史上最もミステリアスなシーズン--今週末に開幕するイタリア、セリエAの2020-2021はそう呼ばれている。コロナ禍の…
史上最もミステリアスなシーズン--今週末に開幕するイタリア、セリエAの2020-2021はそう呼ばれている。コロナ禍のせいで、あまりにも例年と異なり、いったい何が起こるのか誰にも予測できないのだ。
まず、各チームとも長いシーズンを戦うための準備ができていない。2019-2020が終了したのが8月2日。その後チャンピオンズリーグ(CL)やヨーロッパリーグ(EL)があり、EL決勝を戦ったインテルは8月22日までプレーしている。例年のように夏休みの後にキャンプに入り、みっちり体を作り上げるということがまるでできていない。テストマッチもほとんど行なわれておらず、開幕前に1、2試合、それも近所の手ごろなチームと手合わせをしたぐらいだ。
そして、まだチームの形が決まっていない。今年は移籍市場が10月5日に閉まる予定で、それぞれのチームが最終的にどんな選手で戦うのか、開幕時点ではまだわからないのだ。
そんな予測不可能なシーズンに、今年も2人の日本人DFが立ち向かう。

ボローニャの守備の中心として新シーズンを迎える冨安健洋
昨シーズン、出場した29試合すべてスタメンとしてプレーした冨安健洋は、すでにボローニャにはなくてはならない存在だ。多くのイタリアメディアもボローニャのこれからを背負って立つ選手だと認識している。その証拠に今オフ、ローマやナポリ、インテル、さらにはプレミアのチームからも好条件のオファーが寄せられたようだが、ボローニャは一貫してそれをはねつけている。
昨季は右SBとしてプレーした冨安だが、新シーズンからは本来のCBに戻る可能性が高い。この夏、ボローニャは元イタリア代表のロレンツォ・デ・シルヴェストリを獲得した。デ・シルヴェストリはシニシャ・ミハイロビッチ監督の愛弟子で、フィオレンティーナ、サンプドリア、そしてトリノと3度にわたり共に戦っている。ポジションは右SB。監督のたっての希望でそのデ・シルヴェストリを獲得したと言うことは、冨安をセンターに移す意思があるからだろう。開幕前の親善試合でも冨安はCBとしてプレーし、ミハイロビッチもそのプレーぶりには満足しているようだ。
DFでは、18歳のスコットランドのプレーヤー、アーロン・ヒッキーも獲得している。16歳でプロデビューし、バイエルンやチェルシー、セルティックも獲得に動いた若手有望株だ。こちらはケガの多かった左SBミシェル・ダイクスの控えとしての獲得だろう。ビッグクラブのように金はかけられないが、若く優秀な選手を獲得し、伸ばしていくというのがボローニャの方針のようだ。
「今シーズンの目標は、勝ち点52を超えることだ」
ミハイロビッチ監督はイタリアメディアのインタビューにそう答えている。クラブの歴史の中でこれまでの最高ポイントは2001-2002の52。それを超えたいと言っているのだ。
ちなみに昨シーズンの場合、52ポイントをとれば8位に入れる。EL出場のチャンスが得られるのは6位からなので、あわよくばEL圏内入りも目指しているのだろう。これまで「降格の危険性がない順位」を目指していたボローニャだが、今シーズンはさらに上を目指す。
ボローニャは8月28日より、アルプスに近いピンツォーロという町で短い合宿に入った。しかし、そこに冨安の姿はなかった。8月22日に日本から帰国したので、イタリア保険省の決まりで一定期間の隔離が必要だった。だが、ボローニャの申し入れで特別に8月31日にはチームに合流することができた。
ボローニャの初戦の相手はミラン。ミランが9月17日にELの予選をプレーしているため、試合は月曜日に行なわれる。中4日でプレーするミランに対して、ボローニャは多少有利かもしれない。ズラタン・イブラヒモビッチと冨安のマッチアップが楽しみだ。
一方、昨季15位だった吉田麻也のサンプドリアは、降格に脅かされないシーズンを目指す。サウザンプトンからの期限付きレンタル期間が終了すると、吉田はサンプドリアに残留することを選んだが、それが1年になるか、2年になるかが話し合われていた。
サンプドリアは吉田にできるだけ長くチームに留まってほしいと望んだが、経済的に苦しいので2年契約で年俸100万ユーロ(約1億2500万円)を提案したが、吉田側は従来の150万ユーロを主張。結局、契約は1年のみとなり、2021年の6月までプレーすることとなった。
クラウディオ・ラニエリ監督は吉田を非常に高く評価しており、サンプの守備の要と考えているようだ。
「彼の豊富な国際経験、闘志、チームのために戦おうとする強い気持ちは、守りに安定感と確かさを与えてくれる」
サンプドリアの始動は8月26日。サマーキャンプは行なわず、ジェノバ郊外の練習場でトレーニングを行ない、選手が家から通えるようにした。昨季のリーグ戦再開後、選手たちはハードスケジュールをこなし、これからも過密スケジュールが続く。選手に精神的肉体的負担をかけたくないというラニエリ監督の思いから、この形となった。
サンプドリアはほとんどレギュラーメンバーを変えていない。4-4-2のフォーメーションで吉田はロレンツォ・トネッリとCBコンビを組む。同じくCBのオマー・コリーにはリバプールへの移籍の噂がある。
サンプドリアはここまで練習試合を3試合行なっているが、アレッサンドリア戦では、ケガなどで使える選手が少なかったこともあり、ラニエリ監督は吉田を中盤で途中出場させた。監督はそれにも手応えを感じており、新シーズンでは中盤で使うことも選択肢に入れているようだ。吉田自身もSNSで、その後のユースチームとの練習試合でも中盤でプレーしたことを報告している。
サンプドリアは日曜日の開幕戦でユベントスと対戦する。冨安がイブラなら、吉田が対峙するのはクリスティアーノ・ロナウドだ。この試合は新しくユベントスの監督に就任したアンドレア・ピルロの初陣でもあるだけに、注目が集まるだろう。ぜひとも活躍を期待したい。