厳選!2歳馬情報局(2020年版)第16回:テンカハル すでに5頭が勝ち上がるなど、今年の2歳戦線でもトップトレーナーと…

厳選!2歳馬情報局(2020年版)
第16回:テンカハル

 すでに5頭が勝ち上がるなど、今年の2歳戦線でもトップトレーナーとして存在感を示している栗東トレセンの矢作芳人調教師。実はこの厩舎には、これからデビューする2歳馬の中にも、期待の大物や話題の良血馬がまだまだ控えている。

 昨夏の「セレクトセール」で2億9000万円(税別)という高額で取引され、早くから注目を集めていたテンカハル(牡2歳/父キングカメハメハ)も、その1頭である。

 同馬の母は、ジンジャーパンチ。GI6勝を挙げるなど、アメリカを代表する名牝だ。そして父が、日本を代表する種牡馬の1頭であるキングカメハメハとなれば、それだけの高値で取引されるのも頷ける。



重賞戦線で活躍したテンカハルの姉、ルージュバック

 もちろん、繁殖牝馬となったジンジャーパンチの実績も大きい。2012年に生んだルージュバック(牝/父マンハッタンカフェ)は、デビュー戦から牡馬相手で3連勝を飾る快進撃を見せた。なかでも圧巻だったのは、3戦目のGIIIきさらぎ賞(京都・芝1800m)。有力牡馬たちをまったく寄せつけず、牝馬として51年ぶりの勝利を挙げた。

 その後、GI桜花賞(阪神・芝1600m)9着、GIオークス(東京・芝2400m)2着と、牝馬クラシックでは栄冠を獲得できず、古馬になってからもGIタイトルを手にするまでには至らなかった。それでも、重賞戦線で奮闘。牡馬トップレベル相手に、GII2勝、GIII1勝という立派な成績を残した。

 そのルージュバックの弟となるのが、テンカハル。セレクトセールの際、矢作調教師がオーナーにこの馬を薦めたというエピソードもあって、競馬ファンの間では一段と注目度が増している。

 テンカハルはすでに入厩。デビューに向けて、着々と準備を重ねている。現時点でスタッフはどんな感触を得ているのだろうか。関西競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。

「少し前、テンカハルの状態をスタッフに聞いた時は、『高い馬の雰囲気はあるが、まだ大型で緩さが残る』とのことでした。それが今、『追うごとによくなっている。徐々に首を使って走れるようになってきた』と、スタッフの評価は急上昇していました」

 なお、同馬の走りについては、姉ルージュバックとの比較も交えて、こう評していたという。トラックマンが続ける。

「レースのスタイルについては、『現状ではキレるイメージというより、スピードに乗せて、長くいい脚を使うイメージ』とスタッフ。ルージュバックは父マンハッタンカフェでしたが、『テンカハルは、父キングカメハメハの特徴が出ている』と話していました」

 デビュー戦については、10月3日の2歳新馬(中京・芝2000m)を予定しているが、「状態次第では1週早める可能性もある」とトラックマン。いずれにせよ、その雄姿はまもなく見られそうだ。

 矢作調教師も一目置くテンカハル。はたして、どんな走りを見せてくれるのか。間近に迫った初陣に注目である。