野球日本代表「侍ジャパン」は10~13日までメキシコ代表、オランダ代表との強化試合(東京ドーム)を行い、3勝1敗で全日程を終えた。この4試合で最大の衝撃を残したのは、野手限定で招集されていた大谷翔平(日本ハム)だろう。二刀流の衝撃的な活躍を…

野球日本代表「侍ジャパン」は10~13日までメキシコ代表、オランダ代表との強化試合(東京ドーム)を行い、3勝1敗で全日程を終えた。この4試合で最大の衝撃を残したのは、野手限定で招集されていた大谷翔平(日本ハム)だろう。二刀流の衝撃的な活躍を受け、小久保裕紀監督は来春のWBC本番に向けて「全くうれしくない。悩みしかない」と“嬉しい悲鳴”を上げた。

■強化試合で一挙6得点を呼ぶ特大弾、稲葉コーチも「非常に大きな一発だった」

 野球日本代表「侍ジャパン」は10~13日までメキシコ代表、オランダ代表との強化試合(東京ドーム)を行い、3勝1敗で全日程を終えた。この4試合で最大の衝撃を残したのは、野手限定で招集されていた大谷翔平(日本ハム)だろう。二刀流の衝撃的な活躍を受け、小久保裕紀監督は来春のWBC本番に向けて「全くうれしくない。悩みしかない」と“嬉しい悲鳴”を上げた。

 大谷は「3番・DH」で出場した11日のメキシコ戦は、同点で迎えた5回先頭で快足を飛ばして一塁内野安打で出塁すると、直後に二盗に成功。内川の一ゴロの間に三塁に進み、筒香の一ゴロで勝ち越しのホームを踏んだ。敵将のエドガー・ゴンザレス監督を「彼のスピードには非常に驚かされました」と驚嘆させるなど、スピードで日本に勝利を呼び込んだ。

 さらに、「6番・DH」で先発した12日のオランダ戦は5打数2安打1打点と活躍。4点を追う5回に先頭で右中間最深部へ運ぶ特大ソロ弾を放つと、試合の雰囲気が一変し、チームはこの回一挙6得点で逆転した。13日のオランダ戦でも、7回先頭で代打で登場し、大飛球がドーム天井の隙間へ入る衝撃の一打。二塁打でチャンスメークし、再び一挙6得点の猛攻を呼んだ。その飛距離に東京ドームが2夜連続でどよめきに包まれ、稲葉打撃コーチは「あの一発が球場の雰囲気を変えてくれた。非常に大きな一発だった」と絶賛していた。

 今回の強化試合では、初めから打者としての起用が決まっていた大谷。しかし、来年のWBC本番ではエース右腕としても大きな期待がかかる。つまり、野手として毎試合出場するわけにはいかない。

■悩ましい小久保監督、「WBCの日程はもう決まっているので」

 ただ、これだけ打者として存在感を見せられると、大谷のいない侍打線を想像することが難しくなってくる。小久保監督も11日のメキシコ戦後、大谷について「これまでは(日本代表では)ずっと投手での起用で、初めて野手で起用してるのですが、打線の中に入るとオーダーの景色が違うなと感じました」と話していた。

 そして、12日の試合後には「大谷選手の起用法についてまた悩ましくなりましたか?」と質問を受けた指揮官。「その通りですね……」と本音をこぼしてから「(WBCの)日程はもう決まっているので、一番負担のかからない中でどう起用できるのか、このオフにしっかり考えたいと思います」と続けた。さらに、驚愕の“天井打”を放った13日には「全く嬉しくない。悩みしかない」とより深刻な“悲鳴”を上げた。

 球界の至宝に無理をさせ、ケガをさせるようなことは、もちろんあってはならない。ただ、勝利のためには、投打どちらでも最大限に力を発揮してもらいたい。小久保監督の言葉からは、そんな思いがにじみ出ている。

 世界一奪回へ、二刀流右腕の起用法が鍵となることは間違いない。球界の常識を覆し続ける大谷の存在感は、日本代表でも限りなく大きくなってきている。