2日に決勝が行われたF1第4戦イギリスGP(シルバーストーンサーキット)ではメルセデスのルイス・ハミルトン(35)=英国=が最終周に左前輪をパンクを喫しながらスロー走行の末にトップでチェッカーフラッグを受けた。この結果に2位となったレッド…

 2日に決勝が行われたF1第4戦イギリスGP(シルバーストーンサーキット)ではメルセデスのルイス・ハミルトン(35)=英国=が最終周に左前輪をパンクを喫しながらスロー走行の末にトップでチェッカーフラッグを受けた。この結果に2位となったレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン(22)=オランダ=が逆転優勝できたのでは、との声が上がっている。

 

2位で表彰台に立つレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン(ホンダ提供)

 

 

 元F1王者のジャック・ビルヌーブ氏は伊放送局「スカイ・イタリア」の取材に「自分がレッドブルの人間だったら、レース後に怒り狂っていた。(ファステストラップの)エキストラポイントを取るよりもリスクを覚悟で勝ちに行った」と吐露。強気の攻めに出なかったレッドブル陣営の戦略を残念がった。

 52周目の最終周ではフェルスタッペンとハミルトンとの差は約34秒あり、そこから5・856秒差まで詰めたが、フェルスタッペンはその直前の50周を終えたところで2度目のタイヤ交換を行った。それまでのタイム差は約8秒。タイヤ交換をしていなければ、悠々と追い抜いていた可能性がある。

 ピットインしたのは最後にファステストラップを狙い、ボーナスの1ポイントを獲得するため。実際に最終周では全選手の中では最速の1分27秒097をマークしていた。3番手を走るドライバーとは43秒近くもリードしており、タイヤ交換してもそのまま2番手で戻れる状況だった。

 フェルスタッペンはレース後のオンライン会見で「ピットに入らなければ勝てたのではないかと皆さんが尋ねたくなる気持ちはよく分かる。でも、『たられば』を言ってもね。それは全て仮定の話。僕は何も後悔していない」とピットストップ戦略は間違っていなかったと主張した。それを後押しするかのようにレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は「外されたタイヤには約50カ所に小さな切り創が見受けられた。コース上に散らばっていたデブリ(破片)を踏んだということを意味する」と話した。

 

パンクした左前輪を見つめるメルセデスのルイス・ハミルトン(メルセデス提供)

 

 ハミルトンのタイヤがパンクした原因はコース上の破片を踏んだからではないかと指摘されている。終盤ではアルファロメオのキミ・ライコネンがフロントウイングを壊し、破片がコースに散乱。その後に、2番手を走行していたメルセデスのバルテリ・ボッタス、4番手にいたマクラーレンのカルロス・サインツのタイヤも相次いでパンクした。こちらも破片を踏んだとみられる。

 いずれのタイヤも1回のピットストップから30周以上も走り続けており、摩耗はかなり進んでいたはず。ゴムの表面がもろくなっていたのであれば、微小な破片を拾ってもタイヤが壊れる恐れは十分にある。全チームにタイヤを供給するピレリのマリオ・イソラ責任者は「最後の数周に起きたことは調査する」と約束した。

 昨季のレッドブルであれば、パンクする覚悟を承知でコースにとどまり、ハミルトンを追いかけていたかもしれない。が、今季はチャンピオンチームのメルセデスと互角の走りをしており、名門フェラーリを歯牙にもかけていない。シーズンを通したチャンピオン争いを考慮すると安全策も講じたくなる。

 2位を取れたはずのボッタスがパンクで入賞圏外の11位に終わったことで今回獲得した得点はメルセデスが25ポイントに対し、レッドブルが23ポイント。終盤に相次いだパンクが起きなかったとしたら、メルセデスが43ポイントに対し、レッドブルが16ポイントとなっており、大量リードをつけられずに済んだ。

 フェルスタッペンも「2位は勝ったようなもの」と表現した。通年を見据えた長期的な視野に立てば、その言葉にも合点がいく。

[文・写真/中日スポーツ・鶴田真也]

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