闘病生活を経ての復帰、海外選手、記者から称賛の声続々 白血病で長期休養していた競泳・池江璃花子(ルネサンス)が29日、東京都特別水泳大会(辰巳国際水泳場)の女子50メートル自由形で約1年7か月ぶりのレースに臨み、26秒32で組1着だった。昨…

闘病生活を経ての復帰、海外選手、記者から称賛の声続々

 白血病で長期休養していた競泳・池江璃花子(ルネサンス)が29日、東京都特別水泳大会(辰巳国際水泳場)の女子50メートル自由形で約1年7か月ぶりのレースに臨み、26秒32で組1着だった。昨年2月に病を公表から闘病生活を経て復帰を果たし、目標としていたタイムを上回る驚異的なレースを演じた「リカコ・イケエ」に、親友サラ・ショーストロム(スウェーデン)も復帰を喜ぶなど、海外からも続々と称賛の声が上がっている。

 第5組3レーンの池江は、勢いよくスタートを切った。ぐんぐんと攻めると、頭一つ抜き出たまま中盤を通過。後半は他の選手に距離を詰められたが、50メートルを26秒32で泳ぎ切った。ゴール後は会場から拍手が響いた。

 目標としていた10月2日開幕の日本学生選手権(インカレ)個人種目の派遣標準記録26秒86を突破した。この結果に驚いたのは日本国内だけではない。海外の選手や、記者からも次々と称賛が届いている。

 池江と親交の深いリオ五輪100メートルバタフライ金メダリストのサラ・ショーストロム(スウェーデン)は地元紙にコメント。公共放送「STV」によると「プールにいる彼女をまた見ることができて嬉しい。彼女が愛しているものに戻るため懸命に闘い、これ以上ない困難を乗り越えた」と語ったという。

 池江が病を公表した昨年2月に、一報を聞いたショーストロムは「本当にショックで言葉がありませんでした」と胸を痛めたという。だからこそ、すぐに2ショットの画像をインスタグラムに投稿し「涙が溢れている。私のありったけの力と愛を送ります」とつづっていた。

豪州の銀メダリストも刺激「畏敬の念を抱きます」

 豪メディアのディレクター、イアン・ハンソン氏も自身のツイッターで「リカコ・イケエは何と素晴らしいヤングレディーなのか。全ての者、特にオーストラリアの友であるエマ・マキーオンとマデリン・グローブスに大きな刺激を与える。このタイムもそうだ」と称賛しつつ、自国のスイマーへの波及効果にも言及している。

 リオ五輪で2つの銀メダルを獲得している、そのグローブスも確かに刺激を受けたようで、「リカコ・イケエに畏怖の念を抱きます。こんなに若くしてこれ以上ない逆境を乗り越え、さらにレースに復帰したのはとてつもないことです。彼女の幸せを祈るのと同時に、東京五輪で会えるのを待っています」とツイートしている。

 インドのスポーツメディア「Firstsports」のアミット・カマス記者も「ひどいニュースであふれたこの1か月、1年においてグッドニュースがあった。白血病の治療を受けていた日本のリカコ・イケエが競泳大会に戻ってきた。もし、パンデミックや病気がなければ、20歳は五輪の顔になるはずだった」と、コロナ禍の中での朗報だとツイート。

 米国のライター、ジョシュ・ジェフェレイ氏も「出身国やどの国を代表しているかは関係なく、水泳界の誰もがリカコ・イケエが勝つのを期待している。彼女の強さは山をも動かす。よくぞ復帰してくれた」と拍手を送っている。

 池江の復帰は世界各地に勇気を与えている。(THE ANSWER編集部)