昨年、フィギュアスケート女子において、グランプリシリーズ、グランプリファイナル全てを総なめにしたロシア3人娘ことアレクサンドラ・トゥルソワ、アンナ・シェルバコワ、アリョーナ・コストルナヤ。彼女たちのもつ凄さとは一体何なのか?

この3選手について、元フィギュアスケーターで現在は解説者として活動中の中野友加里さんが、元フジテレビアナウンサーでスポーツアンカーの田中大貴が様々なスポーツ選手・解説者等を迎えてトークを広げるYouTube「田中大貴のアスリートチャンネル」に出演し、強さの秘訣について語った。


それぞれ切磋琢磨し合って強くなっていく

昨年一世を風靡した3人に加え、平昌五輪女王のアリーナ・ザギトワも、皆同じコーチのもと練習に取り組んでいる。

「同じ練習時間を過ごす10代の選手が多いからこそ、皆がそれぞれ切磋琢磨し合って強くなっていくのかなと思います。私も現役の時は、村主さんや荒川さん、安藤美姫ちゃんや小塚くんと言った素晴らしいスケーターが周りにいましたし、そういう環境があると自分も頑張らなきゃ、強くならなきゃと思います。」

と、互いの存在が自分を高めていくと話す中野さん。

「ロシアの選手たちは同じ環境で同じような選手たちがいっぱいいる。そこで1人が4回転を跳んだら、『私も跳ばなきゃ、あの子が跳んでいるなら私も跳べるかも』となると思います。その中で次第に、やらなきゃいけない、できて当たり前という環境にだんだんなってくる。日本人でトリプルアクセルを跳べる選手が多いのも、伊藤みどりさんが築いてきた功績が大きいのかなと思います。私も伊藤さんと同じリンクで練習する中で、トリプルアクセルを跳ぶことは、当たり前だと思ってました。なので、愛知県でトリプルアクセルを跳べる選手が多かったのかなと思います。」

伊藤みどりさんをはじめ、中野さん、さらには浅田真央さんと、トリプルアクセルを跳べる選手が皆愛知を拠点としているのは、そういった練習環境があったからこそなのかもしれない。

コストルナヤは驚異的な選手


ロシアの「3人娘」には、それぞれに強みがあるという。

3人の中で4種類の4回転を跳ぶのが、トゥルソワだ。

昨年、フリーで4回転ジャンプを複数組み込むなど、男子顔負けの演技構成で「女子4回転時代」の筆頭に立ったのが彼女だった。

「私は実際に生で彼女の滑りを見たことはないんですが、聞いたところによると、思ったよりもスピードを出している選手だと言われています。スピードに乗っ取ってジャンプを跳びにいくからこそ、勢いと回転速度も増すので、4回転をより跳びやすいのかなと思います。」

トゥルソワと同じく4回転を武器にしているのが、シェルバコワ。

「彼女の持ち味は、回転速度だと思います。その回転速度で4回転を回りきっていると思うので、そういったものは天性、そして普段共に練習している子達から学んでいるものなのかなと思いますね。」

そして、3人の中で唯一4回転を跳ばないのが、コストルナヤだ。

中野さん曰く、トゥルソワ、シェルバコワと比べても彼女は驚異的な選手だという。

「彼女は4回転がなくても勝てる選手ですね。この先さらに磨きがかかり、色気が増してきた時には、他に勝てる選手がいないのではというくらい恐ろしい選手になりそうです。」

そんな演技力を武器に持つ彼女は、さらにあのレジェンドと同じジャンプ力を持つと中野さんはいう。

「伊藤みどりさんのジャンプ力と同じ匂いがしますね。普通ジャンプって高さがないと跳べず、高さがない選手は幅や回転速度で勝負します。ただ、コストルナヤ選手は高さと幅、スピード共に揃った選手なので加点も非常につく。それに加えて、他の2人に比べて表現面でも長けているので、勝ちに行くのが難しいくらい怖い選手かなと思います。」

さらに動画では、この強敵ロシア勢に日本勢が勝つためのポイント、そして今後のスケート界のコーチング方法についても語っている。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]