がラインを破るパスを見せたものの、どれも単発でゴールへの必然性は乏しかった。
しかし後半10分前後から、仙台は主導権を握っている。リードしている心理と連戦の疲れも出たのか、FC東京がラインを下げたのである。結果的に、仙台は3人の前線が相手ののど元に突き刺すナイフのようになって、そのままチーム全体が差し込むことになった。攻める時間が増え、何度か決定機もつかむ。敵陣でのセットプレーも多く、同点にしていても不思議ではなかった。
後半39分には、GK大国ポーランドで代表歴がある守護神ヤクブ・スウォビィクが見せ場を作る。カウンターからのレアンドロの強烈なシュートを力強く外へ弾く。直後の際どいCKも、高い技術のフィスティングでゴールラインへそらす。さらにクロスに対応し、パンチングでエリア外遠くへ飛ばした。硬質なゴールキーピングで、味方を鼓舞するように潮目を作った。
仙台は同点を狙い、総攻撃に入っている。実際、何度かゴールに迫った。しかし、最後は逃げ切られた。
「(永井謙佑の後半43分の起用に関して)下がりすぎず、前から(行って)フィードをさせないようにしました。永井は三度追い、四度追いをして、チームのために貢献してくれたと思います」(FC東京・長谷川健太監督)
FC東京はこうして、要所を締める戦いを見せた。昨シーズンは最終節まで優勝を争い、今シーズンも上位にいるチームだけに、勝負の機微を知っているのだろう。主力を休ませ、盤石な戦い方ではなかったが、踏みとどまった。
一方、仙台は見えない差を突き付けられた。
「3バックは今季初めてで、3日間の準備で使いました。システム自体は悪くなかったと思います。やれていなくはない。これから細かいところを突き詰めるつもりです。攻めたい気持ちはありますが、現状は失点しないところからです」(仙台・木山隆之監督)
仙台は、引き分け以上も狙える試合展開だったと言える。しかし、相手の悪い時間帯で得点できず、自分たちで戦術的不備を解消できなかった。4バックであれ、3バックであれ、ラインが間延びしたままでは戦いにならない。選手個人がハードワークしても、得点は増えず、失点が増える。今シーズンは、コロナ禍の特別ルールで降格はないが......。
9月23日、仙台は昨季の王者、横浜F・マリノスの本拠地に乗り込む。リーグ屈指のGKスウォビィクがゴールを守り、活路を見出せるか。中二日での試合になる。