サッカーIQラボ 〜勝負を決めるワンプレー~Questionアンス・ファティはこの状況をどう打開したか? UEFAチャン…

サッカーIQラボ 〜勝負を決めるワンプレー~

Question
アンス・ファティはこの状況をどう打開したか?

 UEFAチャンピオンズリーグ(CL)準決勝でバイエルンに大敗し、2007-08シーズン以来の無冠となったバルセロナ。

 キケ・セティエン監督は解任となり、ロナルド・クーマン監督の就任が発表されると、多くの主力選手放出の噂やリオネル・メッシの退団希望が報じられるなど、メディアを大いに賑わしている。

 そんな時代の転換期を迎えようというバルセロナに、次の時代へ希望の光を灯すのがアンス・ファティだ。カンテラ出身のファティは、今季第2節で16歳298日というクラブ史上2番目の若さでトップデビューを果たすと、最年少ゴールや最年少先発出場など、クラブ史を次々と塗り替えた。

 左サイドを主戦場とするファティは、類稀なドリブルスキルと高い得点能力を備えた、バルセロナらしいウイングプレイヤーだ。

 17歳40日というCL史上最年少ゴールを決めたインテル戦でも、その才能の片鱗を披露している。



インテルの3選手に囲まれたファティ。この状況をどう打開したか?

 後半41分、バイタルエリアでボールを持ったファティを、インテルの3選手が囲んだ。ファティはここをどう打開しただろうか?

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Answer
スアレスとのワンツーで突破

 アルトゥーロ・ビダルからパスを受けたファティは、マッテオ・ポリターノ、マティアス・ベシーノに素早く縦を切られ、中へ逃げるもマルセロ・ブロゾビッチに挟み込まれる形となった。



ファティは前のスアレスとワンツーを決めてシュート。見事にゴール

 それでもこの17歳は冷静さと仕掛ける意識を失わなかった。むしろ相手の急所を探し当て、鋭く突いた。ブロゾビッチに挟まれる前にファティはベシーノとの間を通し、前にいるルイス・スアレスに素早いクサビのパスを送った。

 すかさずふたりの間を抜けてMFとDFのライン間スペースに走り込むと、ステファン・デ・フライを背負ったスアレスから柔らかいリターンのパス。それに対し、ファティは迷いなく右足で振り抜いてシュート。ボールは名手サミル・ハンダノビッチの右手をかすめて、ゴール左隅に吸い込まれた。

 今季セリエA最小失点を誇った、インテルのタイトな守備陣が寄せ切れない間合いと、狭いスペースでも急所と見れば高いスキルで攻略してしまう姿は、まさに偉大な10番、メッシを思わせた。

 その10番が中心となって築きあげた一時代は終わりを告げつつある。新たな時代のバルセロナの象徴となるのは、この17歳しかいない。