本当は強いのか、弱いのか。名古屋グランパスは、それを判断するのが実に難しいチームだ。 今季開幕前、名古屋の評価は決して…

 本当は強いのか、弱いのか。名古屋グランパスは、それを判断するのが実に難しいチームだ。

 今季開幕前、名古屋の評価は決して高いものではなかった。

 昨季の順位は13位。しかも、J1参入プレーオフに回った16位の湘南ベルマーレとはわずかに勝ち点差1しかなかったのだから、当然と言えば当然だ。

 とはいえ、そんな昨季も序盤戦では、上位争いに加わっていた。

 J1開幕から3連勝でスタートすると、第12節終了時点では7勝2敗3分けと大きく勝ち越し。一昨季のJ1得点王、FWジョーをはじめ、FWマテウス、MFガブリエル・シャビエル、MFジョアン・シミッチら、ブラジル人選手も軒並み好調で、一時は首位にも立つなど、優勝にも手が届きそうな勢いがあった。

 ところが、第13節での黒星を端緒に、第21節までの9試合は6敗3分けと急失速。第22節でようやく10試合ぶりの勝利を手にしたものの、その後も悪い流れが変わることはなかった。

 第26節を最後に風間八宏前監督が解任され、今季も引き続き指揮を執るマッシモ・フィッカデンティ監督に代わってもなお、さして状況は改善されず、第13節以降の22試合は2勝13敗7分け。強力助っ人の活躍もいつしか影を潜め、開幕当初の強さがまるでウソのように、名古屋は急坂を転げ落ちていった。

 翻(ひるがえ)って、今季である。

 開幕戦を引き分けた名古屋は、中断明けの第2節から4勝1分けと、絶好の再スタートを切った。

 第7節終了時点では、勝ち点14の3位。同19で首位の川崎フロンターレ、同16で2位のガンバ大阪には及ばなかったが、名古屋の試合消化が1試合少ないことを考えれば(新型コロナウィルス感染の検査で名古屋に陽性者が出たため、第7節のサンフレッチェ広島戦が中止となった)、トップ2とほぼ肩を並べる成績だった。

 ところが、第8節以降は1勝2敗と黒星が先行。しかも、勝つときは6-2と大勝する一方で、2敗はいずれも0-1。極端に振り幅が大きいスコアは少なからず不安を高め、順位のうえでは5位(第10節終了現在)につけてはいるものの、昨季を想起させる状況となっている。

 名古屋がピッチ上で展開するサッカーは、よくも悪くも常識的だ。基本的にはリアクションではなく、アクション――自分たちでボールを保持し、主体的にゲームを進めようとはしているが、それほどのこだわりがあるわけではない。負けている試合では、躊躇なくパワープレーも用いる。

 すでにJリーグでの経験も豊富なイタリア人監督が、まずは守備のバランスを重視していることは、試合のなかからうかがえる。事実、失点は少なく、1試合平均1点以下。その点では、昨季のように突如成績が急降下することはないのかもしれない。

 だが、常識的なサッカーは、裏を返せば、今季の名古屋は強い、と確信を与えてくれるインパクトもない。

 0-1で敗れた第10節FC東京戦にしても、試合後、フィッカデンティ監督は、引いて守るだけの相手へ、ファールを見逃すレフリーへ、さらには水を撒きすぎてぬかるんだピッチへ、次々に(あくまでも本人の主観に基づく)不満を並べていた。

 惜敗直後のことだけに、気持ちはわかる。しかしながら、客観的に試合を見れば、決してFC東京がなりふり構わず守りを固めていたわけではなく、無得点の主たる要因は、名古屋の攻撃の単調さにあった(その点については、指揮官も「ボールを動かすスピードが遅かった」と認めている)。

 名古屋は、ブラジル人選手を中心に比較的個人能力の高い選手を擁しており、いわば、個々の"アドリブ"で得点できる部分がある。これまで全試合に先発出場している選手が7人もいることからもわかるように、メンバーを固定することでコンビネーションの練度を高めたいという狙いもあるのかもしれない。




FWマテウスら能力の高い外国人選手がそろっている名古屋グランパスだが...

 だが、メンバーを固定することで高められる練度には限界がある。FC東京戦で見られた単調さは、その一端を示したものだろう。

 それどころか、これから過密日程での試合が続くなかでは、メンバーを固定することのメリットよりも、そのデメリット、すなわち、疲労の蓄積によるパフォーマンス低下のほうが膨らんでいく危険性すらある。

 はたして名古屋は、独走態勢に入りつつある川崎の対抗馬になりうるのか。いや、それ以前に、このまま2位グループにとどまり続けることができるのか。

 昨季のことを思い出すにつけ、それすらも心もとなく感じられる。