日本ハムの二刀流・大谷翔平が侍ジャパンの強化試合(10~13日)でも打者として強烈な活躍を見せ、米国内での注目が高まっている。メジャー挑戦は早くても来シーズン終了後と見られているが、今オフの渡米を望む声も現地では根強い。ただ、それはMLB球…

日本ハムの二刀流・大谷翔平が侍ジャパンの強化試合(10~13日)でも打者として強烈な活躍を見せ、米国内での注目が高まっている。メジャー挑戦は早くても来シーズン終了後と見られているが、今オフの渡米を望む声も現地では根強い。ただ、それはMLB球団と大谷自身にとって望ましい状況ではないと米メディアが伝えている。

■22歳の年齢と日本でのプレー期間がネックに、「彼と契約を結ぶチームは制約を受ける」

 日本ハムの二刀流・大谷翔平が侍ジャパンの強化試合(10~13日)でも打者として強烈な活躍を見せ、米国内での注目が高まっている。メジャー挑戦は早くても来シーズン終了後と見られているが、今オフの渡米を望む声も現地では根強い。ただ、それはMLB球団と大谷自身にとって望ましい状況ではないと米メディアが伝えている。

 詳しい記事を掲載していたのが、1980年創刊の米野球専門誌「ベースボール・アメリカ」だ。「日本の二刀流選手であるショウヘイ・オオタニが、今オフシーズン話題を呼んでいる」との書き出しで、大きく取り上げていた。

 特集では、「彼は21世紀のベーブ・ルースだ。彼は100マイル(約161キロ)以上を投げることができる。そして、日本で最も優秀な打者でもある」と紹介。さらに、強化試合のオランダ戦で放った右中間への「特大ホームラン」、東京ドームの天井裏に消えた衝撃の二塁打の動画も掲載している。

 米国ではオオタニの知名度が急上昇しているが、同誌は来季のメジャー挑戦はないと予想。今オフのFA市場は先発投手が「貧相」な状態となっているものの、22歳という年齢がネックになるというのだ。

「オオタニは22歳であるため、彼と契約を結ぶチームはインターナショナル・ボーナス・プールの制約を受ける。23歳以上であり、プロ野球リーグで5年以上プレーしている選手には適用されない。オオタニは2017年以降、条件を満たすことになる」

■「メジャーリーグ契約ではなく、マイナーリーグ契約のみが可能」

 インターナショナル・ボーナスプールとは、22歳以下の国外選手と契約する際に設けられている契約金額の上限。戦力不均衡が起こらないためのルールで、各球団の成績によって上限金額は異なる。ただ、上限を超えた場合には、罰金も含めた罰則が規定されている。現行の制度は12月1日に効力を失うため、今オフでも適用されない可能性もあるが、引き継がれた場合には、22歳以下でNPBでのプレー経験も4年の大谷は「22歳のキューバ選手と同様に扱われるだろう」という。

「つまり、メジャーリーグ契約ではなく、マイナーリーグ契約のみが可能であるということだ。オオタニを獲得するために最大2000万ドル(約22億円)の入札金を提示する球団は多いだろう。しかし、メジャーリーグ契約ができないため、MLB球団、そしてオオタニにとっても望ましい交渉にはならない」

 記事では、このように説明した上で「オオタニは今シーズン、ポスティングにかけられたくない理由が多くある」と言及。「ドジャース、ヤンキース、レッドソックス、エンジェルスはオオタニ獲得争奪戦に参加できないだろう。なぜなら、彼らは過去2年間でインターナショナル・ボーナス・プールの上限を超えてしまったためである」。今オフにメジャー挑戦に踏み切ろうとしても、大谷争奪戦の中心になると見られてきたドジャース、ヤンキースといった球団が、そこに加われないというのだ。

 一方で、現行のポスティングシステムでは譲渡金が2000万ドルとなっているため、大谷が海外FA権を取得するまでの今後5シーズン、日本ハムが移籍を容認しないかもしれないとも指摘。1年後でも4年後でも譲渡金の額は変わらいないだけに「早い時期に彼をポスティングに出しても、(日本ハムが)財政的に得することはない」としている。

「オオタニは、ほぼ間違いなくファイターズ最高の打者であり、球団最高の投手だ。日本において彼は最も偉大なスターのひとりであり、目玉選手である。また、北海道(日本ハム)はパシフィック・リーグで最高のチームだ。オオタニは恐らく来春(2018年)、米国に来るだろう。MLBとファンはもうしばらく、彼のメジャー入りを待たなくてはならない」

 若きスターの渡米をメジャー球団だけでなく、ファンやメディアも待ちわびている。2017年シーズンも、日本ハムでプレーする大谷には米国から熱視線が浴びせられることになる。