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カンピオナート・ブラジレイロ--ブラジル全国選手権が始まった。本来ならば4月に開幕するはずだったが、その前に行なわれる各州リーグがコロナ禍のために中断されたことで、8月8日からの開始となった(終了時期も12月から2021年の2月に変更されている)。
ただ、本田圭佑が所属するボタフォゴの初戦はいきなり延期された。国土が広大なブラジルのリーグは二重構造になっていて、まずシーズンの前半に25に分かれた州リーグが開かれ、その成績によって全国選手権のセリエAからDまでのどのカテゴリーでプレーするかが決まる。ボタフォゴの初戦の相手バイーアは、州リーグの決勝に進出したので、すべての試合を消化しきれていなかったのだ。
本田圭佑の全国デビューは第2節のブラガンチーノ戦となった。だが、残念ながらパッとしない内容だった。ボタフォゴも、そして本田自身も、だ。

ブラガンチーノ戦に出場、後半32分までプレーした本田圭佑(ボタフォゴ)photo by AFLO
ブラガンチーノはいわゆる中堅どころ。激戦のサンパウロ州リーグで5位に入ったチームだから弱小ではないが、ボタフォゴに比べたら知名度もタイトルの数も劣る。しかし、そのチームにボタフォゴは大いに苦しんだ。
ブラガンチーノは前半6分に先制点を奪うと、その後もゲームを支配、ボタフォゴがどうにか同点に追いつけたのは後半20分になってからだった。ボタフォゴはほとんどすべての点においてブラガンチーノに劣っていた。シュート数、ボール支配率、コーナーキックの数、パスの成功率。引き分けに終えることができたのはラッキーだったかもしれない。
この試合もキャプテンを任された本田だが、これもまた平均以下の出来栄えとしか見えなかった。プレーは単調で、中盤の底でボールを受ける、ワン、ツーとタッチ、パスを出す、の繰り返し。そのパスはさすがに正確なものだったが、彼が鳴り物入りでリオにやって来た時、人々が本田に期待したものはそういったプレーではなかった。
パウロ・アウトゥオリ監督は本田のプレーについて「今はまだブラジル流を学んでいるところ」とコメントしたが、まさにその言葉がぴったりくる。本田はまだブラジルのスタイルがわかっていないのだろう。
ブラジル人が喜ぶサッカーとは、安定した間違いのないプレーではない。多少リスクを冒しても、目を見張るような華麗なプレー、見るだけで心躍るようなサッカーを求めている。彼がボールを持ったらきっと何かしてくれる。そんなワクワク感がこの日の本田からはまったく感じられなかった。
ブラジルメディアがこの試合の本田につけた点数は5.5(10点満点)。それほどひどいプレーではなかったものの、彼ならばもっとできたはずという点で辛口となったのかもしれない。実際、本田への期待は依然として高いものがある。本田がリオにやって来たころの期待度が100だとすれば、今は70くらいと言ったところか。まだまだみんな、本物の本田が目を覚ますのを待っている。
ただし、チームの行く末となるとかなり悲観的な見方が多い。全国選手権で上位6位に入ると、コパ・リベルタドーレスの出場権が得られる。ボタフォゴのシーズンの目標はそれを手に入れることだ。だが、今のままの調子ではかなり難しいだろう。この試合を中継したテレビ局のコメンテーターは「ボタフォゴの行先には早くも赤信号がともった」と言う。サポーターの中には、セリエB降格(下位4チーム)を危ぶむ声さえ出てきた。ボタフォゴは初戦で冷や水を浴びせられた。
明るい材料がないわけでもない。2月からチームを率いているアルトゥオリは優秀な監督だ。ただコロナで練習や試合が中断されたため、チーム作りが思うように進まなかった。「このチームはいま建設中だ」と彼自身も言っている。
この試合でゴールを決めた23歳のストライカー、マテウス・バビを筆頭に、成長中の若手も多い。またガティート(猫)のニックネームを持つGKロベルト・フェルナンデスはゴール枠に飛んだシュートのうち3つを、その名の通り猫のようにしなやかにファインセーブした。
そしてこの今週末にはチェルシーやヘルタ・ベルリンのFWとして活躍したソロモン・カルーがボタフォゴにやって来る。本田が加入当初から望んでいたもうひとりのビッグプレーヤーだ。これまでヤヤ・トゥーレなどとも交渉してきたがすべて破談。今回やっと契約にまでこぎつけた。この土曜日にはチームの創立記念とともに顔見世をし、早ければ次の試合で本田と共にプレーする姿が見られるかもしれない。
ほとんどのチームはここまで2試合をこなしたが、ニュースになっているのがフラメンゴの不調だ。昨シーズンはブラジル全国選手権、コパ・リベルタドーレスでともに優勝。クラブワールドカップにも出場し、リバプールに敗れたものの準優勝を果たしている。そのフラメンゴが開幕からいきなり2連敗。しかも相手は強豪でもないチームだった。現在20チーム中でなんと最下位。いくらまだスタートしたばかりとはいえ、これはありえない順位だ。
コロナへの対応を巡り、リオデジャネイロのサッカーは混乱している。その混乱が影響しているのか、リオのビッグ4(フラメンゴ、フルミネンセ、ボタフォゴ、ヴァスコ・ダ・ガマ)の中で、ここまでで勝利を挙げているのはヴァスコ・ダ・ガマだけである。