ルール変更によってどう変わるか?今年のセンバツ大会から「球数制限」が設けられ、高校野球も転換期に入りつつある。その中で、…
ルール変更によってどう変わるか?
今年のセンバツ大会から「球数制限」が設けられ、高校野球も転換期に入りつつある。その中で、戦略や戦い方も必然的に変わっていくのは間違いないだろう。今回の球数制限によって、これまでも勝ち進む際によく言われていた「投手の枚数」が非常に重要になっていく。これは、ただ枚数が重要となってくるわけではない。近年勝ち上がるのは投手の枚数が多い高校なのはもちろんのこと、その高校のほとんどが私立高校なのだ。
例えば、2018年の大阪桐蔭は、エース柿木蓮を中心に遊撃手と二刀流で出場していた根尾昂や左腕の横川凱と言った3人の投手陣で春夏連覇を飾った。
逆に近年は、公立高校も一部だが、甲子園でも勝ち上がれるぐらいの力をつけていき、私立高校との差も縮まっていた中、今回の球数制限によって私立と公立の物量の差が以前のように開く可能性はある。
なぜなら、公立高校は2番手、3番手に力を入れる環境や人員がない傾向にあるため、人員が多い私立高校が有利に働く可能性は高い。吉田恒星投手を擁して2018年夏に準優勝になり、旋風を巻き起こした金足農業や中森俊介投手を擁して昨年春夏の甲子園でベスト4まで勝ち進んだ明石商業はいずれも公立高校だった。
球数のボーダーラインは?

今年のセンバツは中止になったものの初の試みもあり、500球までという球数制限だが、今後は選手の健康面を考慮した上でさらに球数制限はさらに厳しくなっていく可能性は高いだろう。
優勝校と準優勝校の投手陣の球数は、スポチュニティコラムに掲載
上記の表を見ると、ほぼ一人で投げ抜いている奥川恭伸含めて500球のラインをギリギリ超えているが、今後の相対的な高速化や投手力向上を推測すると、球数を制御しながら抑えられる投手も増えてくるだろう。具体例にあげた奥川も、その一人である。3回戦の智辯和歌山戦は延長14回完投ということも回完投165球を投げたが、その他の試合ではうまく球数を制御した上で抑えている。今後もこのような投手が増えていくだろう。
また、初の試みという点で見ると、公式戦で球数制限をチーム内の方針で行なっている高校以外はほとんどぶっつけ本番となるので、球数制限のルールに意識しすぎた結果継投面やエースの温存するという采配面で致命的なミスが生じる高校も出てくる可能性はある。
さらに、エースの温存という面で過去の例から言うと、2016年の夏では履正社は寺島成輝投手を温存した試合で敗退したことや花咲徳栄も高橋昂也投手を温存した試合で敗退したが、逆に作新学院は今井達也投手を大差がついた準決勝の試合以外は全て投げさせて優勝した。
采配面の問題点もあるが、そのあたりのエース自身のマネジメント力も今後問われてくに違いない。
逆のパターンで、昨年の夏は大船渡が佐々木朗希投手を岩手県予選決勝で投げさせないということも話題になったが、今後は将来有望株の投手の起用法は、大事な試合になっても温存されるケースは増えていくことは予想される。
今後の高校野球で勝ち上がっていくためには、エースだけではなく、2番手や3番手の投手力の底上げや試合を作っていくことはもちろんだがエース以外の2番手、3番手の「試合を作る力」はもちろんのこと、「一人で投げ切れる力」も必要になっていくだろう。
球数への価値観は?

高校野球の甲子園で投げた球数の報道にも言えることだが、プロ野球のキャンプにおいてブルペンで多くの球数を投げる報道をされるのを見るが、「球数を投げる」=「美徳」のような報道も怪我防止はもちろんのこと、プロ野球という夢見る選手達への模範的な意味も考えると、今後は変えていかなければならない点に違いない。
具体的に言うと、従来の高校野球は1998年の松坂大輔や2006年の斎藤佑樹のようなエースが延長戦含めて完投した上で、評価されていた。また、その多くの球数を費やして投げ切ることが、メディアや大衆含めて「美德」される風潮があった。
しかし、これは「美徳」ではあるが、球児の選手寿命を短くすることも懸念材料である。
以上のことを踏まえると、球数制限によってベンチ入りの割合を投手に割いていくことはもちろんだが、選手の健康面の配慮をしていくことからベンチ入りの上限人数も今後はさらに増加していくと推測している。
炎天下の中で球児を守るための鍵は「ナイターゲーム」の開催
近年の気象状況では、毎年夏は必ず猛暑日が多数ある。猛暑日の日中に、試合や練習を行うことによって想像以上の体力の消耗などは避けられない状況にある。日程を消化しつつ猛暑日の炎天下の中での試合実施を避けていくには、県大会の予選や甲子園大会終盤の差し掛かる準々決勝、準決勝、決勝あたりからは暑さや体力面に対して考慮した上で「ナイター化」を設けていくことによって、炎天下での試合と比較して選手達の消耗が軽減されるのではないだろうか。
現状の課題としては、県予選や甲子園大会は当初から決められている過密日程の中で数多くの試合数を行うことである。その中で、選手達の疲労がピークに達する準々決勝、準決勝、決勝はナイターゲームで実施していくことにより、負担が軽減されて多少だが、現状よりは改善されると見ている。
例えば、2018年の京都府大会準々決勝の第4試合は、猛暑日で選手達の健康面を考慮した上で19時1分から開始のナイターゲームとなった。その結果、炎天下での試合を回避することができ、選手達のパフォーマンスは炎天下の時よりは上がり、熱中症になる確率は従来のデーゲームの形よりも下がったのではないだろうか。
※僭越ながら2018年の京都府大会のナイター試合を見た上でのツイートをした
また、「夏の甲子園」という野球ファンの中でもトップクラスに注目する大会ということもあり、注目度が高い準々決勝、準決勝、決勝あたりからナイターゲームとして開催することによって、選手達のパフォーマンスはもちろんのこと、昼間の時間帯では試合を視聴できない層も試合を見られることによって、球場への集客や視聴率という面でもメリットが生まれていくと推測している。
具体例を一つあげると、日本で開催された2015年のU18の大会では、アメリカとの決勝戦の試合時間帯は、ナイターゲームで行われ、地上波でも放送された。視聴率の結果は、18.6%を記録し、瞬間最高視聴率は27.2%を記録した。逆に、地上波放送でも日中に放送されたキューバ戦の視聴率は7.4%であり、多くの野球ファンが時間を取れるナイターゲームとはかなり差が出た形となり、視聴率の面でもナイターゲームの試合の方が多くの野球ファンに見られる結果となった。
このように現実的な話だと初期の段階では、大会期間でもほんの一部分で設ける形にしかできないと思うが、是非今後の温暖化の対策としてはもちろんのこと、より多くの野球ファンの方々に見てもらえるように「ナイター化」は一つの施策も含めて行なっていただきたいと思っている。
