「南野拓実が、この試合のベストパフォーマーだった」 そう評したのは、地元紙リバプール・エコーである。 9月12日にリーズ…
「南野拓実が、この試合のベストパフォーマーだった」
そう評したのは、地元紙リバプール・エコーである。
9月12日にリーズとのプレミアリーグ開幕戦を迎えるリバプールは、プレシーズン最後の練習試合でブラックプール(英3部)と対戦した。1週間前に行なわれたアーセナルとのコミュニティー・シールドで貴重な同点ゴールを叩き出した南野は、4−2−1−3のトップ下で先発。1ゴール&1アシストの活躍で、7−2の勝利に貢献した。

1ゴール1アシストの活躍を見せた南野拓実
このプレシーズン期間で、ユルゲン・クロップ監督は戦術の引き出しを積極的に増やそうとしてきた。今回のブラックプール戦もテストの意味合いが強かった。
トレーニングマッチのザルツブルク戦(8月25日)では、従来どおりの4−3−3を採用。後半開始時から出場した南野は、3トップ一角のCFとして出場した。変化が見えたのは、アーセナルとのコミュニティー・シールド(8月29日)だ。
キックオフ時こそ4−3−3でスタートするも、膠着状態が続いた後半から4−2−3−1にシステムを変更。CFにモハメド・サラー、右MFにサディオ・マネ、トップ下にロベルト・フィルミーノ、そして左MFに南野を入れた。この「プランB」で試合の流れが変わり、日本代表はアグレッシブな攻めの姿勢から同点ゴールを叩き込んだ。
迎えたブラックプール戦で、クロップ監督は4−2−1−3をテストした。CFにフィルミーノ、右FWにサラー、左FWにマネのレギュラー3トップを前線に置き、南野を10番のポジションで起用。その後方のセントラルMFにナビ・ケイタとファビーニョを入れる布陣は、昨シーズンにはなかった形だ。
この新布陣で、南野は輝いた。相手DFとMFのライン間を徘徊しながら、チャンスと見れば最終ラインの背後に抜けて、味方のラストパスを引き出す。3トップとセントラルMFの間でリンクプレーもこなしつつ、クロスボールにはフリースペースに飛び込んでチャンスを呼び込んだ。
しかも、前方から献身的にプレスをかけて守備でも貢献。前出のリバプール・エコーは「中盤の高い位置で目につくプレーを見せた」と評し、英紙デイリー・メールも「南野は試合を通して躍動した」と褒めた。とくに、CFのフィルミーノとは息のあったプレーを披露した。
相手が英3部のブラックプールだったのは考慮すべきだが、4−2−1−3が機能したうえで、南野も攻守両面で存在感を示したのは、新シーズンに向けて大きな収穫だろう。
1970〜80年代のリバプール黄金期にCBとして活躍したクラブOBのフィル・トンプソン氏も、そんな南野に期待するひとりだ。
現役時代に7度の国内リーグ制覇と、3度のヨーロピアンカップ優勝(欧州チャンピオンズリーグの前身)を成し遂げた名手は「南野がよくなってきた。すぐに先発メンバーに入ってくるとはまだ思えないが、シーズンが進むにつれ、試合出場のたびに大きなインパクトを残すだろう」とコメント。
さらに、質問者が「これまで南野はフィルミーノのバックアッパー、つまり9番の選手と見られていた。このポジションに人員はまだ必要だが、今日の試合ではトップ下で使われた。南野にとって、どのポジションがベストか」と問うと、リバプールのクラブレジェンドは次のように答えた。
「トップ下の位置がベストだ。10番のポジションこそが、彼の才能を最も生かせる。実際、CLでザルツブルクの一員としてリバプールと対戦した時も、南野が輝いたのはトップ下だった。
ただし、右サイドでプレーしようとも、左サイドにまわろうとも、南野自身は気にしないと思う。こうした万能性も彼の特性であり、どちらでも機能するだろう」
ここまで、南野はさまざまなポジションでプレーしてきた。従来型の4−3−3ではCFのほか、左FWや右FWとしてもプレー。4−2−3−1では左MFを務め、4−2−1−3ではトップ下に入った。複数の役割を与えることで、クロップ監督が南野起用の最適解を探ろうとしている印象は強い。
筆者も南野の特性を最も生かせるのはトップ下だと思うが、ひとつだけ間違いないのは、まだ「南野ありき」でシステムが決まることはないということ。あくまでも重視されるのは、「試合展開」や「チーム状況」「対戦相手のアプローチ」である。
それは、2試合連続でゴールした南野について質問を受けたクロップ監督が、「誰がゴールを決めたかはさほど重要ではない。チームがうまく機能した時、初めて個人が輝くことができる」と語った言葉も伝わってくる。それゆえ、アーセナル戦のように4−2−3−1の左MFで入ることもあれば、ブラックプール戦のように4−2−1−3のトップ下に配置する試合も出てくるだろう。
ただし、世界王者リバプールのなかで、南野の存在感が大きく増してきたのは間違いない。長いシーズン、クロップ監督が南野をどのように取り込み、どう生かしてくのか。今から新シーズンが楽しみでならない。