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 香川真司を擁するリーガ2部サラゴサは、昇格プレーオフ準決勝セカンドレグでエルチェに0-1で敗れている(ファーストレグはスコアレスドロー)。40歳のスペイン人ストライカー、ニノの老練な一発に轟沈。あと一歩、1部に手が届かなかった。

「私個人のことについて話すタイミングではない。サッカーは残酷なものだが、今回は痛みを伴う悲しさだ」

 サラゴサの指揮官であるビクトル・フェルナンデスは来季の去就を問われ、その胸中を語っている。

 運命のプレーオフ、香川はその実力を示したが――。



昇格プレーオフのエルチェ戦で奮闘する香川真司(サラゴサ)

 8月16日、エルチェとのセカンドレグで先発出場した香川は、大車輪の働きを見せている。トップ下的なポジションで巧みにボールを受け、収め、決定的なパスを出す。周りからの信頼も伝わってきた。

 前半29分のスルーパスは、ドルトムント、マンチェスター・ユナイテッドの選手だった証明のようなものだったかもしれない。後方からのボールを受け、前線を走るFWミゲル・リナレスに完璧なコース、タイミングのスルーパスを通している。しかし、GKと1対1になったリナレスは決められない。

 実はプレーオフのファーストレグでも、香川が決定機を作り出しながら、味方が決め切れないシーンが続いていた。

「深刻な得点力不足になるだろう」

 地元メディアは、プレーオフ前からそう暗示していた。

 2部最終節のデポルティーボ・ラ・コルーニャ対フエンラブラダ戦で、新型コロナウィルスの陽性者が多数出たことにより、プレーオフの開催時期がずれ込むことになった。そして不運にも、チームのエースFWであるルイス・スアレスを「貸出期間切れ」でワトフォードへ戻さざるを得なかった。リーグ得点ランキング2位のストライカーの損失は痛手だった。

 緊急事態で、香川はフィニッシャーとしての役目も求められたが、果敢に奮闘した。

 49分、香川は左サイドのブルギからゴール正面でボールを受け、左足で自らシュート。ブロックされながらも枠に飛び、GKも白旗を上げたが、無情にもバーを叩いた。70分には、カウンターから、イニゴ・エグアラスからの縦パスを鮮やかに反転して受け、一気にゴール前に殺到。数的優位で左右に味方がいても、自らドリブルで持ち込んでシュートしたが、2人がかりの決死のタックルに阻まれてしまった。

「サラゴサは、エグアラス、ラウール・グティ、そして香川がプレーにスピードとインテンシティを与えていた。エルチェを完全に圧倒し、鮮やかにゴール前に迫った」

 スペイン大手スポーツ紙『アス』はそう記述し、香川にはチーム最高の二つ星(0~3の4段階評価)を与えた。

 プレーオフにおける香川は、その経験と実力を存分に見せたと言える。

 サラゴサのサッカーは、攻撃的で魅力があった。セルタ時代、ヨハン・クライフからも絶賛された攻撃サッカーを実現させたビクトル・フェルナンデスは、かつてパブロ・アイマール、アレキサンダー・モストボイというファンタジスタを輝かせている。今回も、ボールプレーヤーたちを擁し、その力を引き出していた。

 香川が、そのチームでスペクタクルを見せたのは間違いない。

 しかし、シーズンを通した香川のプレーに関しては、賛否が分かれる。序盤戦の活躍はカリスマ的だったが、その後は断続的なケガもあって低迷。後半戦は、エスパニョールから獲得したハビエル・プアド(プレーオフは、新型コロナ感染のため欠場)に攻撃の主役の座を奪われた。リーグ戦は31試合に出場したが、先発は23試合と、波が激しかった。

 香川とサラゴサの契約は2年で、2021年6月末まで残っている。しかし、ビクトル・フェルナンデス監督は今シーズン限りでクラブを去ることが決定的。香川も残留の可能性がないわけではないが、移籍が視野に入っている。その年俸はチームで2番目に高給で、今年1月、財政難に苦しむサラゴサはMLSリーグのクラブとの交渉があったことを認めた(香川本人がリーガでのプレーを熱望したために不成立)。

 今後は、スペイン国内の1部、2部のクラブだけでなく、欧州やMLS、さらにはスペイン人監督ミゲル・アンヘル・ロティーナが率いる古巣セレッソ大阪への復帰も可能性のひとつになるだろう。

 ちなみにプレーオフ決勝は、8月20、23日。アルメリアを下したジローナと、エルチェの戦いになる。