アスリートゲームズイン福井で日本歴代7位タイの10秒03をマーク 陸上のアスリートナイトゲームズイン福井が29日、9.98スタジアム(福井県営陸上競技場)で開催され、男子100メートル決勝はケンブリッジ飛鳥(ナイキ)が10秒03(追い風1.…
アスリートゲームズイン福井で日本歴代7位タイの10秒03をマーク
陸上のアスリートナイトゲームズイン福井が29日、9.98スタジアム(福井県営陸上競技場)で開催され、男子100メートル決勝はケンブリッジ飛鳥(ナイキ)が10秒03(追い風1.0メートル)と自己ベストを更新。日本歴代7位タイの好タイムで初優勝した。2017年に10秒08を記録して以降は低迷していたが、久々の快走を生んだ要因を語った。
タイムと順位を確認し、安堵の表情を浮かべた。ケンブリッジはスタートから抜け出し、終盤も落ちなかった。最後は桐生との競り合いになったが、0秒03差で勝利。予選でマークした自己ベスト10秒05を再更新する好タイムで、レース後はトラックに倒れこんで夜空を見上げた。
「長かったですね……2017年に自己ベストを出して、自分の中でもここからどんどんいけるなというところで、故障だったりが続いて。自分のコントロールの効かないところでバランスが崩れて、ずるずる行ってしまったところがあった」
久々の自己記録更新に喜びを明かしたケンブリッジ。23日に国立競技場で行われたセイコーゴールデングランプリ(GGP)でも10秒16で2位に入るなど好調が続いている。復活の要因は、課題のスタートを改善したことにあるという。
「低い姿勢から力を出すというのが苦手にしていた」と話す27歳は、最大体重から1.5~2キロほど減量して今季に臨んでいる。これまでは故障と戦う時期もあったが、体を絞り、思い通りに動かせる筋肉を増すイメージができたことで、自身の体をコントロールできるようになってきた。
3年ぶりの自己ベスト更新「不安、焦りがあった」
元々後半の走りには自信を持っていたが、課題だったスタートで、低い姿勢から力を引き出せるようになってきた。この日の決勝では、スタートから一気に加速。先頭に立ってレースを引っ張った。終盤で伸びてきた桐生と最後は競ったが、失速せずに逃げ切った。
「集中できてたのもありますし、(桐生とは)2つレーンが開いていたので、最後の数メートルくらいまでは自分の走りをしていたのかなと。ラスト何メートルくらいかで彼が視界に入ってきたんですけど、上体が立たないように、ある程度の形は前回(GGP)より作れていたのかなと思います」
リオ五輪の男子4×100mリレーのアンカーとして銀メダルを獲得。翌年に10秒08をマークするも、そこから思うような記録が出せずに苦しんだ。「いろんな人がいい結果を残したり、世界選手権では悔しい思いもたくさんしたり、不安というか焦りというか、そういうのはあったと思います」と苦悩を隠さない。それでも、今は自信をもって9秒台を見据えることができる。
「自分のペースで、今回久しぶりに自信をもって9秒台が見えてきたかなと言えるようになりましたし、記録だけを意識しすぎないで、コンスタントにいい記録で走っていけば、おのずと狙っていけるのかなと思います。
自分の走りの中で、2017年と今は全く違います。今の方が(9秒台に)近いのか、あの時の方が近いのか、何ともいえないですが、2017年のときは本当に体の状態も良くて。ただ、あの時は日本選手権以外はダメだったので、そういう意味では今年の方が近いのかなと思います」
次戦は「ずっと出る出る詐欺をしていた(笑)」という富士北麓ワールドトライアルの200mを予定している。「200mを今どのくらいで走れるのかなというのもあるので、ベストは更新したい。学生の時から止まっているので」。大学2年時の2013年と、2016年にマークした20秒62の更新を目指す。(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)