「明日へのエールプロジェクト」の一環で、学生とアスリートが今とこれからを一緒に語り合う「オンラインエール授業」。第15回の講師は潮田玲子さんとのダブルスで世界選手権3位、全日本総合バドミントン選手権で5連覇など輝かしい記録を持ち、現在はスポーツキャスター、解説者・指導者として活躍する小椋久美子さん。全国高校バドミントン部の現役部員や顧問の教員など約30名が集まり、今のリアルな悩みや質問に答えた。

夢が目標に変わると高い意識が生まれる

配信は小椋さんからの挨拶からスタート。「今大変な時期ですけど、練習できてる?」と問いかけながら、「辛い時期だった。最近は活動でき始めているが練習もできなかった」との高校生の回答に「(インターハイが中止になって)自分も目指していたので、これだけ頑張ってきたのにという思いはすごくよく分かる。前向きな話ができると。楽しい時間にしたいです」と励ましのメッセージを贈った。

まず話題は小椋さんの高校時代の活動に。「とにかく毎日練習があった。厳しくて辞めたい、逃げ出したい瞬間があった」と高校時代を振り返りながらも、17歳の時テレビで野村忠宏選手(柔道家)が金メダルを獲ったことに衝撃を受け、「メダルを獲りたいと思った。夢から目標に変わると計画が生まれて、どうしたらいいか考えるようになった。目標をしっかりした時に高い意識が生まれる。高くないと目標以上の結果は出ないと思う」と目標設定とそのアプローチについて語った。

高校生からの質問は「技術」についてのものに。高校1年生の「高校になってダブルスを始めたら練習でサーブが入らない。どうしたらいいか?」という質問には、「とにかくサーブは練習をやりこまないと入らない」とコメント。「ネットの前で山を作って、ネットを越えて浮かないようにすること。試合は必ず人が立っているので、人に立ってもらって打つ練習が有効。サーブそのものよりも、サーブの次の2・3球がダブルスは特に大事なので、相手の逆をつく観察も大切」と、サーブが与えるその後の動きについてもアドバイスした。

願いや想い、行動それで道が生まれる

後半はメンタルに対する悩みや将来のことについての質問など、パーソナルな内容に。

「試合前の緊張のほぐし方を教えてほしい」という悩みには、「私もものすごく緊張するタイプ。サーブも右手が震えるぐらい」と強く共感し、「私は試合前にダッシュする。息が上がるとその状態の方に意識がいくので、緊張がほぐれる」とアドバイス。「緊張しないためのルーティンがあるのもいいかもしれない。試合の日の朝食は必ずお米を食べると決めていた」と自身の『げんかつぎ』にも似たエピソードも披露していた。

高校3年生の「高校でバドミントンを辞めます。一線を離れた経験のある小椋さんが学んだこと・活かせたことは?」というやや内面に迫る質問には、五輪出場の話を振り返り、「メダルを獲りたかったけど獲れなかった。自分を出すことができなかったのを後悔した」とコメント。「なぜ悔いなのかを考えた時に、当時今の実力だとメダルは獲れないと思っていた。もっとやらないといけないと思いすぎて焦っていた。体と対話できず、腰の故障が完治せずに出場することになってしまった」と内情を語りながら、「何かが叶えられない落ち込みや焦りはあると思う。ただ、これまで頑張ってきたことは讃えるべき。どんなことがあっても自分のことだけは信じていくことが大事ですね」と前向きなマインドセットを促した。

最後に「明日へのエール」を求められると、「大会がなくなって、この先どうなるのか不安を抱えていると思う。ただ、願いや想い、それに対して行動すると叶わないことはない。それを強く信じています。仲間やパートナーが自分の夢を叶えてくれることもある。強い想いがあればどんな形でも必ず道が生まれます。きっとみんなの未来は明るい。それだけを信じて頑張ってほしい」と力強く語った小椋さん。その後全員で、両手の指でハートマークを作るジェスチャーで記念撮影をして配信は終了。全員ポーズが揃って撮影できた時には大きな拍手が起こっていた。

授業後の「アフターセッション」でみんなの本音を語り合う

小椋さんとのオンラインエール授業後に、高校生と先生たちだけの「アフターセッション」を開催。授業でのエールを受けて、今のリアルな想いを自由に語り合った。

まずは授業での小椋さんの細かなアドバイスを受けて、女子高校生は「あまり今まで改善できたことがなかった部分の指摘があったので、アドバイスの通り明日から練習に取り入れて頑張っていきたいと思っている」と話した。今年で引退した高校3年生の、現状の心情として「今はもう気持ちの切り替えはついていて、なんとか生活できている。バドミントンとの区切りはつけました」と、意志を感じられたコメントも聞かれた。

また、その生徒を普段指導する教員も参加していたことから、教員もコメント。授業を聞いて、「自分が思っているよりも結構前向きだし、頑張りたいと思っているんだなと、こういう機会でわかった」と新たな発見があったことを語りながら、「生徒が1試合でも多くコートに立ててくれたら嬉しいなということだけを考えているので、試合ができたことを考えて今、全力で教えていきたいと思っている」と、力強く語った姿が印象的だった。

今後もさまざまな競技によって配信される「オンラインエール授業」。
全国の同世代の仲間と想いを共有しながら、今のやるせなさ、不安感を少しでも前向きにしていける高校生が増えることを切に願ってやまない。