思った通りの熱いストーリー。想像以上の迫力と情熱が伝わってきた。そんな、いろんな声が届いている。
 10月6日からTOKYO MX、MBS、BS11ほかで放送が始まったラグビーアニメ「ALL OUT!!」だ。登場キャラクターたちの個性と存在感が際立つ。ラグビーの魅力もよく伝わる。ラグビー愛好家にも、アニメファンにも、広く受け入れられている。
 2012年から雨瀬シオリさんが月刊「モーニング・ツー」(講談社)で連載を始めたこの人気漫画が、TVアニメになってもその魅力を失わず、さらに視聴者の気持ちを熱くさせているのは制作者サイドの情熱も無縁ではない。作り手の思いが各キャラクターをイキイキとさせ、画面や音に勢いを与えている。

「肉体のぶつかりあいやヘッドキャップの中を抜ける風、そんなラグビーの臨場感を伝えたい」
 高校時代にラグビーを経験している清水健一監督は、この作品にかける意気込みをそう語った。清水監督をはじめ、この「ALL OUT!!」を支えている人たちにはラグビー経験者が多い。トムス・エンタテインメントの國府田崇裕プロデューサー、制作現場の牛嶋新一郎副監督、原作担当編集者であるモーニングの竹本佳正さんも楕円球を追い、タックルの爽快さと痛みを知る。

「ラグビーを題材とした作品のアニメ化は、プレーヤーの数の多さやプレーの複雑さなどを考えると作画や表現法など大変だろうな、と。しかし今回、みなさんの熱意のお陰で実現したのが本当に嬉しいですね」
 國府田プロデューサーが笑う。
「本当ですよ。すごく大変」
 清水監督が愉快そうに答えた。
「(作画するスタッフは)9割方ラグビーを知らないですから、パスを受ける直前の姿勢などが不自然だったりするんですね。だから、事前にアクション集みたいなものを作って対応したりしました。まあ、私がプレーしていたのも30数年前なので、ラグビー自体が随分変わりもしました。スクリューパスなんて、スクラムハーフだけのものだったのにね」
 牛嶋副監督が続く。
「グラウンドの広さの感覚や、距離感などを作画スタッフに理解してもらう苦労もありました。モールやラックなどグチャグチャのところは省き、その直後のスクラムハーフのパスをダイナミックに表現するなど、ラグビーの勢いが伝わるようにすることは心掛けました」
「タックルのシーン、迫力ありますよね。漫画の中のキャラクターが動いていて感動しました」と竹本さんが言った。

「ALL OUT!!」の魅力はやはり熱さだ。プレーに、生き方に、仲間との絆がすべて熱を帯びている。
「登場人物一人ひとりのストーリー。見ている人は、そこから感じ取るものがたくさんあると思います。私は大学からラグビーを始めたのですが、最初、周囲からはできんのかと言われました。でもラグビーには体格や性格に関係なく、誰にでもチャンスがあったんです。それを伝えてくれる作品だと思います。まあ、私は祇園(健次)のように最初から低いタックルはできませんでしたが」
 そう話す國府田プロデューサーは、ヤンキーながら陰で努力し、豪快に走る江文優が好きだ。気が弱くて頼りなさそうに見えて、実は天才肌という貴船公を推す牛嶋副監督も、神奈川高校ラグビー部にあふれる個々のカラーがストーリーに厚味を持たせていると感じている。
「個性を持ったキャラクターが集まり、チームにまた個性を持たせている。原作者が女性なので、感情の描き方が細やかだと感じています。そこを出すように心掛けています」
「映画的な存在感がある」とライバル・慶常高校の御幸篤の魅力がお気に入りの清水監督は、作品の勢いを感じてほしいと願う。
「もともとのストーリーに勢いがあります。さらに、声優、音響、僕らも含めたスタッフたちの勢い。それらの勢いを感じてもらいながら見てもらえたら嬉しいですね」
 勢いを大切にしつつ、細部にもこだわっているから臨場感は半端ない。
「タックルの音を表現するときには、タックラー自身が実際に耳で感じる音を再現しようとしているんです。いいスピーカーで、大音量で聞けば凄い迫力が伝わりますよ」(清水監督)
 すべてのキャラクターに愛情があると照れる竹本さんは、「チャレンジしている人、チャレンジしたい人。そして元気になりたい人にぜひ見ていただきたい」と言った。

 2019年、日本ではラグビーワールドカップが開催される。3年後、世界のラグビーファンのすべての視線がこの国に向けられるそのとき、この国のラグビー熱がいまのままでは各スタジアムを満杯にすることはできないだろう。だからこそ4人は、熱を帯びる「ALL OUT!!」が多くの人たちの心を動かしてくれたらいいと思っている。
 國府田プロデューサーが言う。
「『ALL OUT!!』はラグビーへの入り口を広げてくれると思っています。だからこのコンテンツを息の長いものにして、ラグビーを知る人、やる人が増えてくれたらいいですね」
 竹本さんも同じ考えた。
「ワールドカップは4年の一度の世界的なお祭りです。そこに行ってみて初めて分かることもたくさんあるでしょうから、行かないともったいない。そのためにも、多くの人にラグビーを知ってもらう『気づき』になれたら、と思います。ラグビーを実際にやるのは難しい人でも、『ALL OUT!!』のストーリーと制作スタッフのこだわりでラグビーを体感できると思いますから」
 ちなみに國府田プロデューサーは学生時代SHで、竹本さんはいまもクラブチームでFLとして活躍している。清水監督と牛嶋監督は現役時代SHとSO。いずれも、15人の布陣の中の中央で、FWとBKをつないだり、ゲームを動かす役割を担ってきた人たちだ。
『ALL OUT!!』とワールドカップが交錯するこの先の3年、それぞれがこのアニメの中のキャラクターたちのように個性豊かに躍動するなら、世界の目がこちらに向いたとき神高のジャージーが世界にも発信されるかもしれない。夢を見る力は『ALL OUT!!』が教えてくれるように、人生の中でも大きなパワーになる。

公式サイト:http://allout-anime.com/
TOKYO MX、MBS、BS11ほかにて好評放送中!!