ドネア戦の負傷は「1年で完全回復」と不安説一蹴 ボクシングのWBAスーパー&IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)が9日、オンラインで会見し、10月31日(日本時間11月1日)に米ラスベガスのMGMグランドでWBO同級1位ジェイソン・マ…

ドネア戦の負傷は「1年で完全回復」と不安説一蹴

 ボクシングのWBAスーパー&IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)が9日、オンラインで会見し、10月31日(日本時間11月1日)に米ラスベガスのMGMグランドでWBO同級1位ジェイソン・マロニー(オーストラリア)と対戦することを正式発表した。井上にとって1年ぶりの試合。眼窩底と鼻骨骨折後の初戦のため、当初予定していた4月の試合前は不安を抱えていたことを明かし、完全回復したことを強調した。

 井上にもう不安はない。昨年11月のワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)決勝で、元5階級制覇王者ノニト・ドネアを判定で撃破。しかし、左フックを受けて右目眼窩底と鼻骨の骨折を負った。今年1月末にWBO王者ジョンリエル・カシメロ(ともにフィリピン)との3団体統一戦を4月に行うと発表。当初は約5か月で次戦を迎えるはずだった。

 カシメロ戦の発表会見で負傷について「全く問題ないです。怖さも全然ないです」と強調していたが、試合に臨むまでの間に心の片隅にはモヤモヤがあったという。

「4月にやりたい気持ちももちろんあったけど、それ以上にけがの状態含め、自分の中で100%仕上げた状態で挑めるのかと少し不安があった。その不安を抱えた中で戦うのは、どうなのかなというのも少しあった。それが延期になって万全な状態で試合に挑めることになり、そういった感じでいろいろ考えていた」

大橋会長「4月は早い気がしていた」

 この日、会見に同席した大橋秀行会長も「僕も同じように目のけがをした。4月は若干早いような気がしていた」と吐露。準備期間が増え「1年ブランクがあるとは思わない。スパーもできているし、いつもの井上尚弥。楽しみにしてほしい」と期待した。

 凄まじい勢いで世界のトップに駆け上がり、27歳と脂の乗った時期にいる。そんな年にコロナで試合数が減ってしまうが、井上は「目のけがもあり、激闘を制したばかりだったので自分にはプラスになる期間だとポジティブに捉えていた」と切り替えた。ドネア戦ではボクサー人生初の流血。「右目の上もカットしましたし、そこも開きやすい状態だった。1年で完全に回復しました」とアピールした。

 ボクサーとして多くを兼ね備える井上に対し、海外メディアでは負傷が弱みになると指摘する報道もあったが、今度こそモンスターは「完全に回復」と一蹴。なかなか試合が決まらなかったが「今年できなきゃしょうがないし、来年になれば来年にやるだけなので、焦りはなかったです」とモチベーションの低下なんて縁遠い。再びフルパワーのモンスターを期待していいようだ。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)