「明日へのエールプロジェクト」の一環で、学生とアスリートが今とこれからを一緒に語り合う「オンラインエール授業」。 第22回目の講師は、高校から始めた自転車競技でわずか1年で国体・少年1㎞タイムトライアルを優勝し、高校卒業後、2008年7月…

「明日へのエールプロジェクト」の一環で、学生とアスリートが今とこれからを一緒に語り合う「オンラインエール授業」。

第22回目の講師は、高校から始めた自転車競技でわずか1年で国体・少年1㎞タイムトライアルを優勝し、高校卒業後、2008年7月に競輪デビュー。現在S級S班でG1レースでは通算4勝を挙げ、自転車競技では2014年アジア自転車競技選手権のケイリン優勝。2017年12月トラックワールドカップ男子ケイリンで日本人14年ぶりの優勝を果たすなど世界でも大活躍をする脇本雄太さんだ。

全国自転車競技部の現役部員や顧問の教員など約50名が集まり、今のリアルな悩みや質問に答えた。

五輪を目指す意思が生まれたとき

脇本さんは画面を通して参加者に挨拶をする。「固い気持ちで行くのが苦手なので、地元にいる1つ上の先輩という気持ちで軽く聞いてくれると僕もやりやすいし嬉しい」とリラックスさせると「この授業を聞いてもらって少しでもタメになることが出来れば」と続けた。

次に、脇本さんの学生時代の活動についての話題に。小学校、中学校でも運動部ではなかった脇本さんだが、「高校時代、仲の良い友だちが自転車が好きで誘われて軽いノリで入部した」と言う。1年後、国体で優勝すると遠い夢だった五輪が視界に写り、高校3年生の時には、五輪出場を目指す意思が胸の内に生まれていた。「高校3年生の時が、自分の人生のすべてだと思うぐらいの大きな出来事だったと思っている」と原点を振り返った。

まず技術的な質問からスタートする。「1週間のトレーニングスケジュールを教えて欲しい?」という質問に対しては、ナショナルチームを事例に挙げて答える。「休んだ次の日、ジムやダッシュ系の種目をするのがポイント」(脇本さん)。月曜日から金曜日までトレーニングを行う中で、負荷の高いメニューを火曜日と金曜日に設定し、土曜日にはリカバリーをする。そして日曜日はオフを取り体を休める。「回復を促してハードなトレーニングを行っている。リカバリーの日を作るのが大事で、日曜日は自転車に乗らない」と話した。こうしたスケジューリングは高校生アスリートにとって良い参考になるはずだ。

自分で悩まず、近くにいる人に相談をする

メンタル面についての質問も多く聞かれた。「試合前に緊張をして、いつもの走りが出来ない。緊張を和らげるためには?」と相談を受けると、脇本さんは「良い質問ですね」とにんまりし、次のように答えた。「本番前は緊張しすぎていつも通りに出来ない子が多い。一番は大切なのは呼吸。吸った呼吸の倍、息を吐く。無意識に普段の練習から行うことで成功する秘訣にもなるし、ルーティンの動作を決め、すべてにおいてシミュレーションをする。自分がやりやすいようにアレンジすることが大事」。この言葉を受け止めた生徒は「これからは意識をしていきたい」とコメントした。

「高校時代、自転車競技をする上で両親の理解や協力についてはどうだったのか?」という質問には「自転車を購入する費用が幾らかかるのかを説明しても両親に納得してもらえず、顧問に相談したところ、両親に活動内容を説明してもらい了承を得た。情熱のある先生で『僕もしっかりと支援できるように頑張ります』と言ってくれた。自分で悩まず近くにいる人に相談することも一つの方法だと思っている」とアドバイスした。

また、将来の目標としてロードレーサーになりたいという高校生から「練習中に気を付けていることや将来についてどう考えていたのか?」と質問を受けた脇本さんは「限られた練習時間の中、1本、1本を全力で取り組んできた。自分が“どう強くなるのか”を考えないと時間を無駄にしてしまうので、その日の目標を決めることに気を付けていた」と行動力や問題への解決方法を考えることの重要性を口にした。

そして「ロードに対する技術面を磨くことが必要で、できれば持久力の乳酸の値を取れた方がいいし、日々の練習の中で、どれくらい出来たかを自己評価することをやって欲しい」と夢を掴むための後押しをした。

脇本雄太さんが語る“明日へのエール”

最後に“明日へのエール”を求められた福家さんは「大会が中止と発表されても諦めてはいけない。活躍を楽しみに応援してくれるご両親や自転車競技を楽しみにしているファンの人たちもいるので目標を見失わず頑張って欲しい」と飛び切りのエールを送ると、拳を前に突き出したポーズを取り記念撮影をし、オンラインエール授業は終了した。

今後もさまざまな競技によって配信される「オンラインエール授業」。

これからも、全国の同世代の仲間と想いを共有しながら、「今とこれから」を少しでも前向きにしていけるエールを送り続ける。