約7万人のサポーターを味方につけたウェールズ代表相手に、日本代表が大接戦を演じた。ラグビーの聖地といわれるカーディフのミレニアムスタジアム(現正式名称:プリンシパリティスタジアム)で19日、世界ランキング6位のウェールズ代表に挑み、昨年の…

 約7万人のサポーターを味方につけたウェールズ代表相手に、日本代表が大接戦を演じた。ラグビーの聖地といわれるカーディフのミレニアムスタジアム(現正式名称:プリンシパリティスタジアム)で19日、世界ランキング6位のウェールズ代表に挑み、昨年のワールドカップに続く番狂わせを起こす寸前まで健闘したが、同点で迎えた試合終了間際に相手にドロップゴールを決められ、30-33で敗れた。

 2013年6月に東京・秩父宮ラグビー場でウェールズ代表から歴史的初勝利を挙げた日本代表。そのとき、相手は主力選手を多く欠いた若いチームだったが、今回は、当時不在だったブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズのスター選手7人も先発した強力布陣だった。ジェイミー・ジョセフ体制となってまだ3戦目の日本代表だが、自国で開催される2019年のワールドカップへ向け、大きな自信をつけるアウェイでの奮闘だった。

 日本は序盤から積極的だった。前半4分にSO田村優のPGで先制する。7分過ぎにはWTB山田章仁の走路を妨害した相手FBリーアム・ウィリアムズがシンビンとなり、日本はショットで3点を追加した。

 しかし、ウェールズはリスタート後すぐ、カウンターラックでボールを奪い返してフェイズを重ね、FLダン・リディエイトがトライ。コンバージョン成功で逆転した。さらに22分過ぎ、ウェールズはゴール前のスクラムから攻めてパワフルなCTBジェイミー・ロバーツがインゴールに突っ込み、リードを広げた。

 それでも日本は37分、ディフェンスでプレッシャーをかけ、相手のパスが乱れたところ、WTB山田がこぼれ球を拾って約60メートル独走し、13-14と1点差に詰めて前半を終えた。

 流れを引き寄せたい日本だったが、後半の立ち上がりが悪く、すぐにPGで点差を広げられる。51分(後半11分)過ぎには、ウェールズのLOアラン=ウィン・ジョーンズが空いたスペースを突破して主将のFLサム・ウォーバートンにつなぎ、トライ。13-24となった。

 それでも、日本は崩れなかった。
 リスタートからまもなく、ボールを奪い返してテンポよく回し、先週のジョージア戦に続いてHO堀江翔太が起点となった見事なパスワークから得点する。堀江、SO田村、CTBティモシー・ラファエレ、FLマルジーン・イラウアと巧みなハンドリングでつなぎ、外でボールをもらったWTB福岡堅樹が左隅にきっちりトライを決めた。ゴールキック成功で20-24。

 その後、ウェールズがPG2本、日本はPG1本決め、23-30でラスト10分間の戦いに突入する。

 そして、73分だった。日本はFB松島幸太朗のカウンターで敵陣に入るとすばやく右へ展開し、NO8アマナキ・レレイ・マフィがタッチライン際で粘って途中出場のWTBアマナキ・ロトアヘアにつなぎ、トライを獲得。SO田村が難しい位置からのゴールキックを決め、30-30の同点となった。

 しかし、ラグビー伝統国のウェールズも執念を見せた。79分、キックレシーブからじりじりと攻め上がって敵陣22メートルライン内に入り、ポスト正面に来たところでSHガレス・デーヴィスからSOサム・デーヴィスへとボールが渡る。残り時間10秒。そして、2013年のIRB(現ワールドラグビー)年間最優秀ジュニア選手であり、2週間前のオーストラリア戦でデビューしたばかりの新鋭SOサム・デーヴィスが左足で確実にドロップゴールを決め、これが値千金の決勝点となった。

 惜しくも大金星を逃した日本代表は、これで欧州遠征は1勝1敗となった(11月5日に秩父宮でおこなわれたアルゼンチン戦から数えて1勝2敗)。次週が今年最後のテストマッチとなり、フランスのヴァンヌで世界ランキング10位のフィジー代表と対戦する。