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昨シーズン、横浜F・マリノスのサッカーは他を圧倒していた。とりわけリーグ戦終盤の11試合は、10勝1分けと無敵。31得点を挙げての逆転優勝で、ド派手に相手を粉砕する攻撃力が際立った。
今シーズンもそのサッカーを踏襲する形で挑んでいるが、序盤は得点数よりも失点数のほうが目立ち、波が激しい。緻密さと強度を必要とするコンビネーションサッカーだけに、フィットするのに時間を要するのだろう。実は昨シーズンも第12節終了時点だと6位だった。
この夏には選手の大幅な入れ替えもあり、遠藤渓太をウニオン・ベルリン(ドイツ)に送り出す一方、天野純、小池龍太、前田大然、ジュニオール・サントスなどを次々に獲得している状況だ。
生まれ変わる王者・横浜FMはこれから追い上げ、連覇することができるのか。そのキーマンとなるのは――。

サンフレッチェ広島戦で先制ゴールを決めたマルコス・ジュニオール(横浜F・マリノス)
8月23日、日産スタジアム。9位の横浜FMは、8位のサンフレッチェ広島を迎えている。前半は堅守に阻まれて、パスがつながらず、攻め切れない場面が目立った。前線にストライカータイプの推進力の高い選手を多く並べたことで、攻撃がいくらか単調になったか。不安視される守備も、簡単にサイドを破られ、クロスから決定機を作られるなど、万全ではなかった。
しかし、どんな時もチームの潮目を作るのが、エースである。
4-2-1-3のトップ下に入ったブラジル人マルコス・ジュニオールは、ピッチを上下しながらゲームを作る一方、前線にも果敢に飛び出し、守備ではプレッシングのスイッチになっていた。単純なターンひとつとっても技術は高いが、それ以上に戦術的な仕事の質は抜群だった。
たとえば、彼が全力疾走するだけで、相手の最終ラインを下げ、ボランチを引きつけられる。プレーを読み、動かし、作る力だ。
前半44分だった。ハーフタイムが近づき、両者ともにわずかに緊張がゆるむ。一度、マルコス・ジュニオールはボールを受けに入るが、そこには出てこず、外に流れた後、再び外からパスを受けるポジションを取る。すると、すり抜けたボールが足元に来て、それを左足で流し込んだ。"ごっつあんゴール"にも映るが、高い集中力と次の予測を繰り返し行なっていないと、ボールはこぼれてこない。
マルコス・ジュニオールは、Jリーグで花を咲かせたブラジル人の典型だろ。プレースタイルやレベルの違いはあるにせよ、ゴール数は飛躍的に向上している。日本人の規律や秩序に刺激されることによって、プレーの幅が広がったのかもしれない。
その点、実は横浜FMの昨今の強さは、ブラジル人選手の能力の高さ、適応力にある。スカウティングもあるはずだが、アンジェ・ポステコグルー監督の戦術に順応するだけでなく、プレーヤーとして進化している。マルコス・ジュニオールだけでなく、チアゴ・マルチンス、エリキ、ジュニオール・サントスなどは強力な戦力だ。
後半15分、1-1に追いつかれた状況では、ジュニオール・サントスが放ったヘディングが豪快だった。左からのクロスに、パワー、高さ、タイミングで上回っていた。柏レイソルから移籍してきて3試合目には見えない。
「ハーフタイムに監督から、『ペナ(ルティエリア)に侵入しろ』と言われていました。いいポジションを取れて。連係の部分はもっと良くならないといけませんが、得点で貢献できてよかった。徐々にマリノスのサッカーを学び、改善していきたい」(横浜FM/ジュニオール・サントス)
そして終了間際には、エリキがスルーパスから裏に抜け出し、GKとの1対1を落ち着いて決めた。これでブラジル人選手3人、そろい踏みだ。
今シーズンは出遅れていた"守備の要"チアゴ・マルチンスも、調子は徐々に上がりつつある。昨シーズン、横浜FMの攻撃サッカーを後方から支えていたブラジル人センターバックの出来は、これからのチームの浮沈を占うだろう。広島戦はまだズレが見られたが、3試合連続フル出場を続けて完調に向かうか。
「2-1でリードしている中でも3点目を狙いにいって、取ることができた。これが、マリノスのサッカーだ。チームとして、ポジティブなパフォーマンスだったと言える。過密日程の中、全員の選手の力が必要になるだろう」(横浜FM/ポステコグルー監督)
言うまでもないが、ブラジル人だけが戦力ではない。たとえば、この日はメンバーから外れたが、新戦力の水沼宏太は勝負どころで欠かせない選手になるだろう。今後、チームは総力戦に入る。
8月26日、日産スタジアム。次節は中2日で北海道コンサドーレ札幌戦だ。