社会人アメリカンフットボールXリーグは、12月12日に東京ドームで行われる第30回日本社会人選手権ジャパンエックスボウル進出を懸けたJXBトーナメント(決勝トーナメント)が始まる。11月12、13日のクォーターファイナル(準々決勝)は、公式戦初対戦あり、レギュラーシーズンの再戦あり、伝統チーム同士の戦いありと、見どころ満載の対戦カードとなった。

オービックシーガルズRB43望月麻樹(関学大)

オービック課題のラン攻撃対エレコム神戸の強力ラン守備

Super9全勝2位通過のオービックシーガルズは、11月5日のワイルドカード(WC)でアズワンを34対7で下してトーナメント進出を勝ち取ったエレコム神戸ファイニーズと対戦する。

レギュラーシーズン第6節の対戦では、20対14と接戦となった。戦力的にはオービックに分があるが、トーナメントは一発勝負なだけに、オービックにとっても気の抜けない一戦になりそうだ。

エレコム神戸はランによるボールコントロール攻撃を確立したことによって、守備が力を発揮できるようになった。

一方、全勝のオービックは、得点力4位(試合平均29.0得点)、獲得ヤード5位(試合平均340ヤード)ながら、ラン攻撃については最下位(試合平均56.3ヤード)というのが懸念材料になる。実力が拮抗した試合になればなるほど、ランによる時間のコントロールは必須である。過去、ライスボウル王者となった年は、いずれもシーズンの深まりとともにラン攻撃の完成度を高めてきた。原卓門(法政)、望月麻樹(関学大)、加藤寛樹(国士舘大)、中西頌(日大)、新人・松森亮太(立命館大)ら、豊富なRBの人材の活用がトーナメントを勝ち抜く上で重要なファクターになる。アズワンのラン攻撃を僅か2ヤードの前進に食い止めたエレコム守備に対して彼らがどんな結果を残すかに注目だ。

LIXILディアーズWR2中川靖士(龍谷大)

守備の出来が鍵を握るIBM対LIXILの高得点力対決

LIXILディアーズ(4位)とIBMビッグブルー(5位)の一戦は、高得点の接戦が期待できる。LIXILはリーグ1試合平均40.7得点を挙げたリーグトップの得点力をり、IBMはLIXILに次ぐ33.8得点を挙げている。

リーグ第5節の直接対決は52対48でLIXILに軍配が上がった。勝敗を分けたのは、5回のターンオーバー(4インターセプト/1ファンブル)を奪ったLIXIL守備に対し、IBMは1ターンオーバー(1ファンブル)奪取に止まったことだ。

LIXIL守備はリーグ戦で11インターセプトを奪っている。その内訳はLB安藤彬(慶應大)、DB矢野秀俊(日大)、佐野忠也(日大)がそれぞれ3インターセプト、CB脇圭祐(立命館大)が2インターセプト。この内、佐野と安藤はIBMから2インターセプトずつを奪っている。IBM攻撃陣が彼らをいかに攻略するかが、勝敗を分ける一つのポイントになるだろう。

また、LIXILは後半の強さが際立つ。第5節のIBM戦は3Q序盤の時点で14点のリードをIBMに許していた状態からの逆転劇だった。さらに、31対33で敗れたリーグ第6節のパナソニック戦でも、前半3対30と4ポゼッションの圧倒的な差をつけられた状態から、終了52秒前に一時31対30と逆転する、奇跡的な反撃を見せている。追い上げ型攻撃の主役はQB加藤翔平(関学大)のパス攻撃。ターゲットはWR前田直輝(立命館大)、永川勝也(関西大)の日本代表コンビに加え、ベテラン中川靖士(龍谷大)、新人・石毛聡士(日大)らナンバー2(※)レシーバー陣が活躍している。

今季は守備、特にDB陣の強化を図ったIBM守備にとっては、守備の補強の真価が問われる戦いになる。

(※)ナンバー2=一番外側から数えて2番目に位置しているレシーバー

富士通フロンティアーズLB16トラショーン・ニクソン(ニューメキシコ大)

