金メダル5個獲得、女王ロマシナの主張とは アーティスティックスイミング(AS)で五輪金メダル5個を獲得しているスベトラーナ・ロマシナ(ロシア)が男子の同種目に対して、「まだ五輪を行うレベルではない」と苦言を呈している。ロシア放送局「ロシア・…
金メダル5個獲得、女王ロマシナの主張とは
アーティスティックスイミング(AS)で五輪金メダル5個を獲得しているスベトラーナ・ロマシナ(ロシア)が男子の同種目に対して、「まだ五輪を行うレベルではない」と苦言を呈している。ロシア放送局「ロシア・トゥデー」が報じている。
同局は「『反対じゃないけど、男子はまだ五輪で行うレベルにはない』:ロシアのシンクロのレジェンド、ロマシナ」とロマシナのコメントを見出しにとって伝えている。
日本ではウォーターボーイズでも知られる男子のAS。2015年の世界選手権から男女混合のミックスデュエットが正式に実施されるようになった。五輪種目にという声も上がる中で、女王ロマシナは否定的な見解を語っている。
「2015年に国際デビューを果たした男子シンクロ選手がすでにいます。私は常に女子シンクロを支持してきました。私の意見では、このスポーツは美しさ、芸術性、完璧なラインがすべてです。しかし、男子シンクロも世界で勢いを増してきています。それは良いことですね」
男子の発展に理解を示しつつも、こう続けている。
「でも男子シンクロを五輪競技に加えるというのは少し時期尚早だと思います。五輪のように高いレベルの大会で演技できる、トップクラスの選手がたくさんいるわけではありませんから。それに加え、ミックスデュエットを五輪競技に加えるという案だけでなく、女子のデュエットを男子デュエットに代えようという提案まであるのです。生涯をシンクロに捧げてきた、どれだけの女の子たちが夢を失うことになるか、想像できますか?」
男子は発展途上と指摘「五輪のような大会で学生レベルの演技を見ても…」
競技に打ち込んできた女子選手の立場を守るべきだと声を大にしている。また日本の男子AS選手の先駆者で2019年に引退を表明した安部篤史氏らの名前も出しつつ、主張を続けている。
「ビル・メイや世界水泳選手権銅メダリストのアツシ・アベなど、何人かの男子トップ選手はすでに引退しています。ミックスデュエットにおいて、実力のある選手はそれほど多くないのです。2019年の世界選手権のミックスデュエットと女子デュエットのスコアを比べれば、そこに大きな差があることが分かるでしょう。現状、女子シンクロに比べ男子のレベルは明らかに低いのです。だから五輪について話すのは時期尚早なのです」
五輪種目に加えるには今後、議論が必要だと持論を展開している。
「反対している訳ではありませんよ。私はただシンクロ界を初等レベルに落としたくないだけです。五輪のような大会で学生レベルの演技を見てもあまり面白くないんじゃないでしょうか」とも強調したロマシナ。長きにわたりAS界のトップを走り続けた女王のプライドが垣間見えた。(THE ANSWER編集部)