侍ジャパンU-23代表が見事、初代王者となった「第1回 WBSC U-23ワールドカップ」。大会MVPに輝いたのは、不動の4番・真砂勇介(ソフトバンク)だった。打率.419、4本塁打、14打点と大活躍。7四球を選んだこともあり、出塁率は実に…

侍ジャパンU-23代表が見事、初代王者となった「第1回 WBSC U-23ワールドカップ」。大会MVPに輝いたのは、不動の4番・真砂勇介(ソフトバンク)だった。打率.419、4本塁打、14打点と大活躍。7四球を選んだこともあり、出塁率は実に.525という驚きの数字だった。

■打率.419&出塁率.525の好成績、勝負強さでも優勝に牽引

 侍ジャパンU-23代表が見事、初代王者となった「第1回 WBSC U-23ワールドカップ」。大会MVPに輝いたのは、不動の4番・真砂勇介(ソフトバンク)だった。打率.419、4本塁打、14打点と大活躍。7四球を選んだこともあり、出塁率は実に.525という驚きの数字だった。

 オープニングラウンドでは5戦全戦で安打と打点を記録したばかりか、勝負強さも発揮した。今大会初めて先制点を許した3試合目のアルゼンチン戦では、3回2死二塁から同点弾を放ち、チームに勝機を呼び込んだ。5日目のオーストラリア戦では、初回2死二塁から左翼線へ先制二塁打を放ち、先発を務めたソフトバンクのチームメイト、笠原大芽を援護。笠原は「ホークスでもあいつがよく打ってくれて助かっている。頼りがいのあるチームメイトだと思っています」と、世界の舞台に立っても変わらず仕事を果たす真砂に全幅の信頼を寄せていた。

 グループB1位通過で進んだスーパーラウンドでは、初戦の韓国戦で1点を追う7回に3号ソロを放って同点。延長10回タイブレークでの劇的な勝利を引き寄せた。日本が唯一の黒星を喫したパナマ戦こそ無安打に終わったが、1回守備で“強肩発動”。レフトからホームへの好送球で初回の失点を防いでいた。決勝進出のかかったスーパーラウンド3戦目メキシコ戦では、同点で迎えた9回無死一塁で回った打席で、きっちり送りバントを決めて、サヨナラ劇につなげた。攻守のキーポイントとなる場面には、必ずと言っていいほど真砂の姿があった。

■斎藤監督が真砂を4番に据えた理由は?

 だが、決勝前の2試合では快音が響かず。パナマ戦では、動く球やセオリー通りではない配球に惑わされ、4打数無安打2三振。「打席で迷いが出た。自分の弱さが出てしまった」と反省する一方で、自分に苛立ったという。その思いをぶつけたのが決勝オーストラリア戦、4-3で迎えた6回のソロ弾だった。

「今日は絶対に打ってやると思っていた」という主砲の一発を呼び水に、この回に5点を追加した日本は10-3と大勝。試合後、メダルを掛けると「すごく重たいです」と最高の笑顔を浮かべた。

 チームを率いた斎藤雅樹監督は、真砂を4番に据えた理由を聞かれた時、「勝負強いバッティングはもちろんムードメーカーでもあるからね」と話していた。監督の言葉通り、試合前の練習でも試合中のベンチ内でも、常に声を出して周りを盛り上げた。優勝が決まった後は、監督の胴上げを率先。「何回やる? 7回?」と背番号「77」の指揮官を7度宙に舞わせ、コーチ、団長など主だったスタッフを次々と胴上げした。

 所属するソフトバンクは、柳田悠岐、中村晃、長谷川勇也らを中心に外野の選手層が厚く、真砂はプロ4年目で1度も1軍出場がない。だからこそ、今回、侍ジャパンU-23代表に選出され、世代を代表する他球団の選手と共に戦った経験は大きな刺激になっている。「初めて当たるピッチャーばかりでも、なんとか対応できた」ことは最大の収穫。一方、「追い込まれてから三振した」ことは今後の課題。そして、海外の同世代の打者と対戦したことで、1つ見えた目標がある。

■目指すは「空振りでも『当たったら怖いな』って思わせる」打者

「今日の試合でもオーストラリアはすごく(バットを)振ってきて、守っているこちらからでも『少し怖いな』って感じていた。それを見てすごく『俺もこうならないといけないな』って思いました。空振りでも『当たったら怖いな』って思わせたら、ピッチャーも力んだりするので、それをすごく感じました」

 MVP受賞会見では「個人タイトルを取れたのもうれしいですけど、チームで優勝できたことが何より一番うれしいです」と弾けんばかりの笑顔見せた。

「このユニフォームを着て、監督、コーチ、スタッフも含め、ここで野球ができたことに感謝して、来シーズンは1軍でみんなに顔を見せられるように頑張りたいと思います」

 来季こそ1軍に定着し、ゆくゆくは侍ジャパンのトップチームで活躍できる選手になりたい。そのためには、メキシコで得た経験は何一つ無駄にするつもりはない。

「来シーズンから、いや明日から頑張っていきたいです」

 世界一に輝いた喜び、MVPに輝いた喜びは今日一日だけ。明日からは、さらなる高みを目指しながら、実力磨きの道を歩み始める。