富士通対アサヒ飲料の『守備対決』

レギュラーシーズン全勝1位通過の富士通フロンティアーズは、11月5日のWCでオール三菱を20対6と下してトーナメント進出を勝ち取ったアサヒ飲料クラブチャレンジャーズと対戦する。

アサヒ飲料が2000、2001年にXリーグ連覇を遂げた時のヘッドコーチが、現在、富士通を率いる藤田智ヘッドコーチという関係の両チーム。しかし、過去の対戦は2007年の秋季公式戦開幕前に開催されたプレシーズンゲームのみで、公式戦では初顔合わせとなる。

近年はQBコービー・キャメロン(ルイジアナ工科大)率いる攻撃が注目されてきた富士通だが、今季の全勝の立役者はリーグトップとなる平均9失点の安定した守備だ。中でも2年目のLBトラショーン・ニクソン(ニューメキシコ大)は、第4節のパナソニック戦で13対13の状況から、自らQBサックでファンブルを誘い、そのボールを拾い上げて決勝TDを挙げるなど、対戦攻撃にとっては『最も危険』な存在だ。

一方、8位通過のアサヒ飲料の看板もまた、1試合平均15.5得点に押さえている守備陣だ。第6節のIBM戦はリーグ2位の得点力を誇るIBMの攻撃を相手に第3Qまで得点を許さず。最終的に7対14で敗れたとはいえ、高い守備力を証明している。フロントはDE山本拓也(立命館大)、パワー派DL谷口賢太郎(立命館大)、LB藤岡将史(大産大)が中核。リーグ第5節のアサヒビール戦から3試合連続でインターセプトを決めているCB池田亮太(近畿大)の成長は、好調の一助となっている。

パナソニックインパルスRB33横田惇(中央大)

通算成績5分の伝統の一戦パナソニック対アサヒビール

レギュラーシーズン3位通過のパナソニックインパルスと6位通過のアサヒビールシルバースターの一戦は、伝統の『ライバル対決』だ。

社会人フットボール草創期から実業団チームの雄として常に優勝争いを繰り広げてきたパナソニックと、実業団全盛の時代からクラブチームきっての強豪として1992、93年に社会人チーム初のライスボウル連覇を遂げたアサヒビール。東西に拠点が分かれているにもかかわらず、1981年に発足した第1回東西王座決定戦での対戦以来、過去秋季シーズンで14回対戦している。通算成績は7勝7敗。今回の対戦の勝者が通算成績でも一歩リードすることになる。

第6節のLIXIL戦で終了58秒前に逆転を許しながら、終了プレーで再逆転FGを決めて勝利したパナソニックは、前半から再三得点圏に迫っていたLIXIL攻撃を食い止めた守備が強力。ベンジャミン・デュプリー(ザ・シタデル)が負傷欠場している攻撃は、昨ライスボウルMVP横田惇(中央大)が、パワーアップして過去最高の走りを見せている。QB高田鉄男(立命館大)は、追い込まれた場面で抜群の集中力を発揮し続けている。

ラン、パスのバランス向上で攻撃力が上がったアサヒビールだが、ラン攻撃の主役だったRB柳澤拓弥(拓殖大)が負傷した影響をいかに補填するかがポイントになる。昨年のセカンドステージの対戦(アサヒビール14対38パナソニック)では、QBメイソン・ミルズ(サンディエゴ大)のパスに偏重した攻撃だったため、パナソニック守備がプレッシャーをかけやすい状況になった。この反省点を今回の対戦にどんな形で反映するかに注目だ。

JXBトーナメント・クォーターファイナル

11月12日(土)オービックシーガルズ×エレコム神戸ファイニーズ:横浜スタジアム

11月12日(土)富士通フロンティアーズ×アサヒ飲料クラブチャレンジャーズ:横浜スタジアム

11月12日(土)LIXILディアーズ×IBMビッグブルー: 横浜スタジアム

11月13日(日)パナソニックインパルス×アサヒビールシルバースター:万博記念競技場