マンチェスター・シティか、インテルか、パリ・サンジェルマンか? それともバルセロナ残留か?メッシとロナウドの共演こそ、誰…

マンチェスター・シティか、インテルか、パリ・サンジェルマンか? それともバルセロナ残留か?



メッシとロナウドの共演こそ、誰もが見たい夢のコンビだ

 リオネル・メッシが、所属のバルセロナに対して移籍志願レターを送付して以来、世界はメッシを巡る移籍のニュース一色に染まっている。

 カンテラ時代を含めて約20年にわたってバルサ一筋を貫き、その間、クラブとしても個人としても数え切れないほどのタイトル獲得や記録更新を成し遂げてきたメッシ。そんな彼が、33歳にして他チームに移籍するとなれば、それこそサッカー史に残る一大事件。その真偽のほどは別として、世界中のメディアが連日のようにメッシの移籍にまつわるニュースを報じるのも当然だ。

 メッシが最終的にどの道を選択するかはそれこそ「神のみぞ知る」だが、その去就がはっきりするまでは、少なくともサッカーファンにとっては移籍先を巡って夢が膨らむ時期であることは間違いない。

 とりわけ10年以上の長期にわたり、世界の年間最優秀選手に授与されるバロンドールを分け合ってきたクリスティアーノ・ロナウドとの共演は、ファンなら誰もが一度は見てみたいと思う最大の関心事と言える。

 果たして、メッシがユベントスに移籍してロナウドとチームメイトになったとしたら、ピッチでは一体何が起きるのか? 2大スターの共演によって、サッカー史に残る"破壊力マックス"のチームが出来上がることは必至だ。

 そもそも、これまでメッシとロナウドが記録してきたゴール数だけを見ても、その恐ろしさは想像に難くない。

 まず、バルサでトップデビューを果たした2004-05シーズン以来、メッシはこの16シーズンで公式戦731試合に出場し、計634ゴールをマーク。ヨーロッパ年間最多得点記録者に贈られるゴールデンシューは、これまで6度も受賞している。

メッシの去就はどうなる? はこちら>>

 そのうちラ・リーガでは485試合で444ゴールと、リーグ歴代ダントツのトップを快走中。今季はコロナ禍で25ゴールに終わったが、それでも4季連続のピチーチ賞(得点王)を死守するなど、その圧倒的な決定力はいまだ衰えの兆しを見せていない。

 もちろんヨーロッパの舞台でもその輝きは変わらず、過去6度得点王を獲得したチャンピオンズリーグ(CL)の通算ゴール数は、歴代2位の115ゴール(出場143試合)に及ぶ。

 一方のロナウドも、これまでスポルティング、マンチェスター・ユナイテッド、レアル・マドリード、そして現在のユベントスと計4チームでプレーし、スポルティングでトップデビューを飾った2002-03シーズン以来、これまで公式戦850試合に出場して計638ゴールを記録している。

 最も長く在籍したレアル・マドリード時代(9シーズン)にピチーチ賞を3度受賞したほか、2007-08シーズンにプレミアリーグの得点王を獲得した経験もある。また、これまで173 試合に出場したCLでは歴代トップとなる131ゴールを記録し、7度の得点王を受賞。2013-14シーズンの年間17ゴールという記録はいまだに破られていない。

 つまり、サッカー史を代表するゴールマシンふたりの総ゴール数を合計すると、その数字は驚愕の1272ゴールに達する。

 しかも35歳のロナウドは、今季も超過密日程のなかでセリエA31ゴールをマークするなど、ゴールハンターとして進化をつづけている。

 問題は、桁違いの得点力を誇るふたりが共存できるかどうかだ。ゴール数の足し算はあくまでも机上の空論にすぎず、重要なのはふたりを共存させるためのチームとしてのオーガナイズになる。

 そこで、今季からユベントスの指揮を執るアンドレア・ピルロ新監督が採用を公言する、4-3-3システムにあてはめてみると、次のような編成でふたりの共存が考えられる。

 GKヴォイチェフ・シュチェスニー以下、DFは右からダニーロ、マタイス・デ・リフト、レオナルド・ボヌッチ、アレックス・サンドロ。中盤3人は中央にロドリゴ・ベンタンクール、右にアドリアン・ラビオ、左には新戦力のアルトゥールを配置。3トップはパウロ・ディバラをゼロトップ式に起用し、右にメッシ、左にロナウドを置く形になるだろう。



メッシがユベントスに入った場合の仮想布陣。破壊力抜群の攻撃が見られるはず

 前線3人は流動的に動くための阿吽の呼吸が必要になるが、相手チームにとっては彼ら3人をマークするためには、最低5人が必要になるのではないか。そうなれば、ユベントスにとっては相手陣内に押し込みやすい状況が生まれるだろう。

 肝心のふたりの相性については、それほど心配することはない。一昨季あたりからのメッシは、中盤に下がってボールを受け、前線に効果的な中長距離のピンポイントパスを配給するという非凡な展開力を披露している。それはサイドや前線でディフェンスの背後を狙いたいロナウドにとって、願ってもない環境と言える。

 ふたりが得意とする直接FKにしても、右足で狙うならロナウド、左ならメッシと、その棲み分けには自然とふたりの間で"暗黙の了解"が成立するはずだ。

 ただし、メッシとロナウドには守備の負担をかなりのレベルで免除しなければならない。ディバラ+中盤3人の運動量と、ボール奪取能力向上が絶対条件となるだろう。

 いずれにしても、成績や守備云々は別として、ロナウドとメッシが共演することでどれほどの破壊力を示すのかは、是非とも一度は見てみたい。そう思わせてくれるようなドリームチームが完成することは間違いない。

「もちろん僕たちの関係は良好だよ。まだ彼とはディナーを共にしたことはないけど、将来その時がやって来ても何も問題はない。僕たちは長くスペインで競い合い、お互いを高め合うことができた。これはサッカーの歴史としてもよいことだと思う」

 UEFA主催の授賞式で、ロナウドが永遠のライバルであるメッシとの関係についてそう語ったのは、昨夏のことだった。その当時は、まさかメッシがバルサを出て行く気持ちになるとは考えもしなかったと思われるが、現在のロナウドであれば、ディナーどころかライバルが同じユニフォームを着ることを大歓迎するような雰囲気もある。

 もっとも、夢の共演が実現するためには、途方もない資金が必要になることは言うまでもない。現在メッシが手にする年俸は世界トップの約4600万ユーロ(約55億円)で、ロナウドの年俸は約2100万ユーロ(約25億円)とされている。ふたり合わせて約80億円。この金額が、ユベントスの懐をひどく圧迫することは火を見るより明らかだ。

 バルセロナ大学のホセ・マリア教授の試算によれば、メッシが国外に出て行くことでスペインの税収約5000万ユーロ(約60億円)が消滅するという。すでにロナウド移籍によって約4000万ユーロ(約50億円)を失ったスペインとしては、メッシの国外流出だけは阻止したいところだろう。

 これら金銭の問題をクリアするためには、やはり強力なバックアッパーの存在が不可欠になる。たとえばメッシとユベントスのスポンサーを務める某スポーツメーカーA社がメッシの移籍をサポートするとしたら......。

 とにかく、最終的にメッシの移籍問題がどのような結末を迎えたとしても、いつかはロナウドとの共演を見てみたいという思いは変わらない。